相殺管理について
はじめに
この記事の目的ですが、現在テトリス界隈で頻繁に出てくる単語【相殺外し】を布教しようというコンセプトが発端です。
で、せっかくなら相殺外し以外の相殺管理について書こう!と決起し、個人的にまとめている文章を記事用に書き直しました。
内容は、ぷよテト2でテトリーグ4000達成者の3人の最上位勢を参考にしています。まず「uyeshota」,「ゆうくん」,に意見を確認した後、加えて「いわしせいじん」に修正点があるかを聞いてそれを筆者がまとめたものです。
三人のTwitter↓↓↓
分類はほとんど筆者一人でしました。それの意見がある方は三人ではなく私にお願いします。
テトリス上位勢、なんでも気軽に答えてくれるから良い界隈。
相殺管理とは
対戦テトリスは、相手に火力を送って致死判定にさせるゲームです。もちろん皆さんご存知の通り「相殺」という仕様があるのですが、火力の相殺を意図的にコントロールするのが「相殺管理」というわけです。
最初に警告しておくのですが、相殺管理=相殺外しではないです
なんとなく上位勢が使っているから、とその内容を理解できていない人たちや上級者でも間違えている人を見かけます。
相殺管理は、三種類に分類することができます。
相殺管理の種類
相殺
相殺合わせ
相殺外し
【相殺】
相殺はその名の通り相手の火力を相殺して無効化することです。
普通に同じ火力分を打つ、RENを分割して完全相殺する、など基本ですが意外と重要な技術です。
【相殺合わせ】
一見相殺と同じ要件に見えますが、相殺合わせは相手に意図的に相殺をさせる/自分側で意図的に相殺することで、相手に下穴を発生させることを指します。
相手が通常TSDを打ってきたところにbtbTSDを送ることで相手に一ラインだけ送り、穴バラを意図的に送ることができます。これが相殺合わせ。
このパターンの強いところは相手側が既に構築した地形を見る=凝視をすれば、ほぼ確実に効果が発揮できることです。
TSD対TSTなどでもできるので、一ライン限定ではないです。2ラインで直列を止められるのはでかい。
理想は先打ちをして穴バラを送るのが強いのですが、先打ちだと相手が相殺を外してくる可能性があるので後打ちも実戦的と言えます。
デメリットは、火力の相殺を合わせるタイミングで時間を使いすぎると相手に積み込まれるので、できるだけ自然な流れでするのが理想です。
名前の由来は「当てる」より「合わせる」の方がこの技法のコンセプトに合っていると思ったから。割と適当。
【相殺外し】
相殺外しは他の2パターンと比べてかなり難しく、その分色々な使い方ができます。今回は主にこの部分について最上位勢である「uyeshota」と「ゆうくん」に話を聞き、それを筆者の考えも統合しました。本文では相殺外しの「目的」と「方法」について解説していきます。
目的については後の総括で簡潔にするので、よくわからない人はそれを見てください。非推奨ですが、見るのが面倒な人はそこだけ見ることもできます。
非推奨ですが。
相殺外しの目的
相殺外しの目的と実用方法は大まかに分けて3つのパターンがあります。
相手の火力をわざと受け、相手に火力を送ることで実質火力を高める技法。
自分のリソースが少ない、または増やしたい場面でわざと外すことで下穴リソースを増やす技法。
相手の火力を相殺した際に1ラインや2ラインなど穴バラに成りやすくなる火力をわざとまとめて受け、直列を引きやすくすし、穴バラを回避する技法。
1.相手の火力をわざと受け、相手に火力を送ることで実質火力を高める技法
これは言葉の通りわかりやすくて良いですね。一番多用されているパターンだと思います。
自分の地形が低く、相手の地形が高い状況の際で考えてみましょう。
相手がTSDテトリスの連発を打つ際、相殺を外すとリソースが少なくなった状況になり、その後に自分側が連発することで相手は対処できずに致死判定になります。
いわゆる攻撃型相殺外し。
自分が有利に、相手が不利になるように仕向けるパターンですね。
これといったデメリットはないです。ただし、凝視をミスってタイミングを誤ると逆に不利になります。しっかり自分の盤面を把握して凝視を怠らないのがミソ。
2.自分のリソースが少ない、または増やしたい場面でわざと外すことで下穴リソースを増やす技法
