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第9地区 感想

皆さんこんにちはSAD です。

最近 2009年の映画作品
第9地区を観たので ここに感想を
書いていきたいと思います。

監督は ニール ブロムカンプ という
人で本作以外ではエリジウム (2013)
チャッピー (2015)などの監督をして
います。

本作は彼の初の長編映画作品で
製作には ロードオブザリング
シリーズで有名なピータージャクソン
が関わっています。

あらすじ
南アフリカのヨハネスブルク 上空に
突如 巨大な宇宙船が飛来します

©第9地区(2009)

しかしその宇宙船は静止したまま
なのでヘリで宇宙船に近づき中を
覗いてみたところ

そこには 何十万 という 衰弱した
宇宙人たちがいました

政府は特に 対策手段がわからないまま

 宇宙人を真下に降ろして住まわせる
ことになりましたが

宇宙人はどんどん 数を増やしやがて
スラム街と化してしまいました

©第9地区(2009)

そして20年という長い歳月が経ち 

ついに怒りが爆発した 近隣住民達
の訴えにより

180万人もの 宇宙人の強制移送の
計画が遂行されることとなります


本作は宇宙人移送プロジェクトの
主任を任されてしまった ヴィカスと
いう男の物語です

なんとなく ゲテモノ SF 映画と思いきや

意外と移民による問題や人権問題など
も絡んでいる政治的なお話になっており

考察の余地がある作品のように思わ
れます。

また 作中で、あることがきっかけで
主人公ヴィカスの体が宇宙人の体へ
変態をし始めてしまうのですが

最初に爪が剥がれ、髪の毛が抜け、
歯も抜け始めるというのは

デヴッドクローネンバーグの
ザ・フライ(1986)を彷彿とさせます

また話のストーリー展開もヴィカスの
体が変化してしまう前に

体を元に戻す方法を見つけないと
いけないという設定が映画に緊張感
を持たせており

この展開は
一度死んでしまってゾンビになって
しまった主人公が

肉体が崩壊する前に事件を解決しなく
てはいけないという ゾンビコップ(1988)にも似たものを感じます

しかしこのように
政治的メッセージと娯楽映画としての
バランスをうまく成立させたと思われるこの作品も

今や忘れられつつある作品のように
思われます

それはどうしてなんだろうかと
個人的に思うとこの映画全体的に
グロテスクで地味なんですよね

まず出てくる宇宙人がグロテスク

見かけは昆虫と甲殻類をミックス
させたような外観 なのですが

全体的に茶色や 褐色で口からは触手
のようなものが生え

若干 ゴキブリのような感じにも見え
ます

©第9地区(2009)

 生理的に受け付けないという人もいる
ような気がします


本作の重要人物の
クリストファー ジョンソンが連れて
いる 小エビ 君はだんだん可愛らしく
見えてくるのですが…


また バトルシーンも
宇宙人が使う光線銃を使うと人体は
たちまち 肉片となりそこら中に飛び
散り

人の死に方がいちいち グロテスク
なのも見る人を選ぶかもしれません

ゲロも小便 も出てきて なにやら汁気
の多い 映像となっています

また作中出てくる街並みも スラム街
なので全体的に小汚らしく

あまり映画的に美しく かっこいい
シーンもあまりありません

なので全体的に強烈なイメージを
観客に植え付けるのにはやや失敗
している印象があります。

ここで 例にあげる作品として正しいか
は分かりませんが

1982年のブレードランナーという
作品では

雨が降り続く
新旧のテクノロジーが融合した
ネオン輝くロサンゼルスの街並みや

シドミードの秀逸なデザインの
空飛ぶ車は美しく印象的で

もはや
映画の枠を超えてミーム化した
とも言っても過言ではない
2つで十分ですよ」 

ラストのロイ・バッティが機能停止
する前の感動的なセリフのおかげも
あってか

現在でも根強い愛好者がいる作品
があるという一例もあります


またグロテスクという面では
リドリー・スコットのエイリアン(1979)
では

グロテスクながらも 機械と有機物を
融合させたような H・R・ギーガーの
デザインは秀逸ですし

ジョンカーペンターの遊星からの物体 X (1982)では脳裏に焼き付いて離れないような気持ち悪い生命体が出てきます


本作は近くのブックオフで220円で
ひっそりと叩き売りをされていたのも
なんとなく腑に落ちてしまうのも
悲しいところです。

あとは なんとなく広げた風呂敷を包み 切れてないような気がして

いい話風に終わってるものの

後から考えると、
はたしてそうだろうか…と思ったり
します。


戯言のコーナー

本作で主人公は宇宙人が生成した
黒い液体を浴びて 宇宙人化してしまう
のだが 

あの黒い液体はいわば 宇宙船の燃料
で地球で言えば ガソリンや軽油に当
たるものなのにそれを浴びて 

宇宙人になってしまうというのはどう
なのかね?と思う

しかし 作中では宇宙人の 乗り物 や
兵器は宇宙人 の DNA  にしか反応し
ないという特性を持っていたので

宇宙人 の DNA に似た成分を凝縮した
何かと考えればなんとなく納得がいくような気もする


作中で スラム街の ボス、オビサンジョという男が出てくるが

彼はエイリアンの肉を食べることで
エイリアンのパワーを宿すと信じてい
る男である

2013年のパシフィックリム という作品では怪獣の肉や骨を売りさばいている男がいたが

あれは プロフェッショナルな 解体屋が解体してその後 、ある程度精製してから売っているので まだ 説得力があるが

本作はただ 生のまま食べているだけで

あんなゴミを漁っている 不衛生な生き物をナタや 斧で解体しただけの状態で口に入れるとはずいぶんとずさん

何かよくわからない病気にかかっても
不思議ではないというのにオビサンジョ
は元気そうだったのが不思議である


本作を観て思ったのは出てくる
登場人物でいい人があまりいない
ということである

ヴィカスの上司で奥さんの父親で
ある男は

ヴィカスが宇宙人のDNA を持っていると解るなりすぐに彼を死んだことにしようとするし

ヴィカスの体が変態し始めるとすぐに
人体実験を始める 連中もクズ

本作の悪役とも言える クーバス大佐も
宇宙人殺しが大好きなサディストだし

ナイジェリア人のオビサンジョは
同物同治(どうぶつどうち)的な
考えを信じているキ○ガイじみた男

会社の同僚の19年の付き合いの男
もなにもしてくれない

肝心の主人公も所詮はただの 小役人で
助けてくれたクリストファーを一時は
見捨てようとするし

作中の中で殺戮され続ける同胞のために
何としても故郷に帰る という目的を
持って行動する知的で冷静な男が宇宙人というのも

人間不信になってしまいそうな話である


本作で出てくる宇宙人には知能の差が
かなりあり

5歳児 程度の脳みそを持つものから
半分動物みたいな者もいる

その中で なぜクリストファーだけが
あそこまで頭が良かったのかは 謎である

突然変異的なものなのか 彼の生い立ちや 出生に何か秘密があるのか…

作中ではわからないままである







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