減る。
2年前の今頃、私は入院していた。
手術をして臓器を1個摘出したのだ。
筋腫が出来てしまい、それが健やかに成長を続け私の身体の負担になってしまったからだ。
その事態だけは避けて通りたかったのだが、とうとう避けられないまでに育ってしまった。
結果、良かった。取って。
お医者さんの言う事は聞くもんだね、うん。
手術台とかさ、すごい良い経験した。なかなかないもんねー。もうさ、あれだよ。手術台に向かう時の私はクローズZEROのあのシーンだよ。点滴引きちぎらなかったけどもさ。
手術した後の夜は、それはそれは地獄だったけども。こんな辛い夜を送ったのは陣痛の時以来だった。悪魔の家の映画みたいだった。ひたすら夜が明けるのを待った。
入院生活は個室にしてもらったし快適だった。
家事も仕事もしなくていい時間なんてなかなかないから、入院してしばらくは何もしなかった。何もしないでただボーッと贅沢な時間を過ごした。
その後はもちろんAmazonプライムで真っ先にクローズZERO観たけど。
子宮を取っちゃうのは女じゃなくなるみたいでずっと抵抗していたけど、つまらない拘りだった。
きっとそんなつまらない拘りをいくつも抱えているのかもしれない。拘りが世界を狭くして自分を閉じ込めてるんだなぁと実感した。
九尾の狐を封じ込めた様なお腹の傷は暫くの間私を苦しめ、起き上がる事も出来なかったけど、それすらも良い経験になった。動けない人の気持ちが痛い程わかった。
先生に切腹と同じだからねと言われた。
切腹をして、私の身体は1つ欠けてしまったけど、得た物は大きかった気がする。
きっと痛いのと辛いのを経験したから、強さと優しさがレベルアップしたはずだ。
テレレテッテレー。
確かに聞こえた。
取り出した臓器を見せてもらえば良かったなー。断っちゃった、怖気付いて。
長年ありがとうございました、おつかれっしたって言えば良かった。感謝離です。
しかしそれにしても、九尾の狐を封じ込めた傷跡は毎日疼くのだ。
まぁ、それもありか。
確かにそこに子宮があったって証拠。私は確かに女だった。
いやいや、この先もね。