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早藤尚
2024年11月11日 13:49
「ほいこれ」 差し出されたのは手のひら大の黒い箱。緩慢に首をめぐらせれば、ビニール袋を携えた友人がそこにいた。「座り込むほど俺長い買い物したか? 確かに多少悩んだ自覚はあるが」「そんなことはないよ」 答えて、ゆっくりと立ち上がる。急にしぐれた空は彩度の低いブルーグレーから変わらず、天候が回復する兆しは一向に感じられなかった。雨宿りがてら立ち寄ったコンビニの軒先は思いの外狭く、風が吹けばたち