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バイリンガル・マルチリンガルの思考の柔軟性と幸せについて

こんにちは。アメリカ東海岸在住ママプレナーのSacraです。

現在、イヤイヤ期真っ盛りのバイリンガル、いや、マルチリンガルの2歳児を全力で堪能中です。

我が家はアメリカで生活してますが、夫がフランス人なので、家庭の共通言語はフランス語、私の場合、仕事は主に英語・日本語で対応しています。

よって娘は、家庭では主に夫やベビーシッター(フランス語ネイティブ)とフランス語で話し、私からは日本語で話しかけられ、外では英語を学ぶという、マルチリンガルな環境に置かれています。

そんな中、バイリンガルに関する興味深い記事を発見したので、この実験について私なりにちょっと考察してみました。

同じように、海外育児をされている方や、日本でマルチリンガル教育を実践されている方の心の支えになれば嬉しいです。

今回の参考文献:BILINGUAL SPEAKERS EXPERIENCE TIME DIFFERENTLY FROM PEOPLE WHO ONLY SPEAK ONE LANGUAGE, STUDY FINDS


バイリンガルは一つの言語だけを話す人よりも「柔軟な思想家」

ランカスター大学とストックホルム大学の研究によると、バイリンガルの経験する時間は、1つの言語しか話さない人とは異なるようです。

この研究によれば、バイリンガルはしばしば意識的にも無意識的にも2つの言語間を行き来しながら思考するとのこと。

また、言語が違えば、時間の呼び方も異なることがよくあるとのこと。

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たとえば、同じような表現でも、スウェーデン語と英語では物理的な距離を引き合いにして「Taking a short break」 というのに対し、スペイン語では物理的な量とボリュームを使って 「Taking a small break」 と言います。

そこで、研究者たちは、スペイン語を話すスウェーデンのネイティブ・スピーカーに、スクリーン上で伸びていく線を見たり、容器が水で満たされているのを見たりして、どれくらいの時間が経過したかを推測してもらいました。

被験者がスペイン語で話す場合、バイリンガルは容器に充填される量に基づいて時間の見積もりをします。

しかし、スウェーデン語を話すように言われると、突然距離での時間の見積もり方法を変え、容器の量ではなく、スクリーン上で移動した線の長さによって時間を見積もったそうです。

これは、つまり、私たちの言語が、私たちが思っている以上に日常の感情や知覚に入り込んでいることを示しています。

そして、この実験によって、バイリンガルは一つの言語だけを話す人よりも「柔軟な思想家」ことが示された、というのです。

確かに、私自身も、日本語で話している時と、英語やフランス語で話している時は少し思考回路が違う気がしていて、よりシンプルに結果重視なアプローチをとっている気もします。

バイリンガルであることは精神的な健康に長期的な利益をもたらす

さらに、この実験を行った研究者であるAthanasopoulos教授は、バイリンガルの精神的な健康についても言及しています。

具体的には、

「異なる言語間を毎日行き来することは、学習能力や多作業能力、さらには精神的健康のために長期的な利益をもたらすことを示唆する証拠がある。」

と、述べています。

これには、確かに!と実感として納得してしまいました。

現在、3ヶ国語で育児をしていて思うのは、各言語を話している時のうちの2歳児の考え方や行動様式、時々パーソナリティまでも違って見えるからです。

そして、そのこと自体を、何だか楽しんでいるようにすら見えます。

例えば、こんな感じでしょうか?

英語を話している時:なんだか、コトバの表現が大げさになって、ジェスチャーも大きくなる(例えば、Oh My God!!と言って両手を大きく広げて頭に手をやったり)。いつもにもまして、大胆不敵感が増し、道行く人々にも"Hi"と話しかけたり、みんなwelcome的な極めて社交的でオープン。返事も、"Yeah”などと返す時は、大人顔負けに自信満々な感じがします・汗。ミニ・アメリカンがそこにいて、どこからそんなの吸収したの?!とパパママは焦ります。

日本語を話している時:天真爛漫さや元気なところは同じですが、いつもより少し丁寧ではにかんで控えめな感じ。ちょっと女の子ぽくて可愛らしい感じになります。ありがとう、というときに、なぜかペコッとお辞儀もします。特にこの大変化は、日本に帰国中や帰国直後は顕著に表れました。当然、日本人のみに日本語を話すので、日本人コミュニティの中の自然とそのやり取りの中で学ぶ行動様式もあるのかもしれません。いずれにせよ、親としては、「女優?!」と、しばしば目が点になりました。

フランス語を話している時:なぜか、”Mais NON(でも、ダメ!)”という、否定形が多くなり、気の強い女の子になります。コロコロ笑っていても、ダメなものはダメ、嫌なものは嫌、と、何だか急に気難しいというか、手強くなる印象があります。その一方で、フランス語で家族で話している時は、いっぱいハグしてきたり、いっぱいBisou(ほっぺに軽いキス)をしてきたりと、スキンシップも多くなり、パリジェンヌの片鱗を見ている気がします。(フランスにはもう2回帰っていますが、その当時の記憶はないはずです。また、周囲に頻繁に会うフランス人はいません。

こちら、使用している言語以外にも、その時の環境や気分など、他にも要素があるのかもしれません。

ただ、話す言語をスイッチすることによって、柔軟に多角的に物事を考え、その時々で最適なアクションを取れるようになる気がして、母としては嬉しくも思いました。

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そして、各言語を話している時の思考や考え方は、多分その言語ごとに寄り添って違うものなので、一つの事象に対して、少なくとも3つの捉え方ができるのでは、という仮説を立てました(職業病)。

つまり、将来、何かにつまづいてとことん落ち込んだとしても、その物事に対して、客観的に複数の捉え方ができ、より柔軟に対処していけるのではないかと、思ってしまいました。

ビジネスアイデアなど、何か創造的な活動においても、多角的に物事を考えて柔軟に動ければ、それは、言語能力以上に貴重な資産・スキルにもなるでしょう。

私の考えるバイリンガル・マルチリンガルの最大の幸せ

上記に加え、私の考えるバイリンガル・マルチリンガルの最大の幸せは、世界中のより多くの素晴らしい人々と出会い、理解し合えるチャンスが与えられるということです。

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世界の人口は約73億人で、そのうち英語を話している人は約15億人いると言われ、フランス語の話者は2億人以上いると言われています。

日本の人口が1.2億人として、英語を話せるだけでも、ほぼ約12倍以上の世界中の人と、コミュニケーションをとるチャンスが与えられるわけです。

前述の実験で実証された言語の特性による柔軟な思考に加え、実際に、これらの言語を話す人々との出会いや関わり合いの中では、もっと得られるものが大きいはず、と考えます。

私が世界中で出会った、素晴らしい親友やメンター達は、私の人生の大事な岐路にあたって、いつも道を照らしてくれ、海外に出ても日本人の思考から抜け出せない自分に、様々なものの見方や深い示唆を与えてくれました。

様々な国の素晴らしい人々とのグローバルな繋がりが、私の人生を大きく彩りのあるものにしてくれたように、娘が私以上に、自由に言葉を操り、素晴らしい友人たちと出会い、羽ばたける日を夢見つつ、日本語担当の私は、毎日の絵本読み聞かせに力が入るのでした。

英語を習得することによって得られるキャリア上の幸福については、以下の記事をご覧ください。

英語力を伸ばすと人生の幸福度がこんなに上がる理由5つ

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