四月の思い出
月ごとに記憶してるわけじゃないから、うんうん唸っても出てこないけど、歳を取るとまあ日々が光速で稼働していくもんだからちゃんと日記とか書くのって大切だよなって思う。
年々記憶も無くなるというか、記憶力もみるみるぐんぐん低下するだろうし、エピソードとかはちゃんと記録しておかないと。
とはいえ、「一日家に居た。台本作業を少しだけやり、春キャベツをむしって食べた」とかばっかりになるんだよなあ。絶対。
続けてればそのうち、面白いエピソードも出るんだろうけど、まあ基本的にはスクワット20回でバテた。とか、そんなんよ。それで書くの止めちゃうのよ。止めたらオモシロエピソードが巻き起こったりするのよ。
わかってるんやぞ! お前らの魂胆は! ゴッドよ!
色々、思い出そうと思って。昔の事とか。大学の頃、とか。高校の頃、とかって区切りや、それこそ4月は、5月は……みたいなのとか、公演のことを思い出したりとか。
何か俺の日常にオモシロが転がってないかなって。伏線があるんちゃうかなって。俺の人生で回収すべき。
で、4月何かあったかなぁって必死に思い出してたんですけど、まあないやねえ。入学式がねえ、小中高大とあったりしたなぁとかなんですけど、卒業式ならまだしも入学式とか微塵も覚えてない。
ただ、今書いてて2006年の四月に一か月間お菓子工場でお菓子運ぶバイトしてたなぁっての思い出した。一か月間。朝4時とかに起きて。
満月ポンとシスコーンの箱が全然出なくて、マジで脚立ないと無理やし、崩れたら大惨事なりまっせ? ってぐらい詰みあがってた。
ちなみに僕は二度目の大学四年生をやってるシーズンで、何を一か月間大学行かずにバイトしとんねんって今不思議しかないけど、ほんまに何を考えてたんやろ。まあ卒業しなくてもいいや的な考えではあったと思う。舞台でやってくつもりやったし。お金は親が出してるのに。
この罰当たり! ビンタしたい! 自分を! 自傷行為は許さん!
あのバイト、やけに思い出すわあ。
大阪の各地のスーパーに出荷するための中継地点みたいなとこで。
トラックが来てはお菓子を搬出して所定の場所に置き、トラックが来ては必要なお菓子を搬入して運んで行ってもらう。
一日中。マジで一日中それやったな。大阪の南の方のド田舎で、周りマジでコンビニとかもなくて、車で行ってたから行く途中にコンビニで飯買って……。あ、なんか弁当を前日とかに頼んでたら買えた気がするな。500円とかで。確か。でも一回頼んだらこんなつまらん弁当ある? ってぐらい、つまらん、絵にかいたようなつまらん幕の内弁当やった気がする。それで買うのやめたきがする。あるでしょ、ほんまは一番ドキドキさせてくれるはずの幕の内弁当やのに、なにこのつまらん幕の内! ってなる幕の内弁当。あれ。
大したもんで、最初は倉庫も鬼のようにでかくてパニックになってたけど、一週間も働くとお菓子の場所だいたい覚えたなあ。
当時流行ってたあれね。グッドウィルで行ってたんちゃうかな。人材派遣会社のやつで。それで、2週間で約束してたけど、そのまま一か月まで期限が伸びて、社員なったらええのにって倉庫の長みたいなオッサンに言われたなあ。
初めてやな。社員になりとか、そんなちゃんと求められたことって。
あそこで働いてたら、今頃関西のお菓子王になれてたんやろか。俺なら満月ポンとシスコーンの受注は抑えます。満月ポン美味しいのになあ。月行くでこのままやと、みたいなギャグで受けそうなぐらい詰みあがってたから。こうやって文字にしたらオスベリ様なんで何とも言えないけど。でもその場に居たら多分笑ってまうぐらいには詰みあがってた。
なんか、お菓子を運ぶためのでっかい柵がついた台車みたいなのがあって、そこに出荷するためのお菓子を山盛り入れていくんやけど、なんか「え? 無限にループなの?」ってぐらいに5時間ぐらいずーっと詰め続けないといけない時があって、翌日の早朝に運ぶから先に準備しとくみたいなやつで。
それがまあ、多くて。それがある日は「ぎゃあああ!」ってなる。
なった。
そして、三日に一回ぐらい新しく派遣のバイトの子がやってくるけど、だいたいその無限ループお菓子でいなくなる。ほんまに途中でいなくなった人もいた。あの飛び方すごいな。途中でふらーっていなくなったもんな。ゴム手袋だけ落ちてて。
でも、もしかしたらバイトを飛んだんじゃなくて、異世界に飛ばされたりしてたんかもな。わざわざゴム手袋置いていかんもんな。他の派遣で使えそうやし。
4月、そんな思い出しかないや。他にも色々思い出しますよーにー。