愉快に終わればいいな
必ず最期が来るのです。どなたも避けることはできません。それなのに、私たちはまだ先のことだと思って、準備を怠るのです。
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『こんにちは、フジミドリです』
「やあ、こんにちは」
『お加減、いかがでしょうか』
「まだなんとか、生きておるよ」
うむ。そうだな。オレは確かに生きている。さすがにもう、いつ死んでもおかしくはないが、でもまだ生きている。89になった。
『死後の世界について、ご質問ですね』
「今さらとは思うんだがな」
『いえいえ。今こそ、ですよ』
「誰にも訊けんのでな」
このご時世だ。転院してから面会もできん。とはいえ、文明の利器は大したもの。午前中なら電話やメール、それにZOOMとやらで、こうして会話もできるんだからな。
📱 📱 📱
死んだあとは、一体どうなっておるのやら。今さら誰にも訊けん・・死んだら、無になるだけだ。そう言い張ってきたオレだからな。
『何も変わらないのですよ』
「ほぉ。寝たきりのままかね」
『いえいえ。体はもうないですから』
「うん。そうだな。焼かれて灰になる」
『意識だけが残るんです。自由になって』
「うーん。意識かぁ。意識なぁ」
『意識はずっと、変わりませんからね』
「時々、ふっと意識がなくなるよ」
画面はイラストが映し出される。真ん中に人の形。その周りを波が覆う。説明しながら、手書きの文字を加えてくれるから、耳の遠いオレでもよくわかった。
🌸 🌸 🌸
なるほどな。どうやら意識ってのは、いつも使う意味と少し違うようだ。オレを生かしている、命のエネルギーなのか。まぁ確かに。生きているのは、不思議なことだよ。
こうしてる間にも、細胞は死んで、そして生まれる。なるほどな。1年経てば別人か。確かに。しかしオレはオレ。細胞が入れ替わっても変わらない。それが意識か。
『意識は、初めも終わりもないのです。永遠不滅で生き続けます。ですから、このままで何も変わりません。脳や体が、焼かれて灰になっても、ずっと続いていくのです』
「考えや思いとは、違うものなんだね」
『ええ。思考は脳の働きですから』
「うーん。感覚的なものかな」
「そうですそうです。感覚です」
🔮 🔮 🔮
画面が変わる。草原の風景。青く澄んだ空。漂う白い雲。ああ、いいねえ。今度は、活字の言葉が次々と打ち出されていく。
『この世は映画です。ご自分で映し出していらっしゃる。肉体の映画が終われば、今度は心の思いが映し出されるのです。昔を思い出すこと、ございませんか❔』
「あるよ。あるある。軍国少年だった頃な。ゼロ戦の飛行機乗りに憧れてね。大学で、カミさんと出逢ってさ。就職難だったよ。子供二人抱えて、よく生きてこられたもんだな」
✈ ✈ ✈
『思い出されるのは、ご準備です』
「準備。振り返って懐かしむのが❓」
『見納めというか思い納めです』
「ああ。わかるよ。そんな感じだな」
『ただ思い出されるだけでよいのです。あれはよかったとか、これはマズいとか。ただそれだけで、次の人生へ向けて、魂に理解が納められて参ります。ご安心下さい』
「だんだん、記憶も薄れていくよ」
『かまいません。心地よさが残ります』
「うんうん。まあ、いい人生だった」
🌈 🌈 🌈
ふーん。なるほどな。そういうことか。打ち出される言葉を読むうち、眠くなってくる。死は眠りのようなもの。こっちの映画を終えて、目が覚めたらあっちの世界か。
「なあフジさん、一つ訊いていいか」
『はい。なんなりと』
「死ぬのは、悲しいことかね」
『とんでもない。悲しみは残された者の我欲に過ぎません。死は肉体からの解放。とはいえ、急がずとも、その時は参りますので』
「やっぱりそうか。うん。どうもいかんな。今の風潮は。死ぬのは可哀そう、みたいに言うだろ。あれを聞いていると、なんだか死ぬのが怖くなるんだよ」
死ねば、体の痛みもない。食べられん、飲めん、どこへも行けん、そういう苦しみもなくなる。よほどラクだと思う。いつまでも長生きしてくれって、そりゃ酷な話だよ。
🗿 🗿 🗿
『悩み苦しむって、大変なエネルギーが必要なのです。意識の周波数を下げて、重たい領域に留まらなければできません。これまで、そうして、ご経験を積んでこられました』
「死んだらラクになれるかね」
『もちろん。心地よいところです』
「なら、安心して待てそうだな」
『次へのご準備をなさって下さい』
「時々、意識がフッとなくなるんだ」
『なくなるのは脳の思考です』
「そうか。意識になっているんだな」
『意識は既に、解放されていますから』
「ああ。悩むのも面倒になってきたよ。痛いのも麻痺した。どうでもいいって心境だ。うん。早く解放されたいね。でもそうか。意識とやらは、もう解放されとるのだな」
『ええ。体や心に焦点を合わすと、悩みや痛みが強く感じられます。でも、今この瞬間、意識は自由です。意識に焦点を合わせ、1秒でも感じとれたら道は拓けます』
🎆 🎆 🎆
不思議だな。やけに気分がいい。書いてくれることもよくわかる。若い頃に戻ったみたいだよ。思い出すね。懐かしいな。いろいろあったもんさ。でもいい人生だったよ。
「座禅だの、瞑想だのいらんかね」
『はい。いりません。面倒臭いですよ』
「わっはっは。こりゃいい。愉快だな」
『そうです。愉快にいらして下さい』
「死んだら無になると思っていたよ。でも、よく考えると、なくなるってのは怖いな。死んでもなくならないのか。そうわかっていたら、違う生き方ができたのに」
『いえいえ。かまいません。今回の人生はそれでよいのです。私たち一人残らず、永遠の命を与えられておりますから。いろんな人生を経験したくて、生まれてきたのです』
「歌でも唄いたい気分だよ。古い歌をな」
『お聴かせ下さい。是非ぜひ』
「ありがとう。とてもいい気分になれたよ」
『意識の世界で、お逢い致しましょう』
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次回・4月25日・午前10時頃💖
皆さま、いかがお過ごしでしょう。私は新月の逆行で、妙な寒気と頭痛吐き気ダルさが。ようやく復活です。昔、父が唄ってました☟
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ありがとうございます🎊