ホームサウナはありません
久しぶりのサ活投稿です。月刊サウナという公の紙面で記事を書かせていただくようになってから、なかなかnoteで書かなくなってしまいました。でも今日は、自分のnoteにしか書けない内容です。
8月最後の日曜日。かすかべ湯元温泉に行きました。リニューアルのためにこちらが8月末で一旦閉館することは知っていました。でも行こうと思えばまた12月に行けるわけだし、ワクチン接種の予定もあったのでしばらく存在すら忘れていました。
ただ前日になってofr48のライブがあると知り、みかんさんに会いたいなとそればかり考えるように。ワクチン接種が思っていたよりも早く終わり、ライブの時間に間に合うとわかった私は、かすかべ湯元に急ぎました。
かすかべ湯元温泉には行きません。
ここは私のホームサウナではありません。
これまでずっとそんな風に言ってきました。その理由は以前のnoteにも何度となく書いています。この春日部という街には色々あり過ぎて、特にかすかべ湯元に行くまでの道のりには、自分を責めたくなるような思い出がいっぱいなのです。もう行きたくない。いつもそう思っているのに、今年に入ってから何度となく訪れています。だってゲストがすごいから。
井上勝正さんが来る、宮川はなこさんの熱波がある、Villyバルコニーが歌う、その度に私はここに来てしまいました。いえ実はその他にも、病み上がりの時や、無性に夜が寂しい時にも一人で来ていました。近いから。夜なら景色が違うから。そしてこの6月からは、熱波甲子園で優勝された拉麺清水さんのベルトが館内に飾られていて、その隣には私の粘土もあったから。
これを見ると嬉しくて。励まされました。一人で清水粘土の前にしゃがみ込んで、ガラスの中の清水さんと話してました(怖い)。
かすかべ湯元の清水支配人。3回くらいしかお会いしたことはないのですが、会うたびに、
「うちは(サチコさんの)ホームじゃないんだよね」
「そんなことないですってば!」
「いいよ、色々あるからね」
このやり取りをします。私のnoteの記事を読んでくださっていたようで、かすかべ湯元には行きたくないという私の失礼な発言を、いつも笑って受けとめてくださいました。今日もこのやり取りをするんだろうな〜とちょっとニヤニヤしながら、玄関に入りました。
ない。
いつもの飾り棚に、私の粘土がありません。
まぁ、まぁそうよね。リニューアルするんだし。私の粘土の代わりに何か可愛い物とかコパトン(埼玉県民しか知らない)とかが置かれるのだろうと、肩を落としながら入館しました。みかんさんはどこかな?と探していると、廊下でばったり清水さんに会いました。
そして清水さんが8月いっぱいでかすかべ湯元を去る、ということを聞きました。
粘土も清水さんが持って帰るために、飾り棚から早々に下ろしたのだと。そのあとも清水さんは私を連れて、みかんさんのいる控え室に行ってくださったり、ライブ会場にいらした満天の湯さんを紹介してくださったり、昔はこんなライブをやっていたとか話してくださいました。一緒にかすかべ湯元の中を歩きながら、私は楽しくて、そして寂しくて。
「昔、家族でここに来たことがあります! それから、夜の露天が好きなんです!」
今まで言ったこともないような言葉が口をついて出ました。最後くらい、かすかべ湯元を褒めておきたかった。清水さんのいたかすかべ湯元がどれだけ素晴らしいかを言っておかなくちゃと思いました。今さら遅いのに。私なんかよりもっともっと来ていた常連さんもいるのに。その人たちは清水さんがいなくなることを、知っているんだろうか。ここが、ここの大事な部分が変わってしまうことを知っているのでしょうか。
「また2代目の粘土を作ってもらえるように、頑張ります」
清水さんは笑ってそう言ってくださいました。そうです、かすかべの清水支配人はいなくなっても、拉麺清水さんはサウナに残る。
「約束ですよ」
私もそう言いました。
ofr48のライブが始まりました。浴衣姿のみかんさん、ゆーこりんさん、まぁ〜汰さんの3人のライブ。粘土、作ってみました。
ちょっとまぁ〜汰さんが、昔の子どもみたいになってしまってごめんなさい。恋するサウナの決めポーズです。みかんさんのソロパートを初めて聞きました。うまい。なんて透き通る声なんだろう。私の推しです。
この日は偶然が多くて、驚きました。ハッピーサウナ文化祭でお会いした方にも偶然しまして、私がロウリュウ姉妹のことを大好きだとご存じなので、その話をしたりして。「でも厚木は遠いんです。一番近いのはここです」と話の流れでそんなことを言ったら、
「じゃあ、ここがホームなんだね」
と言われました。いつもなら「違います」とはっきり言うのですが、この時は何も言えませんでした。何気ないこの言葉が、この日だけは刺さりました。
ワクチン後なのでミストサウナとシャワーだけ浴びて、髪もボサボサのまま帰ろうとしました。するとまた清水さんにばったり。私の粘土を持っている写真を、撮らせていただきました。自作の雑な名刺まで取っておいてくださって、わざわざそれを手にしてくださっているのを見たら、もうたまらない。「清水さん。ここは私のホームですから!」と勝手なことを言い残してお別れしました。
正確に言えばここが私のホームなのではなく、清水さんのいたかすかべ湯元温泉が私のホームでした。次にここに来ても「ここはホームじゃないんでしょ?」って、もう言ってもらえない。
またひとつ、かすかべ湯元温泉に行きたくない理由が増えました。
サウナのサチコ
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