バイクツーリング 〜静岡 富士山〜 その6
富士山、太郎坊。
気づくと、ここに一時間もいた。
そろそろ行こう。
バイクに向かう。
バイクはずっと建物の影で待ってくれていた。
ヘルメットを被り、バイクを発進させる。
一方通行なので、先に進む。
すぐ隣にも駐車場があった。
こちらが昔メインだったところかな。
ひなびた感じ。
昔、栄えていた感じ。
なんだか役目を終えたような静かな佇まい。
割れたアスファルトをゆっくり進む。
下りになり、元来た道と合流した。
ここからは大変だ。
下りで砂地。
滑るイメージしか湧かない。
けっこう回り込んだカーブで、けっこう一気に下っている。
フロントブレーキは優しく。
ギュッと握らない。
リアブレーキは強めに。
エンジンブレーキ(エンブレ)最高だ!
結局、2ストの時(昔のバイク)の半分以下の怖さで通り過ぎた。
3分の1くらいかもしれない。
転ぶ気がしない。
下りの砂路で怖くない。
なんて優秀なバイクだろう。
2ストはエンブレが効かないから、手足のブレーキだけでスピードを調節する。
下ると、体の重さがハンドルから伝わってフロントタイヤに乗る。
ブレーキをかけると、余計に体が前に行くので、さらにフロントタイヤに荷重がかかる。
荷重がフロントにかかった状態でフロントブレーキを強くかけると、あっけなく転ぶ。
それが、エンブレが効くと、荷重がリアに一部移動する。前に行こうとするのをリアタイヤで引っ張っている感じ。
エンジンブレーキってこんなに便利なんだね。
さらに、昔よりエンブレの効き方がマイルドな気がする。
昔、TRX850に乗って、下りでシフトを下げたら、エンブレが効きすぎて、リアタイヤがホッピング(ポンポン跳ねること)したことがあった。
あれは、怖かった。相当怖かった。
それから2気筒にはトラウマがあり、今乗っているバイクも2気筒なので、エンブレには覚悟して買ったつもり。
初めは不信感しかなかったけど、あんまりエンブレを感じない。不思議だ。
結局、排気量が小さいからってことなのかな。
昔、CBR400RRに乗せてもらった時も、シフトダウンでリアタイヤがロックするくらいのエンブレだったので、わたしの中では「4スト怖い。エンブレ怖い。」が刷り込まれていた。
昔のことを思い出しながら、「多分、今の技術でエンブレを上手く抜いてる(緩和してる)んだろうな。」と思った。
最新技術って凄いなぁ。
すぐに、トンネルまで戻ってきた。
さて、次は富士山五合目。
さて、次は〜なんて言ってるけど、実は、太郎坊は『御殿場口新五合目』というらしい。(今、ネットで調べてみた)
この写真をアップして、看板を見てみる。
たしかに。そう書いてある。
だから、新五合目から五合目に向かう。
どっちも五合目だ。
そのことを、当時のわたしは知らない。
右折してトンネルに入る。
この道沿いに、五合目に上がる道があるみたい。
しばらく道なりに走る。
道端の木はさっきより茂っていて、差し込む光は少なくなった。
でも、寒くはない。
10月にしては暑いくらいだ。
相変わらず、車はいない。
緩やかなカーブが続く。
路面が良いので、安心して走れる。
気持ちがいい。
楽しいなぁ。
こんないい道、知らなかったなぁ。
また、走りに来よう。
ワクワクしながら木立の間を走り抜けると、目印の水ヶ塚パーキングがあった。
その先に、五合目に向かう上り道がある。
水ヶ塚パーキングから2kmほどだ。
パーキングには停まらず、そのまま通過した。
オドメーターを時々見る。
そろそろかな。
そう思いながら走っていたら、これ以上進めなくなった。
ちょうどここが、五合目の入り口だった。
ここから右折して、五合目を目指す。
昔は、こちら側からここに来たんだよな。
この御殿場から来る道を知らなくて、いつも富士宮側から上がってきていた。
その道は、今は走れない。
おそらく、2年前の台風で被害にあったんだろう。
あの台風の威力の凄まじさを思う。
どの山に行っても、大木が倒れていて、道が寸断されている。
そして、今も復旧が進んでいない。
ここも、まだしばらくかかるのかな。
懐かしい道を走れない寂しさが、心をすっと通り過ぎた。
ゲートをくぐる。
いよいよだ!
つづら折れの続く道。
延々と続く、くねくね道。
ワクワクしかない!
よーし。走るぞー!!
富士山五合目を目指して、走り始めた。
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