アーモンドアイは名馬に肩を並べることができるのか?なぜデムーロが下ろされて、川田がアドマイヤマーズなのか?錯綜する思惑は?第70回安田記念(G1)
今年の安田記念は難解だ。その理由は2つある。
1つは、なぜインディチャンプが連覇をかけて出走するレースに、同クラブのアーモンドアイが異例の中2週で参戦してきたのか?
もうひとつは、なぜ川田はダノックスを蹴って昨年一度も乗っていないアドマイヤの馬に騎乗するのかだ。
昨年のマイル路線を振り返ると、まず、インディチャンプがアーモンドアイのアシストで安田記念を勝ち、秋のマイルCSも優勝し、春秋の国内マイルG1を制したことで「最優秀単距離馬」というJRA賞をゲットした。
3歳時にNHKマイルCを勝ち、暮れに国際G1である香港マイルをレース史上初の3歳で優勝という偉業を成し遂げたアドマイヤマーズだったが、「最優秀3歳牡馬」というカテゴリーも皐月賞馬のサートゥルナーリアに持っていかれた。
ここで、同じノーザン系だけに、持ちつ持たれつの法則を持ち出し、「利害バランス」を考えると、春秋マイル制覇を成し遂げたインディチャンプを、アドマイヤマーズが勝つ事によっていわゆる「世代交代」のフェーズなのではないかという予想にたどり着くのだが、それだとアーモンドアイの急遽の参戦は意味を成さないのだ。
一方で、富士Sでの惨敗でという事にはなっているが、アドマイヤマーズの香港遠征時前から降ろされたデムーロの件も解せない。これは近藤利一氏の死去により、実質的な主導権が、半持ちの吉田勝己に大きく傾いたと言わざるを得ない。おそらく共同所有している弟分の大塚亮一、佐々木主浩あたりでは、ノーザン勝己の言いなりであろう。
幼馴染の中内田、特にダノックスの有力馬の主戦であった川田が、大一番でアドマイヤの馬に騎乗するのも、もしかしたら吉田勝己の指示だったかもしれない。いわゆる「大きな意思」が働かない限りこの乗り替わりはあり得ないからだ。
というわけで、今年の安田記念でのキーポイントは、川田とアーモンドアイであることは間違いない。twitterでも書いたが、アーモンドアイは、ヴィクトリアマイルで7冠、安田記念で8冠?これで史上最強と果たして言えるのか?という問題もある。
トレンドとなっている凱旋門賞への挑戦、暮れの有馬記念や宝塚記念というファン投票のグランプリレースなどに、出走して挑戦してこそ価値があるものだ。それを、凱旋門賞は避け、ドバイでもメンバーの薄いターフへ逃げ、ファン投票には出てこない。
挙句の果てには牝馬限定のヴィクトリアマイルで名馬と並んだと称され、同クラブとノーザン系のサンデーRが主導権を握るマイルのレースで史上初の8冠?こんな史上最強をファンは望んではいないだろう。
名馬達を超える史上最強の牝馬になる為には、G1の数ではない、中身が必要だ。過酷なレースで負けてもいいから強い競馬を見せてほしい。いつの時代も「名馬」と言われる馬は、挫折からの復活を見せてきた。
アーモンドアイには是非、数を獲りに来ただけの甘く見ているここで鼻っ柱を折られて、秋に復活して真の名馬となってほしい。ファンもそれを望んでいると思うし、ノーザン帝国を作り上げた吉田勝己はそんな事は百も承知だと思う。
というアーモンドアイの謎の「史上最強牝馬はこうあるべきバイアス」が強烈にかかっているので、今年の安田記念の本命は◎アドマイヤマーズで行くことにした。
やはり謎のアドマイヤ馬に川田騎乗が引っかかる。昨年、アーモンドアイが国内で勝ったG1は5勝、そのうち川田は2着4回、3着1回と、実は川田はアーモンドアイの影の功労者ともいえる存在なのだ。
それがもし吉田勝己の指示だったとしたら、今回のアドマイヤマーズの謎の乗り替わりもそうなのかも知れない。
また、種牡馬的価値からしても、ビジネスライクに思考すると、インディチャンプとアーモンドアイを使って、もう一頭ダイワメジャーの後継者を作っておくか。という、有力馬を走らせる側、イニシアチブを握るノーザン側に立った予想でもある。