こんな時ほど人はクールであらねばならない。
例え頭の中がオムライスでいっぱいであっても。
先日、健康診断の帰りに腹を空かせていた私は
病院を出て1軒目に見つけたレトロな喫茶店に駆け込んだ。
オムライスでも頼んでそれをコーヒーで胃に流し込もうという寸法だ。
チリンチリンと呼び鈴の鳴るドアを開けると、
カウンターには店主と思われる小柄なマダムが一人立っていた。私の母に姉が居たとしたらこのくらいの年齢だろうか。
「お好きな席へどうぞ」と店主は言った。
私は窓際の席に座り、メニューが来るのを待った。
いわゆるマン・トゥー・マンの密室空間である。
こんな時は周囲の環