1月20日 ささめやゆき さん
今日は所属しているイラストレーション学校の特別授業で、ゲスト講師による講演会があった。土曜に、しかも夜に外出など、ワンオペ育児でこの10年近く殆ど経験ない中、夫に早めの帰宅を頼み、お店番を人に頼んでまで出向いたのは、講師が『ささめやゆき』さんだからだ。
子供の絵みたいな、一見ヘタクソな絵だけど、どうにも真似ができないほどに上手くてなにしろ可愛い、ささめやさんの絵。どうやって描いたら良いのかわからなくなると開いてみる本を傍にいつも何冊か置いているのだけれど、ささめやさんの絵本もいつも置いてある。迷った時、「好きなように描けばいい」と背中を押してくれるような絵がささめやさんの絵だ。
ささめやさんは、いつかどこかで見た写真のささめやさんとまるで同じ格好をしていたのですぐにわかった。スタンドカラーのゆったりしたジャケットと丸い帽子。ジャケットは奥様が今まで沢山縫ってくださったから、何枚も持っていらっしゃるそうだ。
絵に特段興味がなかった子供時代のこと、葉書整理の仕事で集英社に入り、通勤の途中(絵を描いてみよう)と思った時のこと。自分の強い意志や本意ではない状況に流され、会社を辞め、退職金の35万円で思い立ち、パリに行ってみたこと。なぜ行くのか、の言い訳で親に「絵を描く」と言ったこと。
「ただ好きなように絵を描いてきただけで、だからずっと誰にも認めてもらえなかったし、初めて絵が売れたのは49歳の時だった」
ささめやさんは静かに語る。「どうしたらいいのでしょう?」と聞けば「自分が好きなように絵が描ければ、別に認めてもらえなくたっていいじゃないの」と答えが帰ってくるし、ささめやさんは本当にそうやって自分の気持ちのままにやってきた人だからそれは正解なのである。
イラストレーションはそもそもコマーシャルなものだから、仕事にならなければ意味がない。人が望む絵を描く、仕事でもある。だから ささめやさんの生き方、描き方は全然参考にならないかもしれない。だけどやっぱり、
「好きなように描けば、それでいいじゃない」
ささめやさんの口から出るその言葉には、確かにその通りだわ、と頷くしかない重みがあった。
自分勝手に、自分の好きなようにやってみよう。結局きっとそれが大勝利なんだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?