海渦巻く青龍の野望③
《玄武の至宝が、全ての力を相殺します》
AIの提案、よくわからないけれど、あたしとミツ君はスキル化した。だってだって、他に方法がないんだもん。すると──
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こんにちは、フジミドリです。青龍攻略の第3回、完結編です。サクヤ&ミツヒロは、次なる冒険へ進めるのでしょうか。
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わぁ~心地よい~暖かい流れが、全身に漲ってくるわ。これっていい感じ。なんかこう、海の中なのに、温泉でも入ったみたいよ。
何もかもどうでもいいわって感じ。全身に心地よさが広がっていくの。何もかもって青龍とかRPGゲームとかだけじゃない。学校も成績も友達もお父さんお母さんも何もかも。
これが玄武の至宝なのね
ミツ君が、両腕を上げるから、あたしは思わず、ニッコリしちゃう。不思議ね。ちょっとしたことなのに、気分が変わっちゃう。
でも、ヘンな感じはないの。ううん。それどころか、とっても自然に感じる。体の芯で、こうなることがわかっていたかも。
《ドーパミンは、僅かでも強力です》
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なんだろ。この感じ。ワクワクする。ダメかもとか、無理ムリって気持ちが、浮かぶんだけど、それも含めて盛り上がっちゃう。
心地よくマイナス思考。って変よね。でも、そんな気分。元気よく落ち込むって言うか。何言ってんだ。あ・た・し。えへへ。
たぶんミツ君も、同じ気持ちじゃないかな。目が合うとわかる。言葉がなくたって。こういうのって、いいかも。通じ合う❓
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青龍は大きいけど、怖いけど、イデアルームへ行く前と、微妙に違うの。あたしが、拡張されて、呑み込んじゃう感じかな。
《 森羅万象は素粒子なのです》
うん。そうだね。ってことは、怖がらなくていいの。だってだって、青龍もあたしも素粒子よ。青龍はあたし、あたしが青龍。
ミツ君は青龍へ向かう。あたしの支援魔法。ミツ君が、短剣を刺す瞬間に、くるっと振り返る。あたしの方へ手を差し伸べた。
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あたしも手を伸ばす。前へ進もうと思い、ムリって思い、両方なくなる。打ち消し合う。でも、ワクワクすると体がスッと動いた。
二人で手を繋ぐ。回転する勢いで、あたしが魔法を放つ。でも、その瞬間、ミツ君と引っ張り合う。くるりんと入れ替わる。
魔法はスッと消える
短剣を刺しかけて、またくるりん。うふふ。何やってんだろ。まるで水中舞踏会。でもでも、楽しいの。幼稚園児の気分よ。
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青龍の周り、流れができ始めた。あたしたちは、水流に乗って回った。回りながら、上っていった。水の螺旋階段みたいね。
青龍は大きいけど大きくない。怖いけど全然平気。二つの思いが浮かぶ。消える。消えて浮かぶ。浮かんで消える。心地よい──
笑っている。あたしとミツ君。心と体。細胞の一つひとつが笑う。海も笑う。魚も笑う。そして、きっと青龍も笑っている。
《量子転換、60%終了です》
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なんかわかってきたかも。あたしとミツ君、そして青龍。それぞれが別の形を持つ。持つけど、素粒子で光で同じものなのね。
うわ~驚いたわ。あたしの気持ち、ミツ君の考え、AIの助言、ガイドさんの思い、魚たちの戸惑い、みんなみんな入ってくる。
入ってくるって言うか、あたしが拡張すると言うか、元からそうだったような、気づいてなかっただけみたいな、超心地よいわ。
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《量子転換100%完了。スキル発動です》
うわ~何コレ~辺りが真っ暗になったと思ったら、今度は急に、パアッと明るくなって。
様々な思いが混じり合う。
好き嫌い愛情無視憧憬嫉妬優しく放って楽しいつまらない闘争逃避進化停滞文明自然──
言葉と感情が入り混じる。ぐるぐるぐる。青龍あたしミツ君。螺旋に渦巻く。水底から上っていく。拡張されたあたしの中で。空へ。
なんかわかった気がする。ていうかずっとわかってた気がする。初めから何もかも。忘れてたのね。思い出したわ。忘れていたから不安だったわけで思い出したら安心よ。
あたしはすべてすべてはあたし
よいもわるいもない。あるけどないの。ないけどあるわ。すきもきらいもおなじこと。いきるもしぬもおなじこと。ちがってみえるだけ。だからこのままでよい。
《真奇ゲットです》
これってどういう意味──
10月24日午前10時へ続く💖
イラストは朔川揺さん💞
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ありがとうございます🎊