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うちのヤバいだんな66話更新されました

cakes連載、土曜日に最新話更新されました。

https://cakes.mu/posts/35513

やりたい事部やっておこう、何しろ占いでは来年の私は、兎にも角にも妊娠しているらしいから、と言う事で、SATC(ドラマsex&the city)ファンの私はNYに行ってみよう、と思い立ちます。NYは独身の間に行かねばならない所なのです(SATCに影響されているので)。

実際、今となってはNYなんて全然行けない

学生時代から色んな所に旅行に行っているので、一人旅は慣れたものですが、案外先進国には殆ど行ったことが無い私、そこそこ腰は重いです。

日本的なビジネスホテルで1泊6000円とか、全然無いし

しかし様々な予約サイトを、どう検索してもマンハッタンあたりでは安い宿など見つかりません。かといって、よくわからない地域に泊まるのは、デンジャラスシティNYでは恐怖でしかありません。1ブロック違うだけでも街の雰囲気が変わるって聞くじゃないですか、そういえばSATCのキャリーも、ピンヒールで夜歩いていたら、良からぬ奴らに絡まれて「キャーっ」って叫んでいました。あんな大声で叫べないし、「ヘイ、タクシー!」って即座にタクシーに乗り込むほどの機敏さも持ち合わせていない私は、なるべく中心部に泊まりたい。それにしても、NYではキャリーみたいに「ヘイ、タクシー」って声を上げなければタクシーに乗る、という意思表示ができないのでしょうか。それならば、私には住むのは難しそうです。

そんなに仲良くもなく、モヤっとした関係が続いていた私たちは、お互いに相手の事に興味がない、という態度を全面に出して暮らしていました。
あまり前々から申し渡しても忘れる可能性が大きい、という事もあって、前日にさらりと旅行の事を言ってみます。

驚けや

それなのに、「あ、そう」って感じで無反応。あんた本気で?アメリカめっちゃ遠いのよ。

ああ、ほんとムカつくね、自分はジャマイカしか行った事ないくせに。

そんな気持ちでくさくさしていた私の横に、清らかな風のような人が現れます。体臭も、顔の油も無さそうで、髪質まで素直にさらさらしていそうな人です。

飛行機隣席は、だいたいいつもオジサンですよね

しかも爽やかに挨拶までしてくれるじゃないですか。
(え?私の事 好きなの?)←そんなわけない
私の気持ちも高まります。

(NYの事も詳しいらしいし、このまま一緒に飛行機から降り立ち、NYを歩きたい)
私の頭の中には、黄色く色づいた木の葉舞う秋のNYを歩く、『Autumn in New York』のリチャード・ギアとウィノナ・ライダーの姿が浮かびます。あんな感じに私たち、歩いちゃうのか。ウィノナ、死んじゃう役だけどな。

こういう人がエコノミーの隣席に座ることって滅多にないわ

しかも、仕事がカッコよすぎる。学会でNYに行くとか、なにそれ本当?こんなにパーフェクトそうな人、本当に存在するんだ!何かの罠ではないのか?と訝しくなるほどに、素晴らしい人のように見えます。

すべてにおいて対極に見える

しかしながら、私達は出会うのが遅すぎたようです。
もう普通に、当たり前みたいに、指にはキラリと光るものが。
(私達は何故、もっと昔に出会っていなかったんだろう)と、どうでもいい悔恨の念にかられるのです。私の過去をどうさかのぼっても、こういう人はどこにもいなかったのに、実在はしていたのですね。あぁ。

今もこんな知り合いいない

こんな素敵そうな人は、計算高い美人にとられてしまっているのでしょう(滅茶苦茶憶測でしかない)。しくじった、私は大学入学時からしくじっている、そんな気はしていたけれど・・・・。美大に入っている時点で、しくじりといえば、しくじりです。

イケメン心臓外科医に一瞬心を乱されましたが、うちに居る野性味の強いイケメンしか私には選択肢はありません。だけど、健気にラインを送ってみても、返事がないのです。

返事もできないほど忙しいわけない

遠いからもったいないし、という理由で、10日間も滞在を決めてしまったNY。大きいようで、けっこう小さいNYで、非常に持て余します。なにしろ、何でも高い。飲食店に入ると、お店の人が「飲み物いるか?」「美味しいか?」といちいち私に優しくしてくれるので、(え?好きなの?)と思いますが、全然私の事は好きじゃないようです(チップのためだね)。

(帰っても特に喜んでもくれないんだろうな)
NYの冷たい渇いた風が、肌に突き刺ささります。


☆☆☆
次は28日土曜日です。さて、何を描くのかな。
この当時はやたらと遠方に行っていたので、そんな事も描こうかなと思います。

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