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男性育休って必要?(家族として、職場として)

政府内で男性育休の議論が進んでいます。
男性育休をイチオシしている私としては嬉しいです。

さて、男性育休って本当に必要なの?について簡単ですがまとめてみました。

この記事は、私自身が2020年8月に1ヶ月間、育休を取得した実体験とワーク・ライフバランスコンサルタントの立場からまとめています。


家族としての必要性

産後、母親が赤ちゃんを育てることが当たり前、と感じているかもしれませんが、実はそうでもないんです。

皆さまもご存知のとおり、母親は、産後3週間は安静にと言われれています。
これは母親の体調が回復するのに必要な期間です。
3週間で床上げ、そして少しずつ家事などもしながら、人にもよりますが6~8週間で体が本調子に戻っていきます。

また、産後はホルモンバランスが崩れ、精神的にも不安定になります。
前向きに赤ちゃんを育てるためには精神面でのサポートも大切です。

なるほど、以前は祖父母が一緒に子育てをしたり、地域で助け合ったり、今でも里帰り出産があることに納得です。

しかし環境は以前と変わってきました。核家族が増え、地域の支援もあまり望めません。また、祖父母もまだ働いていたり、逆にかなり高齢で産後の支援は難しいケースも増えています。

今の状況を冷静に見てみると、本来、産後3週間は安静にしなくてはいけないのに、多くの家庭が退院後すぐに育児、家事を母親ひとりで行っているとても危険な状態です。

私の失敗談になりますが、私は第一子が誕生した時は、退院から5日間は24時間一緒に育児家事をして、その後も仕事は定時で帰り、かなり育児家事をしたつもりでした。

しかし後から、あの時はうつに近い状態だったと妻に言われショックでした。また帝王切開だった妻は体調回復にとても時間がかかりました。(日本は約5人に1人が帝王切開)

他のママたちに話を聞いいても、産後を1人で育児するのは本当に大変でよく乗り切ったと思う、とか、大変すぎて殆ど記憶がない、などの声。(個人差がありますので、元気で大丈夫だったという方もいます)

そこで第一子の反省と他のママたちの声を踏まえて、第二子の時は「産後の大変な時期も家族が笑顔で過ごせるようにする」を目標に、育休を1ヶ月取得して一緒に育児家事をしました。

具体的には下記です。

・3週間は、家事と長女のことは全て私が行う
・赤ちゃんのお世話も出来ることは全て行う
・夜の赤ちゃんのお世話を当番制にして夫婦共に睡眠時間を確保する
・妻のしてほしいことをする
・妻は精神的、体調的に万全でない前提で接する
(詳細は過去のnote記事をご覧ください)

その結果、家族みんなが幸せな気持ちで産後を過ごすことが出来、家族の絆も深まりました。
また妻の体調が第一子の時とは比べものにからないくらい順調に回復、そして妻から「もう1人考える?」との発言も飛び出しました。

第一子の時と第二子の時の差はもの凄く大きくて、前向きに育休を取らせてくれた会社に夫婦揃って感謝しています。

このような自分の体験からも、少なくとも産後3週間は母親の安静を確保して、父親など他の家族で家のことを行う。そして母親の心身のケア、赤ちゃんのお世話をすることが大切と実感しました。
(産後うつや虐待防止にも繫がります)

え?父親が全部やるの?と少しハードルが高く感じるかもしれませんが、例えば家事は完璧でなくてもいいと思います。

私も全てやってみましたが、確かに食事は妻のように美味しく出来なかったり、失敗することもありました。でもクックパッドなど調べながら試行錯誤することでレパートリーが増えたり、以前よりは短時間で作れるようになりました。そして美味しく作れることも増え、料理が少し楽しくなりました。
また、見えない家事も色々あることがわかり、妻と会話ができるようになりました。

育休とはゆっくり休む期間ではないのですね。
会社の仕事は休んで、家庭の大切な仕事をする期間、親として一人の人間として成長する期間。
そしてそれは社会人として必須期間と考える発想の転換が必要と感じました。

ちなみに、育休期間中は会社からの給与はゼロになりますが、給付金の支給と社会保険料免除により、給与の約8割が補償されます。
(詳細は人により異なります)

会社からの給与はゼロですので、会社に費用的な迷惑はかけず、家庭の収入も大きくは下がらないのです。


職場の必要性

職場の必要性、という点で考えると
男性育休は企業の重要課題である"優秀な人材確保(採用・定着)"に直結してきます。

様々な調査によると
若手男性の8割が育休をとりたい
女子大学生の9割がパートナーに育休を取得してほしい
そしてなんとミドル社員も8割以上が育休をとりたい
と答えています。

もし男性育休を推奨している会社と、そうでない会社があるとすると
若手~ミドルはどちらを選択するでしょうか?

