親だけが知らない 子の気持ち
ディズニーベストヒット10
Let It Go(アナと雪の女王)
Music and Lyrics by Kristen Anderson-Lopez/Robert Lopez
この曲は
もっと前に弾くつもりだったけど…
「しばらくは弾けないな…。」
と思うことが起こった。
この映画で
吹き替えをしていた方が亡くなった。
子を失う気持ちを
初めて想像できた気がした。
ずっといなくなる子側にいたんだけど…
わたしがいなくなったら両親はどう思うのか。
娘が何も言わずいなくなったら
わたしはどう思うのか。
亡くなった方のお母さまには
自分の人生を自分で決める強さと
自分の人生を切り拓いていくたくましさに
何か共感する気持ちを感じていた。
子育ては
自分の思い通りにはならない。
仕事だって何だって
自分の望んだ通りになるのに
子どもだけは
自分の思い通りにはいかない。
真面目そうな娘さんが
どんな思いでお母さまと同じ道を歩んだのか。
今なお現役の先輩として
立ち塞がるその壁にどんなプレッシャーを
感じていたのか。
そんなことが理由で
旅立ったのではないとわかっていても
母はなぜいなくなってしまったのかを
ずっとずっと問い続けてしまうんだろう。
子が先に旅立つことの重さ。
そのことをしばらく考えていた。
昨日、母から電話があった。
『アップルパイ、とっても美味しかった。
少し焼きが足りなかったね。
底がベチャッとしていたよ。
シナモンはなかったの?
入れたら大人の味になるよ!』
美味しかった?
父に贈ったパイを母が食べたの?
美味しかったという言葉を
父ではなく、なぜ母が電話で伝えるの?
料理の上手い母に感想やアドバイスを
聞きたくて贈ったわけじゃないんだけど
どうしてそんなことわざわざ電話で言うの?
色々思うところがあったけど
一番驚いたのは、この手の話を
父ではなく母が言ったこと。
両親が常に言っていた
この向上心に食いちぎられて
生きていくのが辛くなっていたことを
改めて思い出して
心に懐かしい痛みが走った。
この手の話を父だけでなく
母もしていたんだということがわかり…
《家に居場所がない》と感じていたことが
「だからなのか…」とわかった気がした。
わたしは娘には言わない。絶対。
よりこうした方がいいなんて言わない。
信頼関係ができていて
向こうから聞かれない限り、言わない。
親はバカな方がいい。
色々抜けててしょうがないくらいがいい。
子の前では
ダメな親を演じた方がいい。
子どもを追いつめてはいけない。
わたしは娘を追いつめてはいないか?
父は老いていた。
声が出にくいと言って聞き取りにくかったし
話すテンポが老いた人のそれで
会っていない2年半で
きっとずいぶん変わったのだろうと思った。
母の言葉に過剰反応する自分に
思わず笑ってしまった。
手放さないといけない感情だなと思った。
わたしは、もしかしたら
それを聞くのが嫌すぎて
人の助けを拒んでいたのかもしれない。
独りだったのではなくて
独りになりたいと思っていたのかもしれない。
そして
子が拒んでも改善点を言うことも
愛情なのかもしれないと思った。
どうでもいい子には
きっと何も言わないだろう。
そんなことをふと思った。
干しいもは
とても褒めてもらえた。
どうやって作ったのか?
書いてあるメモはどういう意味なのか?
圧力鍋で試せるかな?と
好奇心いっぱいの様子で
詳しく作り方を聞いてきた。
母よりも
上手く作れるものができた。
初めてかもしれない。
母より上手くできるもの。
去年から作っていたことが
こんなところで役に立つなんて。
干しいもは
わたしに自信をくれた。
母より上手く作れるもの。
母が褒めてくれたもの。
特別なものになった干しいも。
がんばって作っていたことが
こんなところで
わたしを助けてくれるなんて。
無駄なことなんて
一つもないんだなと思った。
もし、娘がアップルパイを焼いてくれたら
「美味しいね!」とだけ言おう。
焼いてくれてありがとうと。
ただ、それだけを。
そう心に誓った。