このパターンでいちばん重要なのは、自分だけリソースが増えるという点です。
状況が停滞して飽和状態になった場合に相殺を外すと、下穴リソースが発生するので状況が変動していきます。相手は下穴がないので、もし直列が来れば自分側だけ連発の体制を楽に構築できます。
ここまで見ると、普通のテトラーはこのように考えると思います。
「これは相手にも同じことができるから、自分だけというのは間違い」と。
たしかに一見するとそうですが、実例で考えるとそうでもないのです。
RENのカサカサ勝負が一番わかりやすいと思います。カサカサをする理由って下穴でRENを繋いで、相手のRENよりも火力を出すためなんです。
積み込み量は同じでも、下穴が繋がる方が有利なんですよね。まさにこの技法を活用しています。
デメリットは、下穴の位置が予測できないので運要素が高いことですかね。ただ、普通の火力は直列を引けると思うのであまり問題ではないと思います。受け方が悪いと普通に負けるのでそれは個人の練度だと思います。
3.相手の火力を相殺した際に1ラインや2ラインなど穴バラに成りやすくなる火力をわざとまとめて受け、直列を引きやすくすし、穴バラを回避する技法
長ったらしいですがこの長さにも理由があります。先述した「相殺合わせ」を相手にされた状況ですね。単体で1ラインを送られた場合は「相殺」すればいいだけなのでわざわざ条件設定をしたわけです。
ここで一般テトラーさんは
「2パターン目とナニが違うんだ!」
などとお怒りになるのですが、それはもちろん「目的」が違います。
この技法の目的は「穴バラを回避する」ことです。
これ以上もこれ以下もないので説明は割愛します。
デメリットはやはりタイミングを間違えると普通に不利になったり負けたりすること。
参考動画↓↓↓
パターン①の参考例 これは珍しく、失敗例と成功例がある動画です。
パターン②の参考例
パターン③の参考例
総括
ここまでは内容を理解したい人向け。非推奨を選択した皆さんはここだけみればOK。
記事を書いている身としては残念ですが、結局のところ簡潔でなければ伝えたいことはあまり伝わりません。まとめがなければ筆者の意図もわからず、読者側で解釈する必要があるからですね。
というわけでドン。
相殺外しの目的3選!
火力を送る
下穴リソースを増やす
穴バラを回避する
以上!
目的の複合
総括だからといって、記事が終わるわけではない!
というわけで3パターン紹介したのですが、これらは複合することが可能です。
どういうわけか、実例と一緒に考えてみましょう。
自分がリソースを消化したあと、相手が堀RENで7RENを繋いできたとしましょう。
リソースを消化した自分は、低地形なので直列を受けるために7RENをまとめて受けます。7RENの合計火力は12ラインなので問題ないです。
すると、一度に受けたことによって、直列が来ると共に穴バラを回避できてるのです。
これが目的の複合です。
この例では2パターン目と3パターン目の複合ですが、1と2、1と3、果てには全部なんてこともザラにあります。
アタリマエのことですが、言語化するまでは意外と気が付かないことだと思います。
確かに!ってなりましたもんね。
そうさせたのでなっているはず。
相殺外しの方法
相殺外しの目的はわかったと思うので、次は方法を説明したいと思います。
といっても、文章ですべてを教えます!なんてことはできないので、こうやって相手の火力を待つ、ということを説明したいと思います。
分かりやすいようにメリットとデメリットを振り分けてみました。といってもデメリットはあまり無いので頑張って捻り出してます。
方法は現状三種類あります。
ガン待ち
積み込み
フェイント
【ガン待ち】
その名の通りガン待ちです。区切ることによって自分にとって相殺を外すタイミングが分かり易くなります。もちろん相手にも分かり易くなります。
ですがそれも「圧」に変換すれば捉え方は良くなります。やってることは変わりませんが。使う状況としては相手の地形が高い時、自分がこれ以上積み込むと地形が悪くなる時等です。
メリット:タイミングが区切れる 圧が出る
デメリット:相手がタイミングを読みやすい
【積み込み】
プレイを止めずに、リソースを溜め込みながらTやIをホールドしていつでも打てる状態にして相殺を外す方法です。
