海渦巻く青龍の野望①
ミツ君とあたしは海へ潜った。今度は青龍。玄武攻略は、興奮しちゃったなぁ。絶対ムリって思ったもん。けど──
🌿 🌿 🌿
こんにちは。フジミドリです。
MMORPGファンタジー。ミツヒロ&サクヤのコンビが、次なるクエストに挑みます。
青龍編も3話完結。サクヤ視点です。視点変更の経緯は、有料部分で解説致しました。
無料サンプルです☞
🌊 🌊 🌊
ここから先って、人魚がガイドさんなのね。それで~銀色キラキラの長い髪。澄んだ青い目の超美人。し・か・も・胸が大っきいの。もう。ヤダな。あれって反則よ。
人魚は水に入ると、脚が一つにくっついて、尾ヒレになっちゃうの。いつもは、上半身が裸だけど、人間をガイドする時、身に纏うらしい。でも、衣装がスケスケだわ──
「誰でも、同じもんついとるんやから、気にすることあれへん思うんやけどな。人間て、恥ずかしがりや。あんたらもそうやろ」
👸 👸 👸
コロコロ笑いながら、柔らかな声で訊かれたれたミツ君、恥ずかしそうでしどろもどろ。困ったような顔して、あたしを見る。しょうがないなぁ。ダメじゃん。
玄武攻略の時は、キリッとした顔で、素早い動き。尻尾の蛇が襲い掛かっても、勇敢に挑んでカッコよかったのにな。 人魚のお姉さんには、デレデレしちゃって頼りないわ。
男の子って、みんなこうかしら。よくわかんないけど。表面は違っても、心の中は同じ。ウーン。なんかそんな気がするのよね。
👦 👨 👴
「玄武の至宝、スキルに変えたんか」
「え。まだですけど」
『それって、必要なの』
「もちろんやで」
「じゃあ、後でイデアルームに行きます」
「そうやね。青龍見てからでもええか」
『龍って怖そう。大っきいんでしょ』
「うん。大っきいでぇ」
🐡 🐡 🐡
海って、光が差すのは200メートルまで。地理の授業で習ったな。大陸棚。植物プランクトンが、光合成するから、良い漁場になるのよね。確か。あれ。違ったっけ。
でも、周りは透き通る青緑色で、鮮やかな彩りの魚が泳ぐ。イルカやクジラもいて。それなのに、本当の海へ潜るみたいならしさがあって。ゲームだけど現実みたいな感じ。
「呼吸はどうや。苦しいことあれへん」
「ボクは大丈夫です」
『あたしも』
「ほな、よかったなぁ」
💎 💎 💎
二人とも、水中で呼吸できちゃう。あたしが魔法で調整するんだもん。体から10センチ位のところで、膜になって潜水服みたい。水の冷たさもなし。ふんわり爽やか。
言葉もちゃんと通じるし、AI の声だって聞こえるの。えへへ。ちょっとばっかり、得意になっちゃう。 こういう気分って、ゲーム以外だと、あんまりないのよね。
「サクヤの防護魔法が、うまいんですよ」
「ほほぉ。お熱いことやね」
「え。いや。あの。ボク」
「なーに、赤面ぶっこいとるんや」
きゃあ~超々ハズいんですけど~こんな褒められたのってないもん。どうしよう。わわ。耳が熱い。頭の中、ぐるぐるぐるぐる~
🐠 🐠 🐠
「ミツ君、男前やん」
「え。あの。そ、そうですか」
「堂々と褒めるんは、偉いもんやで」
「あ、ありがとうございます」
うんうん。ミツ君ってそう。素直っていうのかな。でも、なんだろ。モヤってしちゃう。何がモヤなのか、よくわかんなーい。でもでも、浮かぶ気持ちは、どうしようもない。
「サクヤちゃんは、カワイイやん」
人魚さんが、急に振り向いた。
『ええっ。ええっ──』
「いややねぇ、二人とも。うふふ」
💦 💦 💦
きっと、からかわれてるのね。ヤダな。もう耳がカアーッと熱いよ。どうしよう。
「人間って面白いわ。思ったこと、口に出せへんの。スルーやとか、誤魔化して、逆のこと言ったりするんやから。変な種族やで」
「いや。でも。口に出したら、マズいことってあるじゃないですか。誤解されたり」
「はぁ。誤解って、どんな誤解や。ホントの気持ちなんて、本人かてわからへん。遠慮せんと、思うこと言うたらええんや」
🍇 🍇 🍇
うーん。なるほど。自由かも。でもね。思った通りなんて言えないもん。言ったらヤバいでしよ。空気読まないと。メンドいの。
ねぇ見て見て、コレ買ったの。カワイ~ウソでも褒める。何これダセえ。なーんて正直に言ったらアウトだもん。カワイ~😨今はラク。分散登校に動画授業。サイコーだわ。
🐲 🐲 🐲
「青龍はな。剣で切りつけようが、魔法で吹き飛ばそうが、ビクともせん。ぐるぐると渦を巻かれて終わりや。引っ張り込まれたら、お陀仏やで。だーれも近寄れへん」
『じゃあ、どうやって攻略するの』
「お。サクヤちゃん、わかれへんか」
『わかんなーい』
「あっはっは。それ言うたら、アウトや」
『え。ど、どういうこと』
「青龍は人の思いを操るんや。操るいうか、思いが反映されてまう。せやから、あんたがわからへん思うたら、その通りなるんや」
👽 👽 👽
ウーン。青龍って、超メンドっぽいんですけどぉ。短剣ザクッ魔法ババーンっていかないかしら。なんか、超ストレス溜まりそう。
「思いを抑えるんですね」
「それが、なかなかでけへんのや」
『ムリな気がする。浮かんじゃうもん』
「ゲッ。浮かんでもダメって──」
「そうなん。浮かんだ瞬間、伝わってまう」
「え。伝わったら、どうなるんですか」
「跳ね返って、こっちがそうなるんや」
『それって、防げないんですけど』
😱 😱 😱
そんなの全然ムリよ。浮かんでも黙ったりとか、別のことなら言えるけど、思いが浮かばないようにするなんて、ムリ無理むり。
しかも、思った通りなっちゃうなんて、ちょっと怖いから。やっつけようって思ったら、こっちがやっつけられちゃうわけ❓
だって、思わなかったら、行動できないよ。何も思わずなんて、どうしていいかわかんないもん。え。マジ、どう攻略するんだろう。
その時、AIの声が明るく響いた。
《玄武攻略で獲得したスキル推奨です》
🐢 🐍 🐲
10月10日午前10時へ続く💖
イラストは朔川揺さん💞
✴ ✴ ✴ ✴ ✴ ✴ ✴ ✴ ✴
ありがとうございます🎊