海渦巻く青龍の野望②
マジですか。ホント、あり得ない大きさよ。信じらんなーい。しかも怖いんですけど。龍だもん。ヤダ。こんなの無理むり超絶ムリ。
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こんにちは。フジミドリです。サクヤ&ミツヒロのコンビが、青龍に挑む第2話。短剣を駆使するパワーも、火を吹く魔法も通用しません。さあ、一体どうすればいいのか──
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ダメって言われても、やってみなくちゃわからないよね。ミツ君はそう呟くと、短剣で切りかかって行く。あたし、息を呑んだ。
青龍は、凝っとして動かない。攻撃するだけなら、もしかしてラクかも。ううん。ダメみたいよ。ミツ君、弾き飛ばされちゃう。
「刺したつもりだけど、スルッと回転して、反対側に出ちゃうんだよ。まるで手応えがないの。強く刺すと、強く弾かれる感じ」
戻ってくると、ミツ君が大きく息を吐いた。あたし、回復魔法でパワー充填した。青龍はじっとしたまま。なんか超不気味だわ。
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「な。うちの言う通りや。あの龍は、力で向かえば、力で跳ね返されるんや。魔法も同じやで。サクちゃん、撃ってみたらええよ」
ガイドさんは、やや興奮気味に捲し立てる。なんだか、青龍の味方みたい。あたしたちを応援してるはずなんだけど。気のせいかな。
いいわ。どーせゲームだもん。やってやろうじゃないの。あたしは、杖に魔力を溜める。全身から熱い流れ。右手へ迸っていく。
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周りの水は渦を巻く。魔力が、杖から螺旋に飛び出す。魚は、危険を察知したらしくて、いなくなる。螺旋の先が青龍を直撃した。
やった。ドンピシャよ。いくら無敵の青龍だって、逃げもしない、防御もなしじゃ、木っ端微塵に粉砕だわ。これでダメなら──
「ええっ。ウソ~なんでぇ」
😲 😲 😲
あたしたちは、イデアルームへシフトした。静かな音楽が流れる。ピアノの調べ。やわらかくゆったりと。ミツ君とあたし、いつものようにソファへ腰掛けた。ふぅ💨
すると、透明のガラステーブルに、陶製のカップが現れた。ピンクとブルー。あたしたちの髪の色。中身は、フルーティな香りの紅茶と可愛らしいミニケーキだった。
ホント不思議ね。食べたり飲んだりの感覚が超リアル。ゲームではない現実と、何も変わらないのよ。現実って何、みたいな。
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《人間は、思いに翻弄されるのです》
紅茶とケーキで、ゆったりしながら、あたしたちはAIの説明に聞き入った。耳に優しい声で、滑らかな口調だから、安心できる。わかりやすい。起伏があって冗談も入った。
時々、ミツ君が質問を挟む。あたしも、自分の考えを話す。AIは、人間の大人みたいに、否定や命令がない。あたしたちの考えは認めて、詳しい説明を続けてくれた。
それから二人で、戦略を立てる。AIの説明を元に、お互いの考えと意見をまとめていく。なんだかとても大人気分。いい感じ。
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「頑張るぞとか、やっつけるって思っても、青龍はその思いを跳ね返してくる。だからこっちが、やっつけられちゃうんだよ」
『じゃあ、思いを抑えたらいいわけでもなくて、心の底にはちゃんとあって、消えるどころかむしろ、強くなったりするのね』
《はい。潜在意識は認識できません》
「でもなぁ、玄武の力って、イマイチよくわかんない。やってみるしかないね」
《玄武の至宝は力を相殺します》
❓ ❓ ❓
玄武は自滅したわ。自分の弱点である尻尾の蛇を、自分が噴き出す炎で燃やしたの。自業自得って言うのかしら。もちろん、ミツ君とあたしで、そう誘導したわけだけど。
で、爆発、何もかも光、素粒子だっけ、そういうのに戻っちゃったのよねぇ。何もかもが同じ素粒子なんて、不思議だわ。
《17種の素粒子と四つの力です》
原子の世界って、隙間だらけみたい。なら、あたしたちも周りも、みんな空っぽなのね。在るように見えるけど、本当は──
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「素粒子の高速運動で、存在してるけれど、扇風機が回って、板に見えるようなものか」
『四つの力で混ざらない。光の速さに近づくと時間が遅くなって、空間も縮むのよ──って理屈としては、わかるんだけど』
「心の底で思うことなんて、コントロールできないよ。何を思っているかわかんないんだもん。青龍に跳ね返されて初めてわかる」
『できるって言い聞かせても、ムリって浮かんじゃう。浮かぶから、言い聞かせるっていうか。いつも、心の中で闘っているのかも』
《そこで、玄武の至宝を推奨なのです》
うーん。力を打ち消すのかぁ。そう言われてもなぁ──あ。そっか。わかったかも。
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10月17日午前8時へ続く💖
イラストは朔川揺さん💞
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ありがとうございます🎊