転職が当たり前になってきた今、推奨していない企業は益々人材不足になる可能性があります。

そして男性育休は、仕事はほどほどに、という考え方ではありません。長いキャリアの中のわずかな期間、大切な家族のための仕事を休むだけです。(育休経験も立派なキャリアです)

しかし、育休をとりやすい風土(空気)ではない職場もまだまだ多いのが実態でしょう。
ここで男性育休のメリットとデメリットを考えてみました。

男性育休のメリット

1 育休社員の帰属意識UP・モチベーションUP

2 育休社員の人材力UP
  
時間意識が高まる、子育て経験による人材育成力UP、仕事人から社会人へ視野が広くなる、復職後、多様なライフキャリアによりそった対応ができる、など色々あります。

3 男性育休取得者がいる企業として採用に好影響(企業ブランディング)

4 業務を引き継ぐことで、業務の見直しや属人化の廃止が進む

5 若手~ミドル社員のモチベーションUP(人材定着)

6 社員の処遇改善(育休は給与アップせずとも社員に様々なメリットをもたらす新しい報酬)

7 多様な人材が活躍できる風土が進む

男性育休はメリットがたくさんありますね。もちろん人や職場によって全て当てはまるわけではないかもしれません。
でも必ずいくつかは当てはまると思います。皆さまはどれが当てはまりそうでしょうか。

続いて職場のデメリットも見ていきましょう。


男性育休のデメリット

職場に男性育休取得者が出ると、業務はどうするの?人員に余裕はない、など場合によっては業務が大変になったり、売上・利益が減少しないかなどが懸念されます。

実際のところを見ていくと、例えば、業務については、"男性育休を取得する" と決めると各職場で対応策が進んでいきます。殆どの職場は人員に余裕がないでしょうし、今後も余裕があるということはないでしょう。余裕を持ち体制が整った上で育休を推進する、というのは理想で、実際のところは育休取得者が出るとそこに向けて準備を進め、そして何とかなっていきます。

本当?そんなに上手くいくの?大企業ならまだしも中小企業では難しいのでは、と声が聞こえてきそうです。

私は自治体で働き方改革アドバイザーをしています。
その自治体では、中小企業に男性育休が出ると呼ばれるのですが、毎年何社も男性育休取得者が出ています。

訪問して人事担当者や育休取得者の上司と一緒に対策を考えたり、育休取得者とはどう育休を過ごすかなど話をさせて頂き、企業様はそれぞれ対策をとっていかれます。

そしてどの企業様も 「やってみたら出来た」

少し大変だったけど、この機会に業務が引き継がれて属人化解消が進んだり、ムダを洗い出して改善が進んだり、後輩に任せることで後人が育ったりとプラスの影響が出た。
今後も男性育休を取りたい社員がいたら応援していきたい、と経営層や担当者も前向きです。

育休は病気や事故と異なり、取得までに数ヶ月あることが多いので、準備期間があるのがよいところです。

場合によっては人員補充が必要なケースもありますが、会社は育休中の社員には給与は支払っていません。浮いた費用で一時的に派遣社員などを補充したり、少し先を見据えて新しい人材を採用することも出来ます。

もし男性育休を福利厚生と考えている担当者がいらっしゃいましたら、
企業にとっての男性育休は、従業員のエンゲージメントアップに貢献し、優秀な人材確保・定着に直結する重要な人事戦略と考えてみてはいかがでしょうか。

男性育休を推進している職場、難しいからと今のまま変わらない職場、それぞれ3年後にはどのような様子になっているでしょう。

男性育休を推進したい、納得感を得られるデータなどがほしい、という場合は、2020年9月に発売された書籍「男性の育休」に様々なデータなどから男性育休の必要性が記載されていてわかりやすいです。


この記事に関してご意見などございましたらコメントなど頂けますと幸いです。


https://www.amazon.co.jp/男性の育休-家族・企業・経済はこう変わる-PHP新書-小室-淑恵/dp/4569847013

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