子どものしつけはしつけ糸のようなもの
今日、オンラインで汐見先生のしつけのお話しを聞いたのですが、その中で、とても心に残ったのが、今日のテーマになったしつけ糸のお話し。
和裁で、本縫いする前に弱い糸で重ねた布がずれないように、襟などを癖づけるために、弱い糸で縫うことです。
こどものしつけは、しつけ糸のようなものだとお話しされていて、ものすごく納得しました。
強すぎると本縫いの時にはずれないし、弱すぎるとずれてしまう。
最後ははずす前提でしつけていくものだということでした。
「しつけ」はゆるい「しつけ糸」のように
小児科医を70年以上続けてきた内海先生の本『子どもの「花」が育つとき』の一節です。
********************************
「しつけ」というのは、本来は和裁の言葉で、本縫いをする前に、襟などを癖づけるために、弱い糸で縫うことです。
このとき使う糸は「しつけ糸」といって、切れやすい弱い糸を使いますが、お子さんのしつけも同じです。
着物を縫うときに使うしつけ糸と同じように、心の柔軟な幼児期に、いい習慣をつけておきましょうということです。
そして、いい習慣をつけることはとても大事なことですが、いい子にしようと思うあまり、強い糸で、子どもの個性をきちきちに縫いつけてしまう必要はないのです。
*********************************
しつけ糸と言うのは、本来、抜くことを前提としてしつけていきます。
いつまでもしつけ糸をつけたままにはしてはおきませんよね。
しつけ糸を外す時は、子どもが自律していくとき。
自律とは、自ら律すること。
他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。
厳しすぎるしつけは、自律の妨げになってしまう。
こうしなければならないという「ねばならない」が強すぎると、糸が抜けない。
もしくは、途中で糸がぷつんと切れてしまうかもしれない。
怒られるから、従っているだけだと、自分で決めて行動できなくなってしまう。
緩すぎると、そもそもの規範が育たない。
しつけのお話しの中で言われていたのは、早寝早起きする、というような生活リズムや、寝る前に歯を磨くといった生活習慣となるようなことに対しては、ここは緩めないと決めたほうが良いという事。
生活リズムが乱れることで、健康状態や精神状態が悪くなっていくことにつながりやすいからということでした。
生活習慣が身についてきたら、あとは、しつけ糸を外す準備です。
いつまでも親が子供のことをコントロールするのではなく、ちょっとづつ外していく。
本縫いがしっかり縫われていることを信じて外してみることが大事です。
いつまでも親が子供の面倒を見ているわけにはいきません。
子どもが、自分の力で自律できるようにしてあげることを意識して、しつけ糸のようなしつけが必要なのかもしれませんね。