日産童話と絵本のグランプリに入賞しました~
3月4日の授賞式のために、3日の夜に大阪に向かいました。なんと、雲をつかむような話だな、私にはきっと無理だと決めてかかっていた賞、日産 童話と絵本のグランプリの、絵本の部門で優秀賞をいただいたのです。
普通の賞は、入賞者以外には作品の返却のみでそれっきり、が当たり前なのですが、この賞はとても丁寧なのです。なんと、参加者全員にけっこうちゃんとした入賞者作品紹介の冊子を送ってくれるのです。だから、無理かなーと思っても、傾向と対策のために応募して冊子をもらい、翌年に備えるのが良いのですよ。
受賞の連絡はかなり早く来ました。でも3月4日までは秘密にしなければいけません。たまに来る書類とメールの連絡のみでの繋がりだったので、ずっと(本当かな?)と心配していましたが、本当でした。
一生来る事はなかったかもしれない場所、東大阪市の荒本駅に降り立ち、会場の大阪府立中央図書館に向かいます。たぶんこんな感じの図書館だろう、と想像していた通りの外観だったので、迷うことなくすぐたどり着きました。大変わかりやすいです。
しかも外に日産の賞の人が立っていて、こっちです、と案内までしてくださっているのです。安心安心。不安な気持ちが少しほぐれます。
なぜ前の晩から大阪に泊まり、朝9時過ぎの荒本駅に降りたかというと、なんと、入賞者には審査員の先生によるセミナーが授賞式の前にあるのです。知らなかった!参加は希望者のみですが、もちろん希望するでしょ。
会場のホールの入り口では、大勢の人がわらわらと待機されていました。カメラマンが大きなカメラを構え、お花のリボンを受け取る私をパシャパシャと連写します。
(その写真なんのため?) と動揺しつつも、万が一にも何かにその写真が使われたら、と最良の状態の顔をキープします。
少人数ということだったので、絵本の部では優秀賞3名と佳作の方1名の合計4名が参加しました。がっちがちの厳しいセミナーかと思い、身を縮めて恐れていたのですが、やはりそこは絵本を描くようなちょっと浮世離れした人が集まる場、全然がっちがちではなく、厳しくも率直で正直な言葉しかない場でした。ほんと、文や絵の人ってまっすぐな言葉を使う人が多い気がします。裏がない世界は安心できる。
主催の大阪国際児童文学振興財団の方の司会でセミナーは進みます。
順番に各人の絵本原画がテーブルにずらり並べられます。黒井先生と、高畠純先生、そして他の入賞者、作者ご本人が意見をのべます(事前にみんなの作品を読んで予習してます)。先生方は、「このページはいい、でもこのページのここが残念だ」といった具合に、明快に意見をくださいます。私の場合も、(私らしくなく上手く綺麗に描いちゃったな)と思っていたページを、「このページが突然おかしい」と指摘されてしまいました。ちょっと変だな、なんか納得いかないな、と自分の中できちんと消化できないままだったものは、すぐにバレてしまうようです。ちゃんと納得できるまで粘らないといけないし、自分を信じるべきなんだと改めて感じました。そんなの当たり前の事だけど、何ページも描いていると、「もうわからんっ!」となってしまう事があるんです。ぜんぜんぴったり来る絵が浮かばないって。でも逃げちゃだめなんだ。
午前のセミナーが終わると、別室に案内されました。そこにはセミナー参加者のための、お弁当と飲み物、かごに山盛りのお菓子(すごく美味しいやつ)が用意されていました。こんな話も聞いていなかった!親切丁寧が過ぎます。そこで、童話の部の入賞者と合流です。日産のこの賞、童話の部の応募者がとんでもなく多いのです。今回は1806編、つまり1806の中の上位4に入っている人たちです。とんでもない選ばれし人々です。その童話の部の人が色々話しかけてくれて、初めは静まり返っていた部屋に活気がやってきました。童話の人~っ。
午後から授賞式がスタートです。簡単なリハーサルを終えると、プロのアナウンサーの方による司会進行で式が進みます。大賞の絵本、童話の、プロによる朗読、選考の先生方のお話、黒井健先生の講演(デビュー時からの過去作の画像みながらの説明、面白かった!)も聞きごたえたっぷりでした。童話の部の大賞の方は13回応募されてとうとう!という方。審査員の先生も大変喜んでいらっしゃいました。
絵本の部の優秀賞の一人は、90歳の方です。これは凄いの一言。何かを頑張り続けるエネルギーを維持できるのは凄い事です。
私もすっかり中年もいいところで、(今更なにかを始めても無駄なんじゃないかな)という考えが頭をよぎったりもします。もう遅いんじゃないか、と。でも90歳の方を前にしたら、私全然遅くないじゃん、です。健康に長生きできれば、の話ですが。
WAKOの包み紙に入った記念品は、裏に第39回日産童話と絵本のグランプリ入賞記念、と印刷されています。賞状や記念品を頂くのは、大人になってから久しく無かったことです。これを準備してくれた皆さんありがとう、と泣きそうになります。めちゃくちゃ記念になるから、一生大事に使う予定です。
セミナーの時、高畠先生が私の絵が好きだと言ってくださった時も、嬉しくて泣きそうになりました。年をとると、すぐに涙が出そうになるのです。顔の筋肉まで弱くなっているからでしょうか。審査員の先生の言葉、大賞受賞者スピーチ、90歳の優秀賞と、ほろりとするポイントが随所に散りばめられた授賞式の日は、まるで起伏に富んだドラマのような一日でもありました。
終わるとすっかり夕方になっていて、じゃあね、またね、と受賞者の方たちと別れたけど、またどこかで会うんじゃないかな、なんて信じてみたくなりました。あまりにも特別な一日でしたから。
というわけで、大賞をとれない私はまだまだ頑張らなければいけません。
雲をつかむような、とやっぱり思ってしまうけれど、
誰かが必ず雲をつかめるんだからな!