第13話 おふろcafe utataneで、私とあなたが「整う」まで
こんにちは。
サウナのサチコです。
緊急事態宣言が出されたというのに、サウナの話をする私です。不快に思われる方もいるんじゃないかと、ちょっとビビりながら書いてます。
おふろcafe utataneに行ったのは3月。だんだん記憶が薄れてきました。忘れないうちに書いておきたい、忘れないようにしたい、という自分勝手な理由でパソコンに向かっています。実はこれが4度目のチャレンジ。なかなか明るい記事になりません。それでもなんとか、今日こそは最後まで書きたいと思っています。よろしければ、お付き合いください。
大宮駅からニューシャトルに乗って、鉄道博物館駅で下車。そこから歩いて5分くらいのところに、おふろcafe utataneはあります。鉄道博物館はこの時すでに休館していて、駅にもほとんど人がいませんでした。
私がこの駅に降り立ったのは土曜の朝、7時過ぎです。
初めての朝ウナです。
おしゃれでしょう?
中もおしゃれなんです。ですからここはいつもカップルだらけ・・・という噂を、わたくしずっと聞いておりました。
絶対行くもんか。
そう思ってました。でも行ってしまいました。
だってここのサウナはオートロウリュウで、その蒸気たるやものすごくて、女性のサウナでも100度あると聞いてしまったんです。さらにサウナコタという北欧の小屋をイメージしたセルフロウリュウもあるとか。行きたい。でも行きたくない。その葛藤を取り除いてくれたのが、朝ウナというもの。
朝サウナの略です。サを抜いただけ。私には朝活の方がしっくりきますが。
おふろcafe utataneは、朝5時から9時までなんとワンコインでサウナに入れます。いくらなんでもそんな朝っぱらからカップルはいないだろう。
半笑いで中に入りました。
はっ・・・!
いた。
カフェにいました。朝っぱらから何組も(しつこい)
大浴場は奥の奥にあります。フロントから大浴場まで歩く長い廊下づたいに、このカフェがあるんです。そりゃおふろ「cafe」なんだから、どーんとあって、当たり前です。
「お前はここを堂々と通り抜けられるのか」
「そもそもお前に、おふろcafe utataneに来る資格があるのか」
・・・そんなこと誰も言ってませんが、そう問われているような気がします。背中を丸め、足早に通り抜けて行く自分が嫌。
大浴場に行くと、カップルはいませんでした。(当たり前ですが)
まず一番に目立つのは、例のサウナコタ。
これです。
おふろcafe utataneの支配人さんのブログから写真を拝借しました。これを目の前にしたら、「かわいい〜。ムーミンのおうちみたい」って、私だって若い子のように思わず言ってしまいます。
でもサウナコタの中にいたのは、かわいいムーミンでもミーでもなく、ムーミンママ3人でした。このサウナコタ、上段に3人、下段に2人くらいしか座れません。その上段にママが3人並んで座っていたので、私は下段に座りました。人気のおふろcafeで、このサウナコタに待たずに入れるなんて、本当にラッキーです。
低温のサウナ室の中で、アロマオイルを熱い石にかけてセルフロウリュウを楽しむ。なんてオシャレ。テンションが上がります。普段、庶民的な銭湯風呂が好きって言ってることなど、すっかり忘れています。
早速・・・と思って、アロマオイルに手を伸ばすんですけど、このママたちが前を占領しているため、手が出せない・・・。声をかけようかなとも思うんですが、お話に夢中です。セルフロウリュウなんて全く関心がないご様子。
「義父が私の作ったご飯を食べてくれない」
この話題で盛り上がっています。しばらく待ってみましたが、話が終わる様子も、立ち去る様子も一向にありません。・・・結局私が立ち去りました。サウナでは妙に弱気になる私です。
サウナコタ。大人も子どもと同じように、小屋で秘密の話をするのが好きなんですね。
さ、気を取り直して、
オートロウリュウのあるサウナに入ろう。
