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今だから言える、この2年のゲストハウスのこと

毎年、年度末はあっという間に、そしてバタバタ走り切って終わってしまうのですが、去年の3月はまだまだそれどころでもなかったので、今年こそは振り返ってみようと思って、書くことにしました。
(自己紹介の次にこれか!?と思われてしまいそうですが)

自己紹介でも書きましたが、私は日本でも有数の観光地で、家を丸ごと一軒お貸しする形式のゲストハウスを経営しています。コロナ禍の2020年以前には、宿泊されるお客様の約90%が旅行で来られた訪日外国人の方々でした。他の観光地にあるホテルやゲストハウスも、似たような状況だったのではと思います。

ゲストハウスをスタートする時、決めたことがあります。
「お客様とのインタラクションによって、お互いにとって、いい出会い、いい時間、いい空間になるようにしたい。」
「安易に事業拡大をせず、細く長くでもいいので、お客様との関係を第一にする。」
今でもこの考えは変わっていません。

日本では、2015年頃から訪日外国人旅行客が加速度的に増えていました。アベノミクスによる円安の影響も大きかったと思いますが、2019年には約3200万人(2015年は約2000万人:出典はいずれも日本政府観光局)、経済効果は4兆8000億円(GDPの0.7%相当)と推計されています。

そして2020年

うちに観光で来られた最後の外国人のお客様は、フランスの方でした。
お二人ともアニメが大好きで、それがきっかけで出会い、「プロポーズは日本でする」とずっと決められていた方々でした。2020年2月、飛行機のキャンセルが相次いで居た中で無事に到着され、富士山で無事にプロポーズをして、何とか帰国の途につかれました。(ご結婚して幸せに暮らしていらっしゃいます。)
そして同時並行で、この年の春以降に頂いていたご予約は、全てキャンセルになってしまいました。またですか?というぐらいの勢いで。

結構心折れましたね、正直。
あんなに大勢の人が歩いて混んでいた通りも、賑わっていたお店も、誰もいない。
例えるならモノクロ的な、色のない世界。
いつ終わるかも、どれだけ続くかも見えず、不安を感じながらゲストハウスの改善や改良をどれだけ頑張っても、全然楽しくなかったです。気持ちにハリがなくて。

その後、ここにいても誰も来ないしなあと思って、こっそり九州の実家へ帰り、数ヶ月間、ヤマト運輸のドライバーさん以外、誰にも会わずに実家のメンテナンスを黙々としていたこともありました。

その後の2年間

しかしそんな中でも、この2年間何度も救われたことがありました。

日本中のAirbnbのホストさん達。
こういう時だからこそ、状況や要望を含めてみんなで話しあおうと場を企画してくださったAirbnb日本スタッフの方々。
需要回復後を見越したオンラインイベントやセミナーを頻繁に企画してくださったMATCHAの青木さんをはじめとしたみなさん。
2人の小さいお子さんを抱えながら、旅館経営の穴埋めのために、空き時間でデリバリーの配達員もしている近所の旅館のオーナー桝井さん。
新しい補助金制度が発表された時に、すぐ教えてくれた段野さん。
これまでお世話になった繋がりで、お客様をご紹介あるいはお泊まり頂いたお取引先や大学の方々。岡本さんや中井先生、年齢違えど同期達や友人達にも本当に感謝です。

そしてもちろん、ご利用頂いたお客様。
中には旅行ではなく、近くにある総合病院のコロナ病棟で働く看護師さん、病院で医師として勤務するため就活目的で泊まりに来られた医学部の学生さん、フルリモートワークの場所としてお泊まり頂いた方もいらっしゃいました。

きっとみんな心が折れそうになりながら、どうなるか不安を抱えながらも、何とか今を乗り越えて未来を見据えていこうとしている方々ばかり。

毎週リスナーとして聴いているラジオ番組や、音楽などのメディアを含めたら、もっと多方面から、一緒に頑張るエネルギーを頂いた2年間でした。

日本は、長く閉じていた扉をようやく開き始めています。

旅行業界に携わってきた方は、きっとこの2年間は苦しい時間だったと思います。
「もうコロナウィルスは広まらない。大丈夫だ。」と思えることは、今後もきっとないでしょうが、私のゲストハウスは、変わらず「いい出会い、いい時間、いい空間になるようにしたい。」という初心を貫いていこうと思います。

色々なことが少しずつでも上向きになっていきますように。

#ゲストハウス #ゲストハウス経営者と繋がりたい #Airbnb #旅行 #旅好きと繋がりたい #コロナ禍

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