番外編 「サチコ、テーラーへ行く」その後
こんにちは。サウナのサチコです。
先日、サウナに全く関係のないテーラーの話を書きましたが、「その後はどうなったの?」という声をいくつかいただきましたので、続きを書くことにいたしました。短めですから、どうぞお付き合いください。
パンツを頼んでからちょうど1週間後、「できてるよ」という電話がおじさんから入りました。早速取りに行くと、店の中は大音量で音楽が流れていて、おじさんはテーラーらしくミシンを踏んでおりました。
「こんにちは!」
「すみません!!!」
と何度か叫んで、ようやく私に気づいたおじさんは慌てて音楽を止めました。そしてなぜか履いているズボンの社会の窓も閉めてから、立ち上がりました。別に私はそこに視線を送ったわけでもないのに、なぜ?
見ると、立ち上がったおじさんのズボンのウエストがかなりキツそうなのです。ズボンの上に明らかにお腹がのっている感じ。
テーラーなのに、自分のズボンは直さないのね・・・。
おじさんは私のことを覚えていないようなので、「先ほどお電話をいただきました」と言うと、「はいはい」と私のスーツのパンツを持って来ました。レジの前のテーブルでパンツを広げて、
「これ、ヒップハンガーのデザインなのね。だからあまりピッタリ履かずに、腰に引っ掛けて履く方がいいと思うよ。それから、センターのラインが出るようにアイロンもかけといたからね」
と、急に職人らしいことをおっしゃるので、驚きました。
「2000円ね」
と言われてお財布を出そうと下を向くと、足元になぜか大きなアコーディオンが。なんでこんなところに・・・。もしかしておじさんは、別の顔を持っているのかも。私はちょっと期待して、
「アコーディオン。弾かれるんですか?」
と聞いてみました。すると、
「あぁ」
と、おじさんは言ったきり無言。説明はないんかい。なんだ、面白い話が聞けるかと思ったのにな。1000円札を2枚出すと、おじさんは領収書を取り出して、「もう8月か」と言いながら日付と金額を書いてくれました。隣にある大きくて古そうなレジからはレシートが出ないようです。
「また緩かったりしたら言ってね」とおじさんに優しく微笑まれて、ちょっぴり名残惜しいような気持ちで店を出ました。
家に戻ってパンツを履いてみるとピッタリ。先週「これくらいかな」と生地をつまんでいた時よりも少し緩めに直してあって、ちゃんとヒップハンガーになっています。素晴らしい! これでまた大好きなスーツを着ることができそうです。
おじさんの腕は、やっぱり確かでした。(笑)
ではでは、今日はこのへんで。
サウナのサチコより。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?