YAMAHA XJR1200
昔の記憶を切り取った一場面。
バイク…って考えたら思い出すシーン。
そんな一場面を
ショートで綴ってみようと思います。
*****
ある仕事休みの日。
私はXJR1200に乗って
バイパスを走っていた。
海沿いのバイパス。
空は白い。
このバイク。
スピード、どこまで出るのかな?
前方に、車はいない。
アクセルを開けていく。
120km/h… 130km/h… 140km/h…
空気の塊に突っ込んでいく感覚。
自分で作った風に身体が押されている。
両手でハンドルをしっかり握る。
少し前傾姿勢になる。
XJR1200に風を避けるカウルは無い。
風圧は、どんどん私の身体を押してくる。
ヘルメットも持ち上げられる。
首のベルトがあごに食い込んできた。
スピードメーターの針が150kmを指した。
と思った瞬間、身体がフッと浮いた。
身体全体が風を受けている。
まるで、鳥になったみたいだ。
飛ばされないようにハンドルを握る。
身体が後ろに押される。
右手が引っ張られて
アクセルが加速方向に動く。
バイクのスピードが少し上がる。
風圧は増して、身体はさらに後方へ。
必死に握った右手は
さらにアクセルをひねってしまう。
手を離すことはできない。
バイクから落下するから。
どうする?
すると、身体がふわっと降りてきた。
シートにしっかりと座る。
身体に受けた風圧が勝って
バイクのスピードが落ちたのだ。
パラシュートの仕組みか…
右手に遊びができたので
アクセルを少し戻す。
持ち上がったヘルメットが下がってくる。
首のベルトがゆるむ。
150km/h以上は出せなかったけど
忘れられない浮遊感。
バイクは、鳥になれるんだな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?