扉を開くと、若いスレンダーな女の子がひとり、上段に座っていました。いつオートロウリュウが始まるのかチェックしていなかった私は、おそらく一時間ごとにあるのだろうと想像して、8時きっかりを待ちました。でもいくら待っても始まりそうにありません。8時半なのかな。9時には退館しないといけないので、帰り支度の時間を考えると、8時半からの3セットはきついなと考えました。
諦めて、通常(?)の3セットを行うことにしました。
サウナは広くて綺麗。水風呂も別の部屋にあって、これまた広くて綺麗。おまけに私と若いその彼女しかいません。別に知り合いでも友だちでもないのに、彼女と3セットを共にしてしまいました。たまにありませんか? 誰かとタイミングが合ってしまうこと。
彼女も彼氏と来たのかな・・・と、初めは思っていました。でも、違うな。この子はひとりだと、勝手に確信しました。どこか神々しいんです。背筋がまっすぐ伸びていて、「私に話しかけないで」というオーラがガンガン出ています。
神々しい姿を再現するのって難しい・・・。
彼女はタオルで体を隠すことなんて一切せず、腕組みをしたまま、じっと目を閉じていました。テレビも私のことも、まったく見えていない様子。
若いうちから一人でサウナに来て、何を整いたいのだろう。
すみません。私の偏見です。でも単に気持ちがいいからという理由で来ているようには、見えません。まるで何かに挑むように、闘っているように険しい顔をしている。彼女は整うことができたのでしょうか。
つくづくサウナは奥が深いと思いました。年齢に関係なく、その人その人にドラマがあります。それなのにカップルがどうだの、ムーミンママたちがどうだのと他人のことばかり気にしている自分が、ちっぽけで恥ずかしくなります。もっと自分と向き合えよ。おふろcafeのサウナ神から、そんな教訓を得たような気になる、私なのでした。
8時半を過ぎると、お客さんはバタバタと帰り支度を始めます。「蛍の光」まで流れ出して、ちょっと慌てます。ここは9時で一度閉めて、10時の開館までお掃除するようです。
正面玄関で靴を履いていたら、壁のポスターが目に入りました。
なにを宣伝するポスターだったか忘れてしまいましたが、「彼氏より融通がきく」というキャッチコピーに笑いました。サウナ施設にぴったりのコピーだと感じたから。つくづく私は卑屈な人間です。
500円玉ひとつで楽しめる朝ウナ。今度はもう少し早く来なくちゃと心に決めました。
滞在時間 1時間40分
入館料 500円
おまけ
このおふろcafe utataneの近くに、ジロー珈琲というチェーン店があります。私はここが好きで、サウナに関係なくぶらりと訪れることがあります。この日も帰りに寄ってみました。この時間だとモーニングをやっていて、
珈琲だけの値段で、トーストとゆで卵が付いてきました。
朝9時過ぎだというのに、1日がもう終わってしまったような充実感。
朝ウナすると一日が長い。これから何をして過ごそうかと考えながら帰宅しましたが、結局昼過ぎまで寝てました。やれやれ。
ここまで読んでくださって、本当に、本当にありがとうございます。
次にサウナのことを書けるのは、一か月先でしょうか。
これまで書いてきたサウナ施設、これから行くはずのサウナ施設、どうか潰れないでほしい。でもそう願うこと自体、とても身勝手な気もします。だって私は今、サウナに行っていないのですから。行かなければ潰れてしまうのですから。
「仕方がない」という言葉は昔から本当に嫌いなんです。でも今、口にしてしまう自分がいます。その言葉以外、この状況を受け入れることができない気がして。諦めているのではなく、受け入れているんだと言い聞かせながら。
どんな心配事があっても、いつも前向きで穏やかな人がいます。どんなに大変な時でも、他人を思いやれる人がいます。自分をしっかり持っているんだなと感じます。整ってる。サウナに行かなくても整っているのです。
私はまだまだ、いくつになってもブレブレ、揺れ揺れです。まだ「整う」旅の途中。サウナに行けるその日まで、私なりにnoteでの過ごし方を考えたいと思います。時々、「書いてるかな」と覗いていただければ幸いです。
この週末も、そしてその先も、どうぞお元気で。
次回もサウナのサチコでお待ちしています。
サウナのサチコより。