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2023/11/9 もうすぐクリスマス

 木曜の朝は疲れている。週の半ばはなんだか疲れる。昼頃絵本の絵を少し描くと、店に行って納品物の数量確認と、商品の写真撮影。ある程度片づけが終わると、本日のメインイベント、クリスマスの装飾を始めなければならない。
 大きなクリスマスツリーを、上のほうにある収納から降ろすだけで決死の思いなので、ストレスがすごい。べこべこの古い箱からツリーをとり出す。そこでまず、偽のモミの葉っぱがぱらぱらと床に散る。これもクリスマスの飾りつけのストレスの一つだ。
 3つに分かれているモミの木を、頭や顔を枝先で刺されながら何とかしかるべき所に設置する。やれやれ、これで大丈夫。一瞬ホッとしたけれど、むしろここから苦難が始まる。
 
 『クリスマスボールは表面じゃなくて枝の奥の方にも下げるとツリーが豪華になって格段に良くなる』といつかどこかで聞いたような気がする。私は大小のクリスマスボールを大量に買い込んだ。これらをまた、均等に美しく枝に吊り下げなければならない。この『均等』が大きなツリーを狭い所に設置する場合は困難を極めるのだ。
 
 これでなんとか仕上がった、とリボンとクリスマスボールで可愛らしくなった偽モミの木を見た。そういえば、電飾をつけなければ。くるくる上から電飾を巻き始めて、そういえばこの作業も案外すんなり出来ないんだったと思い出した。私は失敗しないように、慎重に、上から下まで均等になるように巻いていく。この最終仕上げともいえる段階が、毎年案外時間がかかるのである。
 やることはこれだけではない。去年の10月、ふらりと寄った新宿伊勢丹の上階のクリスマス催事場で、すっかりクリスマスに夢中になってしまった私は、それからNetflixで海外のB級クリスマス映画を何本も観て、本場の人々のクリスマス装飾にかける意気込みを学んだ。

 (ドア周りもぐるりとモミの木を飾らねば)。クリスマスに取りつかれた私は、中国の怪しい会社からモミの葉っぱのリースを2本購入し、クリスマスボール、オーナメントも買い足した。針金でバリバリのリースを広げる。床にハラハラ、緑の偽葉っぱが舞い散る。
 天井あたりをぐるりとリースで囲い、オーナメントを付け、電飾を巻き付けること2か所。

 途中、「わー、凄い」と娘の同級生の男の子二人がウインドウの外に駆け寄ってきた。嬉しい、もっと褒めてほしい、こんなの誰もほめてくれないから。「僕もウインドウに入りたい」と言うので、それはやめてくれ、と答える。

 すっかり夜になってしまったので慌てて家に帰ったら、夫が帰宅していて夕飯を作ってくれていた。

 「正月、なに喰う?」
としつこく聞いてくる。去年、カニカニ言うので2万で蟹を買ったのだが、氷が解けるとともに、しなしなと蟹本体のちっぽけな姿が露わになっていく様は悲しかった。「もう2度と蟹は買わねえ」、あの誓いをまだ忘れていないようだ。
「ホタテを買っておいてくれ」と頼まれてしまった。私はホタテにときめかないけれど、かといって何が食べたいのかピンとこない。強いて言えば、お節の中に入っている若桃の甘露煮をもっと沢山食べたいな、くらいである。(でもいっぺんに沢山たべたら、若桃の事、嫌いになっちゃうだろうな)。

 二日後くらいに腕が筋肉痛になると思う。

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