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富士五湖ツーリング その4


富士山スカイラインを降りてきた。
五合目とあまり気温は変わらない気がする。

降りたところにある温度計。

この後13℃に下がった

夏、ここを通った時は21℃だったはず。
真夏の身延は34℃だった。

季節が移り変わっている。
西に向かって走り出した。


ここからはずっと下り道だ。
初めは落葉樹の森の中を走る。

カーブはとても緩やかなので
安心して走れる。

落ち葉も思ったより少ない。
車が通っている証拠だ。

すぐにバイクが後ろから近づいてきた。
排気音が大きい。大型車か。

三台抜いて行った。
その後、さらにもう一台。

この人たちは、さっきの人たちほど
飛ばしてはいない。

左に避けて道を譲ったが
そんなに離れもせず、後をつく形になった。

木漏れ日が木々の隙間から差してくる。
路面は乾いてきている。

陽射しを浴びると暖かい。
陽の光って偉大だ。


もう少し下がると杉林になる。
ここのカーブが面白い。

大きなアールでつづら折れが続く。
右にカーブ。直線を加速して左にカーブ。

アールとはカーブの曲線の大きさのこと。
アールの数字が大きいとカーブが緩い。

高速コーナーの方が断然好きだな。

富士山スカイラインを下っていた時の
カーブの細かさを思い出す。

基本ブレーキが嫌いなんだ。
スピードを落としてカーブに入るのが嫌い。

加速感あるままコーナーに突っ込みたい。

そうは言っても
このバイクではできないけど。


このバイクでサーキットに
行くのか?行かないのか?

また同じことが頭をよぎる。

タイヤを買ったからだな。
ブーツも買ってしまったから。

サーキットでも走れるタイヤを買った。
走るなら、減っていないうちがいい。

昔走っていた車両とは
格段に違う大きさのバイクを
サーキットで限界まで走らせられるんだろうか。

そんなことを思いながら
そびえ立つ杉木立の間を
バイクを慎重に操りながら走った。


いくつカーブを過ぎただろう。
なだらかな直線が多くなってきた。

ふもとに降りてきたようだ。
遠く見えなくなっていたバイクに追いついた。

トラックだ。
車が何台もつながっている。

バイクの後ろについて走る。
すぐによく知っている交差点に来た。

懐かしいスタンド。
県道72と交わる交差点だ。

今まで走っていた県道180に別れを告げる。
前のバイクも同じ道を行くらしい。

みんな揃って右折する。
懐かしい道に戻ってきた。


ここからは、地元のように思い出せる道。
ずっと通ったサーキットはもうすぐだ。

奇石博物館を過ぎ
ここの奥にある天母の湯を思い出す。

色んな日帰り温泉に行ったけど
ここのお風呂が今も一番好き。

光のほとんどない富士山の裾野を見ながら
遠くふもとの夜景を眺める。

見上げると満天の星。
こんなに素晴らしいロケーションの中
心ゆくまでお湯につかる。

疲れが染み出していくようだ。

走った疲れを存分に癒して
いつも家に帰っていた。あの日。

楽しかったなぁ。
間違いなく青春だった。

懐かしく思い出す。


右手にやまぼうしの看板。
このカフェには結局まだ入ったことがない。

今度、入ってみてもいいかも。

直線の最後、正面に
昔走っていたサーキットがある。

白糸スピードランド

ここで、レースに出ていた。

仲間がいて、シリーズ戦に出て
追いつけなくて、ずっと悔しくて。

ある時期、ミニバイクレースが
生活の真ん中にあった。

わたしが一番わたしらしくいられた場所。


いつもは停まってコースを見るが
今日は停まらず、先を急ぐ。

大きく左にカーブして、通り過ぎた。

ここから、木立を抜ける。
一気に開けて、バイパスが見えてくる。

ここで一台右折。
残りの3台は、先の県道71で曲がって行った。

わたしは直進。県道414へ。
すぐあるコンビニに停まる。

ここから先は山の中に入るから。
お手洗いと食べ物を調達したい。


バイクから降りると
肩がずっしりと重かった。

防水リュックが重いからかな。

リュックをリアシートに背負わせて
身軽にしてみた。

肩を使い過ぎたかな。
この後は背負わずに行こう。

お手洗いに行き
少し買って出てきたら
外が暑くてクラっとした。

ずっと山の中を走っていたから
街中の気温に馴染んでいないようだ。

陽射しも暑い。

ズボンを一枚脱ぎたいが
この先でまた冷えてきたら…と思うと脱げない。

早く涼しいところに行こう。

肩が痛み出し、フラフラする暑さに
少し気分が悪くなりながら
早々にコンビニを後にした。


コンビニの目の前に、環状交差点がある。
左に進むと白糸の滝らしい。

昔、何度も行った。
ミストシャワーが涼しい癒しのスポットだ。

今日は時間がないから先を急ぐ。
左折せずに直進して進んだ。

少し行った交差点に看板があり
ここだと安心して左折。

畑の中を走る。
昔よく来た道なのに覚えていない。

看板を頼りに右折。
また、森の中に入り、ホッとする。

汗が引いてくる。
首元の風が冷たく心地よい。

木々が陽射しを避けてくれて
体中の熱が下がっていく。

落ち葉を気にしながら走る。
どこかで左折しなければならない。

涼しさにホッとひと息つきながら
道を探しながらのんびりバイクを走らせる。

街の中は好きじゃないな。
そう思いながら、コンビニのない山の中の
不安な気持ちも思い出す。

一日中寒い冬の方が
暑さを感じなくていいかも。

そんなことを思うくらい
暑さに参ってしまったわたし。


左折の看板が見えた。
いよいよ次の目的地だ。

ここからの景色は記憶がある。

周りが開けて、両側に柵が並び
路面が良くなり、道が広くなる。

右手に駐車場が見えたが、通り過ぎ
どんつきの最後までやって来た。

目の前の緑が鮮やか

ここは、休暇村富士。
思い出の宿泊施設だ。

ここに、母方の祖父と来る約束をして
願いは叶わずに、両親と来たことを思い出す。

さて、展望デッキに向かおうか。

バイクを停め、荷物はそのまま置いて
ヘルメットだけ手に歩き始めた。

バイクは木陰に停めたが、横切る道路は暑い。

すぐに森の中の木道へと足を踏み入れる。
この温度じゃないと辛い。

下った先の木陰に早く入りたい

じんじんする肩をかばいながら
ゆっくり踏み締めて歩いていく。

買ったばかりのブーツが
骨折したギブスのようで足に馴染まない。

周りは木々に覆われている。
涼しさにホッと力が抜ける。

これから見える景色を想像をして
だんだんワクワクしてきた。

今日の景色は、どんな感じだろう。

前を歩く老夫婦の後に続く。
左手の休暇村からファミリーが降りて来た。

右手が開ける。人が数人いる。

見えるかな?

展望デッキに立ち、右手を向いた。

久しぶり!田貫湖と富士山


見えた!!
雲をまとった富士山がいてくれた。

みたかったもの、3つめ。

田貫湖と富士山

よかった。

展望デッキの階段に座って
少し休むことにした。





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