相手がガン待ちしてきた際に積み込んだら待っている分だけ火力が増えます。
特に強い状況は相手が絶対相殺を当てたいタイミングです。
相手が凝視をしていないと勘違いしたり、焦って先打ちしてくるのでかなり強いです。
ただ、積み込みすぎると相手に凝視されて刺さる危険があるので、そこはやりくりしてほしい。
この方法はタイミングの判断や常に凝視が必要な点、ホールドネクストの管理が必要なのでかなり習得難易度が高い。だができるようになったら実力が数段上がるのは間違いない。
メリット:リソースが増える 相手に読まれにくい
デメリット:積み込みすぎ注意 凝視が常に必要
【フェイント】
火力を打つと思わせてホールドを使用するか、別の場所にミノをおいて相手を騙す方法。
盤面は限られるが選択肢の一つとして立派な戦術である。
ほとんどの場合はホールドを使用して相殺を外し、ホールド内のミノで火力を送る。後者はネクストにTかIがないと絶対にやらない方が良い。
デメリットは特にない。ネクスト、ホールド管理が必要だが、そもそもフェイントを目的とした立ち回りは無いので、基本やらなくてもいいからです。
フェイントしたいからあと12ミノまでにこれをこうして…なんて考える必要ないのです。ネクストと凝視を見て「刺さりそうだな」という場面だけ使いましょう。
使用場面が少ないのもそういったことが原因です。
メリット:相手の意表を突ける
デメリット:盤面が限られる
参考動画↓↓↓
これはHoldだけがフェイントではないよ、という動画です。圧を出して相手が先打ち→他のミノを先においてTミノを保持して連発。
ライン差理論
火力を打ったときの前後でラインの高さが変わらないので、相手の火力を実質相殺できてるという理論です。
相手の火力-(自分の火力+消したライン数)=Z
これが基となる考えかたです。Zが自然数なら相殺できてない、0なら完全相殺、負なら堀ができている(これは微妙で大雑把すぎる)、という感じ。
Z = 0: 完全相殺(自分のラインの高さに変化なし)
Z > 0: 相殺不足(相手の火力が勝り、自分のラインが増加)
Z < 0: 自分のラインが減少(実質的にライン段数を下げられる)※このパターンは少し特殊です
先述の相殺、相殺合わせにも影響しそうな考え方です。
防御的な技法ですが、これも相殺管理に入るんじゃないか?と思い入れようとしました。が、自分ではこの技法の名称を見つけられなかったので勝手に名前をつけました。上部での生存やまとめうちの対処にとても有効な考え方です。
これが相殺管理の一種なのかに頭を悩まされ、未だ結論は出てないです。ですが、間違いなく相殺管理技術を駆使しているので紹介。
参考ツイート、動画↓↓↓
調べたらkazuさんが同じようなツイートをしていました。ここでも名称は無いみたい。
【重要】
この理論の名称が既に存在している場合、DMやリプで返信ください。
また、堅苦しい名前なので随時名前募集してます。歓迎してます。
まとめ
【相殺外し】を布教しようというコンセプトですが、これを言い出したのは筆者ではなくゆうくんです。もしかしたら今後動画や配信で相殺外し解説なんてものをやる可能性があります。まあ彼は現在、インクを塗るゲームにハマっているようですが。今回の記事、太字と分かり易さを意識して作ってみました。もし文章を読んでわからない人は、太字と参考動画を意識して見てください。
また、記事の内容以外にも構図的にリンクの位置を替えてほしいとか、細かいことも意見ほしいです。気軽に聞いてください。
※今後の意見の採用や変更の影響で、内容が変わる可能性があります。そこは許して。
おまけ
まとめだからといって、記事が終わるわけではない!
記事用に動画を作ってみました。
このリプレイ内での思考を解説しています。「この判断間違ってね?」と思う場面もあるかと思いますが、あまり動画例がない相殺当ての場面があったりして「相殺外し」ではなく「相殺管理」に焦点を当てて作りました。
良いところ、悪いところがあるクリップだと思うので是非考えてください。
テトリスは選択の連続。どちらでも良い選択、明らかに駄目な選択、なんか分からないけど良い結果になったなどなど。。。
この記事を機に深くテトリスを考えてみても良いと思います。