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最終回うちのヤバいだんな74話 解説とお礼です
いったいあとどのくらいで書き終わるんだろうか?と私も検討がついていなかった連載が、とうとう最終回になりました。
「タイトルがだんな なので、結婚するまでを書くのを目標にしましょう」とcakesさんに言われて始まった連載。
その場しのぎで面白い部分だけを書き、皆に喜んでもらってそれで良し、としていたものが、まさかの連載です。(そんなに面白くない事も沢山あったのにどうやって書けばいいんだよ)と独りぼんやり悩む日もありました。しかも、夫の職場の人や、親族の皆さんがこっそりと読んでいるという噂も耳にします。ああ、私はどこからどこまでを描いて、どこを隠せばいいのでしょう。でもこの手の漫画で『色々ありましたが、大人の事情でここでは割愛します』的な肩透かししているものは、(いや、別にあんたの事なんかそんなに興味ねーし)と無性に腹が立ちます。(SNSでぼんやりした写真とともに、ムフフな計画進行中💗だけどまだ秘密、とかいう投稿も憎んでいます)。
だから、なるべくきちんと順を追い、私の気持ちに正直に書きました。私の嫌な部分を晒し、人を妬んで、世間体を気にし、親の抑圧に苦しんで、年齢を気にして、きりきりと心を削った数年間の記録でもあります。せっかく漫画を描く場をもらったからには、どこかで心を削っているかつての私みたいな誰かの何かになって欲しい、と思っていました。
毎日頑張って働いて、ちゃんと暮らしているのに「いつまでも独身でぷらぷらして。○○ちゃんはもう二人も子供がいるのよ、あんたもちゃんとしなさい」なんて言われている女性、今も沢山いると思います。自分の欲しい物は自分で買い、きちんと生活をし、仕事を頑張って、沢山税金を納めているというのに、女性はある年齢に達すると、突然多くの役目を求められ、むしろ仕事一辺倒の人が軽んじられる時期があるように思います。
この漫画に描いた時期の私は、そのことにとても怒りを覚えていました。その怒りが、結婚や出産という方法でしか私には解決できなかったのです。
結婚も出産も、世間や親に対する勝利宣言であり、私はようやくそこで一息つくことができるようになりました。
でも、本当はこうではない自分の在りかたもあったはずだし、恋人との関係性においても、他の方法はあったと思います。
数年後の未来である今は、もう少し寛容で、女性がのびのび生きていられる世の中になっているでしょうか。
私はもう、それがわからなくなってしまいました。
若い人にしか聞こえないモスキート音みたいに、子供を産んだら産む前の感性がすっかり消えてしまったのです。それは残念な事でもあるので、一方通行ではありますが、漫画ですこしでも私の気持ちが伝われば嬉しいです。
解説です。
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前回、滅茶苦茶言いにくいけど、意を決して『妊娠』の事実を告げた私。考える時間をくれ、というぼんやりした返事から一切、連絡が来ないままもうすぐ一週間が経とうとしています。
普通こういうのは、3日くらいで何らかの返事をするべきじゃないでしょうか?1週間はあんまりだわ。絶対そんなに考えてもいないはずです。
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で、そんな事をちょっと年上の女性に相談してみます。なんだかこういう事は、私とはステージが違う女性に相談したくなります。なるべく間違いがない答えを聞きたいし。
でも、答え多分、間違えてる。
考える=前向き って事でもないわ、と今ならわかる私。
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その時はリアルに、(そうか、前向きだから時間が必要なんだ)と膝を打つ勢いで納得していました。これは小学生から大人までの全ての女子に脈々と受け継がれている儀式のようなもんなんですが、恋愛相談を女子にすると、こういう変な回答が大真面目に返ってきます。恋愛相談は還暦を過ぎた完全に別ステージにいらっしゃる大人の男性にしたほうが良いと思います(でも相談しにくいな)。
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こんなにも返事が来ないなら、もう奥の手の『母ちゃん』を出すしかない、と決意をする夜。結局、『母ちゃん』が一番強いですから。
とうとう返事が来ました。
今夜家に寄る、との事。
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とうとう、時が来ました。
嫌な予感しかしいません。そして、嫌な予感は往々にして当たるのです。
何でこんなことになっちゃったんだろう、私ばっかり。
イケメン好きだからいけないのかなー、ああ、でもなあ、もうこのイケメンがラストイケメンだったと思うから、この先はちょうどいいイケメンとは出会わないだろうなあ、難しいもんだなー。
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とんとん拍子で上手くいくかに思えた初期の頃を振り返っても、既に一度無くしたものは元には戻らないようです。
ではさて、私達は何を無くしてしまったんだろう。
無くしたものが何かもわからないのです。
人間関係は難しいものです。
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かつては「そろそろ子どもを」なんて口走った事もある人が、深刻な顔をして「結婚も子供も考えられない」なんて言うわけです。私がそう言わせてしまったのでしょうか。それじゃあ、私が何をしたというのだろう。やっぱりわからない。だけど、きっとそう言わせてしまう何かが私にあるのだろう、と飲み込むしかありません。
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私はこの返事を予測していたので、滅茶苦茶計算して、私が大変お得になる条件を書き出してありました。私は知っています、イケメンが「こんなの無理」と言う事を。そう、本当に無理なんです。でも冷静に考えると、初めからシングルで子供を産み育てるって大変な事です。きちんとした会社にお勤めの方ならまだしも、私のようなフリーランスみたいな仕事の場合、自分が動かなければお金も入りません。動いたところでお金が入らない事もたくさんあります。
もしかして、お金が無いからこんな事言ったのか?
イケメンは劇画のように曇らせた顔を一転ほころばせると、フィーリングフィーリング言い始めます。
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そして、今さら「フィーリングが合う!」と改めて出会ったばかり、みたいな顔をして寄ってくるのです。完全に意味が解りません。
だけど私もどうかしている部分があるので、口の端で笑いはじめます。
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この人は、結婚は無理だと言ったり、フィーリングって言ってみたり、訳が分からない。そして、ついには「完敗です」と私の前で降伏したのです。
ずっとイケメンをコントロールし、自分の作戦の手中に収めていたつもりだったけれど、ひょっとしてこの人は全部わかった上で、騙された振りをしていたんだろうか?もしかして、アホな振りして何枚も上手だったのか?
気が付いていなかっただけで、本当は自分がイケメンの手のひらの上で転がされていたのかもしれない、と考えると、ぶるるっと身震いがしましたが、私はもう、イケメンに何も聞きませんでした。
おしまい
終わりに
この漫画は幻冬舎×テレビ東京×cakesのコミックエッセイ大賞のグランプリ受賞から連載が始まりました。私をグランプリに推してくださったのは けらえいこ先生で、先生は責務を負わなくてもいいというのに、沢山心配をしてくださって、折々に私を案じた連絡をくださり、本にならない私の状況に心を痛めて奔走してくださいました。とても有難く、お心遣いと気持ちに涙が出そうです。確かに本にはならないし、ドラマにもなっていませんが、私は先生のおかげで鬱々とした状況から抜け出して、漫画を描く、という新しい生活を手に入れる事ができました。漫画を読む楽しみも得ました。私は漫画を描く前より、描き始めてからのほうが格段に幸せです。
そして、読んでくださった多くの皆様、ありがとうございました。
私の机の上の真っ白の画面から生れた世界が、知らない誰かに届いているなんて、とても面白いことです。
この面白い事を、せっかくなのでこれからもこつこつと続けて行こうと思います。
長い間、読んでくださってありがとうございました。