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拍子が取れない話

1.居酒屋で聞いた大塚愛「PEACH」に慄く

こないだ居酒屋で一人で食事してたら、そこがたまたまグレイテスト・ヒッツ・オブ・大塚愛がエンドレスでループしてかかっているお店だったんですけど、やっぱ大塚愛って最高だよな、って思いながらずっと聞いてて。でもそこで、驚愕の新事実に慄いたんですよね。

(0:48~らへん)
「夏だねぇ」からサビ入りのところ、私はずっと変拍子だと勘違いしていて。「夏だねぇ」と「PEACH!!」の間の休符を一つ数えてなかったか、「PEACH!!」と「ひっくり返る」の間の休符を一つ数えてなかったか、たぶんそのどっちかの休符を数え忘れ続けていたことに気が付いてしまったんですよね。
なんでそんな勘違いをしていたんだろう、と考えていて(再発防止のために)、ここの伴奏のリズムパターンが一旦変わるから、というのはまずひとつ理由として挙げられるわけですが、他にもいろいろありそうで。ドラマの主題歌だったから、CMサイズにこのサビが切られるのを聞いたら、どこが1拍目なのか、その切られ方でわかんなくなっちゃった、とか(「PEACH!!」の直前の休符までカットされているように聞こえちゃって)。その他にも、例えばこの前年にチャットモンチー「シャングリラ」が発表されているので、J-POPに変拍子が採用されることはこれから普通になってくるはずだ、という謎の進歩史観が頭の中にあったかもしれないんですよね(?)。あるいは、歌詞が「ひっくり返る」だから、そりゃ強拍と弱拍がひっくり返ることくらいあろうものだ、と勝手に納得してしまっていたか(確かに拍はひっくり返っているとも言えるが、別に変拍子である必要はないのでは?)。たぶんそういう感じで勘違いしてたと思うんですよね。

2.cero「Evening news」も2拍子か3拍子かわからなくなる

ceroのアルバム「e o」は、全編に渡って、メトリック・モジュレーションなどでリズム的に非常に凝ったつくりの曲が続くわけですが、この「Evening news」という曲は、ちょっとした幕間の曲といいますか、全体のうちではひときわシンプルな編成で、たいへん美しいアリアなわけですよね。
でも、よくよく反省してみると、たぶんこの曲のこともそんなにちゃんと拍子が取れていなくて。頭の中でこの曲を呼び起こすときに、いつも、8分の6拍子、4分の3拍子、どっちだっけ? ってなっちゃう。
冒頭A-A-G-G-Fis-Fis-E-E-D-Fis……のメロディに聴き入ると、同じ音が均等に2回繰り返されるパターンがあるので、2拍子系である8分の6拍子で取りたくなるんですが、ピアノの伴奏のリズムパターンに聴き入っていると、だんだん1拍1拍が重たく感じられて、4分の3拍子っぽく聞こえてきて、で、冒頭のメロディが次の間奏で2回目に登場するのを聞くと、タン、タン、タン、タン……じゃなくてターンタン、ターンタン……に、後ろの方にずれるようにしてリズムが変奏されてるんで、もうそれを聞くとじゃあ3拍子じゃん、ってなるわけなんですよね(というか歌の「やーっとにもーつ」の譜割りがもう3拍子に聞こえる)。それで、歌が終わった直後の後奏はまた8分の6拍子に戻っている感じがします。

3.「ハッピーバースデーの歌」は4拍子と3拍子の変拍子だと思っていた

これはもう完全に、最初の「ハッピ」をアウフタクトで処理せず1拍目に取ったのが敗因のすべてです。「ハッピー/バース/デー/トゥー」(4拍子)「ユー」(3拍伸ばして3拍子)……おそらく「ハッピー/バース/デー/ディア」の小節をもう完全に4拍子で取っちゃったから、そこに整合性取れるようにして全体の拍子を自分の中で決めてしまったんでしょうね。でも基本的に無伴奏で歌われるし、アウフタクトというものがこの世には存在する、って概念として習うより前に「ハッピーバースデーの歌」を歌う経験が先にあるから、仕方ないんですよね(でもそれを言ったら、変拍子の概念習う前なのになんで変拍子で取ろう、って思ったんでしょうか)。


でもこういう、拍子の取り方が変、とか、これくらいの自分でも後から説明のつかない勘違いをしていることが、自分でもまだ気が付いていないと思うんですが、あるみたいで。進駐軍のことも真鍮軍だと思っていたし。そういうのこれからまたひとつずつ明るみに出ていくのだな、と思うとなんだか憂鬱になったんですよね、居酒屋で一人。


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