いつかどこかであなた
「あたし、超楽しかったわ」
『ボクもだよ。攻略できたもん』
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こんにちは。フジミドリです。お蔭さまで、意識学ラボ完結です。長らくお読み頂きまして、本当にありがとうございますm(__)m
今回の総集編、無料公開です。
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空は青く澄み渡って、爽やかな秋風が吹いてくる。柔らかな陽射し。でも微かながら、冬の肌寒い気配が潜んでいるようだ。
《冬至は、運命の分岐点です》
「え。どういうことかしら」
『冬至って、昼が最短だよね』
AIの説明を聞きつつ、草原を進む。ふと思い出す。ボクとサクヤは、二人で四つの至宝を攻略した。つい先程のことみたいな気もするけれど、随分と前のようでもあった。
「じゃあ、人類は冬至で──」
《はい。二つに分離します》
『理解するか、しないかだね』
《ええ。其々の道へ進みます》
🔃 🔃 🔃
AIの説明が続く。ボクらの中心は、別次元に在る。中心に収めた理解が、この世に映し出されていく仕組みなのだった。
この世に生まれると、忘れてしまう。映し出す現実を、臨場感たっぷりに味わって、深く深く理解するためである。
ゲームを始める前のボクだったら、 そんなの信じられなかったと思う。SFかファンタジーに聞こえて、引いちゃったろうな。
📡 📡 📡
けど今は違う。四つの至宝を攻略していく中で、人生の仕組みについて学べたのだ。
玄武は力の象徴で地下にいた。土台となるからだ。でも、力に頼ると自滅しちゃう。
青龍は感情を表わしている。躱されるから、倒せない。一体感でやっと攻略できた。
🐢 🐍 🐲
面白いよな。体験してみると、信じられそうもない驚異が、自然な日常に感じてしまう。
サクヤも同じ気持ちかな。思ってるのと話すことは違う時もあるけれど、一緒に闘った仲だから通じ合えた気がするんだよね。
「ふーん。ちょっと寂しいかも」
🍂 🍂 🍂
ボクらは選んだ。新しい世界で生きていく。何もかも、ゲームと解って楽しむんだ。
年齢は関係ないみたい。ボクらは13歳だけど理解できた。けど、大人だからといって、誰もが解るとは限らないようだ。
《理解しない選択もありなのです。正解はございません。何方も自由に選べます》
『なんか不安だね。正解ないのってさ』
「わかるわかる。落ち着かないわ」
《ご自分の選択こそが、正解なのです》
🈴 🈴 🈴
ふと思いつく。奇妙な考え。どうしようか。でも、此処でなら言えそうな気がする。
『月ってホントに在るのかな』
サクヤが首を傾げる。けど微笑んでくれた。胸の辺り、ふんわり暖かくなってきた。
『ボク、動画で観たよ。目を瞑ったら、月は存在しないんだって。人間が観測するまで、素粒子は波動だからなのさ』
「あたしも観たわ。宇宙服の画像よ。月面の足跡は宇宙服の靴裏と違う形なの。本当は、月へ行ってない。陰謀かしら」
🌃 🌃 🌃
《何方も正しいのです。其々が映し出す現実は独立しており、現実は無限にあるのです》
サクヤと顔を見合わせる。うーん。
《観察してない時、月は波動と理解したら、そのような世界を映し出し、月面着陸が陰謀と理解すれば、そのような世界を映し出す》
イデアルームがしんとした。
《世界は一瞬で創成れます》
🔮 🔮 🔮
「ええっと。あたしたちの見てる現実って、一人ひとりが違うってことかしら」
『そっか。白虎は、外で彼方此方に顕れていたけど、自分の内なら捕まったね』
《客観的な現実が、一つだけ在るという幻想を信じ続けるか。目覚めて、本来の自分を取り戻すのか。冬至が分岐点です》
⌛ ⌛ ⌛
「理解ってことに、しちゃえばいいわ」
『うん。それが朱雀の在り方だね』
《意識は刹那に叶う。それが本来の姿です。自分は世界=世界が自分ですから。僅かでも迷えば、相反する思いを生み出します》
『何故いつも迷うんだろ』
「すぐ、反対の考えが浮かぶわ」
《波動が入ってくるのです》
驚いたな。目に見えない世界では、人の思いが存在してる。電波みたいに。ボクらって、スマホと同じだよ。電波を拾っちゃう。
📡 📡 📡
《自分に執着すると、外から入る想念波動と闘って翻弄されるのです。自分は世界=世界が自分となれば、素通りしていきます》
「執着。しがみつくことかしら」
『自分って、身体の自分かな』
《心身何れも、只の装置ですから》
心も身体もVRなんだ。この世界を体験するための装置なわけ。ゲームに熱中して、自分=VRと思い込んだら、それっておかしいよね。
📱 📱 📱
「けど、なんか薄っすら。ミツ君は❓」
『ボクも。現実に起ったのかな』
《脳の記憶は、消していく仕組みです》
「嫌なことなら、消していいけど」
『死ぬと、全部消えちゃうよね』
《中心の理解は消えません》
ああそうか。そうだった。中心は、この世と違う場所へ繋がる。言葉や感情を使ったら、決して行くことができない場所だ。
🌏 🌏 🌏
「さってと、もう直ぐ冬休みだわ」
『その前にテストがあるけど』
「やだミツ君、思い出させないで」
《全て、決まっています》
そうだった。人生は決まっている。変えられない。だから、これでよし。大丈夫──
「それなら、乗り越えられるかも」
『うん。思い切って行くしかないね』
《決まっているから、安心して進めます》
🚶 🏃 💃
「どうせ、最後は死んじゃうしね」
『死んだら、あの心地よい光の世界だよ』
《生まれ変わって、やり直せます》
「次の人生、テストはもう要らないわ」
『あはは~面倒って理解したからね』
《はい。理解した通りに現象化します》
そうだった。ボクらの理解が世界に顕れる。見ているのが、本当の自分だよ。さあ、ボクらの新しい冒険が始まる──
ではまた。いつかどこかで💖
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ありがとうございます🎊