戸籍名改名審判記録と手続き③
1998年11月12日、私の住所地を管轄する家庭裁判所で申立書を提出しました。ちなみにこの場合、とりあえず提出するのは申立書だけでも良かったそうなのですが、私は準備した書類を全て提出しました。添付書類の欄にそれらの名目をすべて書くことになります。
申し立て書の提出から4日後の16日、普通郵便で家庭裁判所家裁から呼び出し状が届きます。その名称は「審判期日通知書」でした。つまりはその日で許可・不許可が出されるわけです。審判が長引き、面接調査がある場合は届く書類が違うのかも知れません。ちなみに通知書の日付けは申し立ての翌日の13日になっていました。
12月2日、いよいよ審判の日です。指定された裁判所内の書記官の事務室に行き、呼び出し状を見せます。すると、担当の書記官の人が現れ、まず待合室に案内されました。
数分後、待合室にさっきの書記官が来て、今度は広い部屋に案内されます。そこは円形のテーブルが置かれた家事審判室でした。書記官の人が電灯や暖房のスイッチをつけてくれて、私はとりあえずイスに座るように言われ、手近なイスに座りました。
ここで書記官の人が、インターホンで「○○裁判官をお願いします」と言うのを聞きましたが、その当の裁判官が所在不明らしく、書記官さんは慌てているようでした。書記官さんは一度退出し、数分後、裁判官らしい方と2人で小走りで戻ってきました。裁判官の方は少し息を切らしていました。
裁判官の方は私の正面のイスの所に立ち、書記官さんに促され私もイスから立ち上がり、裁判官の方に挨拶をさせられます。そして、三人は同時にイスに座りました。
裁判官は私が提出した書類パラパラとめくり、私にいくつかの質問をしました。その内容は住所氏名、生年月日、職業(無職)、新しい名前。当時、何人かの方が聞かれたと言う、生育歴やホルモン投与のこと、手術のこともセクシャリティなどの質問も一切ありませんでした。
少し間があったあと、裁判官の方は少しうなずきながら、「裁判所としてはこれで許可します」と言いました。なんとも見事にあっさり許可されたらしく、私は思わず茫然自失になりました。
裁判官は軽く会釈しながら立ち上がり退出して、その後で、私も事務官の人に促されてその部屋を出て、また事務室に案内されました。
そのまま数分待った後、事務官の人に、
「裁判所としてこれで許可しましたが、戸籍の変更等は役所に行ってご自分でして下さい」と言われ、私は審判書を受け取りました。
私の受け取った審判書はひどくシンプルでしたが、やはり家裁により、また裁判官によっても内容が違うそうです。