チョコエッセイ🍫後悔の香りが鼻に抜ける
VESTRIってご存知ですか。
カラフルな四角い缶の
ゴールドのかわいくて小さいスプーンがついている
すくって食べるタイプのチョコレート
と聞けば、あぁ、あれのことか。となる人はたくさんいると思う。
かくいう私も、そうなる人間の1人だった。
今年までは。
チョコレートに魅せられて数年、ショーケースの前で立ち止まり、数分眺めて踵を返す、これを繰り返していた。
毎年、これすごく美味しいのよね、と話す女性たちの声を背中に浴び、買うか買わないか迷っていた。
こんなに何年も想っているのだからと、今年は決心して購入した。
重大な決断だった。
2個入りで3,618円、高すぎることはないが、安いとは言えない。
更に、9種類の中から選ばなければいけない。
熟考を重ねた。
結果、黄色い缶のリモーネと青い缶のフォンデンテを購入し、抱きしめたくなるのを我慢しながら持ち帰った。
17,759kmの度の末、私の元へたどり着いてくれたこの小さなチョコレートへの愛しさで、胸がいっぱいになった。
まずリモーネから食べようと袋を開けると、ふんわりとレモンを纏ったジャンドゥイアの香り。
もうおいしかった。
食べる前からおいしい。
約束された満足を感じた。
そして口に入れた瞬間、激しい後悔に襲われた。
私ってば、どうしてVESTRIを知ったその年に買わなかったのか。
知っていながら食べたことがなかった数年を、激しく公開した。
そのくらいにおいしかった。
もともと、柑橘系のチョコレートに少しばかり苦手意識があったので、おいしいと評判とはいえ、もしかしたら私は苦手なのではないかと心配していた。
そんな心配は杞憂に終わった。
香りと同じく、ふんわりとレモンの味がする香ばしく甘いジャンドゥイア。
優しいけど弱いわけではない。
確かにあるレモンの存在感が、ジャンドゥイアと溶け合って、濃厚なのに食べ飽きしないのだ。
程よい酸味って、こういうことなのか。
手からプラカップに伝わる体温で、外側のチョコレートが柔らかくなり、しっかりした食感ととろけた食感が楽しめるのもたまらなかった。
気がつくと容器は空っぽで、この冬私は後悔の香りを知った。
VESTRIに興味を持ったあなたへ。
ぜひ買ってください。後悔はさせません。
というか、後悔しないでください。
私はこの、甘く爽やかな後悔の香りを独り占めにしたいのです。
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