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会津ツーリング 景色編 3日目-2



もう、ひと月も前のことか
と驚いている。

夏休み、会津を走ったこと。
今も鮮明に覚えている。

この記憶が薄れないうちに。
読めば、いつも思い出せるように。

旅の最後のおはなし。
大変だった帰路のこと。


     ---*---*---*---


2024.8.19 午後

会津若松の公営駐車場。

隣の駐車場と飯盛山


暑さ厳しく、少し歩いただけで
汗が止まらない。

観光案内所横のベンチに腰掛け
水分を摂りながら、次のルートを確認する。

南会津に向かおうか
そこから東北道へ抜けてみよう

南下する道はあまりなく
選ばずともルートが決まった。

国道を通るのは避けたかったが
初日のR118みたいな道に
また出逢えるかもしれない。

楽しみにしている道があった。
初日断念した道。大内宿の北側の道。

大内宿の南側は初日楽しかった道だ。
もう一度、通ってみよう。

楽しみだな!

ひなたに出ると屋根のない駐車場で
相棒は熱々になっていた。

黒いタンクだと目玉焼きが焼けそうなくらい
熱くなるけど…

白いタンクでよかった。
暑い中、ウィンドブレーカーを着て
飯盛山を後にした。



街中は暑い。
走り出すと、少し涼しくなった。

会津若松は平らだ。
山坂のある街ではないみたい。

真っ直ぐ南に下り
道なりに曲がって西へ。

県道64号で左折。
また南に下る。

突き当たりを右折。また西へ。
県道128→130と名前を変えて
ようやく県道72号へ。

このあたりから
『大内宿 こぶしロード』の看板を
見かけ始める。

ちゃんと名前ついてるのか 有名なのかな?

何も知らないわたしは
だんだんワクワクしながら72号を走る。
「この後、右折右折」と思いながら。

これが間違いの元。
「右折、県道23号」だけ頭にあったわたしは
23号の文字で右折したのだ。

まっすぐな田んぼ道。
あまりにも真っ直ぐだ。

さっきまであんなにこぶしロードと
書いていたのに、なぜ今の曲がり角には
何も書いてなかったんだろう。

しだいに不安が大きくなってくる。

おかしい

ついに停まって、スマホを見た。

やっぱり…

23号はそのうち直進して通る道で
右折するのは県道131号だった。

真っ直ぐな田んぼ道をもう一度戻る。

胸がスカッとするほど真っ直ぐで
間違えたことも気にならないくらい
田んぼの稲の緑と空の青がまぶしかった。




右折して県道23号へ。
すぐに『こぶしロード』の看板が。

やっぱ、そうだよね

県道131号を右折した。

いよいよ、ここからだ

心躍らせながらアクセスを開ける。
風がビュンと涼しさを増す。

前の車が一気に近づく。
すぐによけてくれた。

ここはバイクが好む道と知ってるみたいだ

もう一台、先に。
また、よけてくれる。

左手を挙げ、礼をする。
颯爽と立ち去れるように、さらに加速。

「よけてよかった」と思ってもらえるように。

ここで自分の後ろ姿が
いつもちょっと気になる。笑

《背中》がカッコよく見えていてほしい。

女子は筋力がないので
腕で上半身を支えている人が多い。
ハンドルにしがみついている感じ。
背中が平らなのが一番気になる。

背中がカッコよく丸まっていますように

できれば、運転の上手い男の人と
間違ってくれていたらいいなと願う。


さて、前へ。

これはたしかに楽しいな

カーブが続く。
名前がついているだけはある。

運良く車がいなかった。
カーブのある区間、楽しく走れた。

峠道が終わり、突然開けて大内宿に出る。
人と車がいっぱいで驚く。

車の列が駐車場待ちで動かない。
バイクの利点を生かしてすり抜けた。

数台脇から抜いて前に出る。
今日ここには停まらない。

深い山あいからは想像もできない
拓けた場所。

ここは昔、休むところだったんだな

前後に何もない山道で
宿の意味を実感する。

さよなら

心の中で挨拶だけして、先を急いだ。



直進せず、脇道に入って県道131号へ。

直進は、初日に通った。
寂しい道だった。荒れてて怖かった。

こっちは楽しかったよなぁ

初日、大内宿へ行くために北上した道。

目的地に向かう楽しさから
余計に心躍っていたんだろうか。

意外に普通の道だな

期待が削がれたような
ワクワクするタイミングを逃したような。

なぜ、行きはあんなに楽しかったんだろう?

ふと、芦ノ湖スカイラインを思い出す。

この間、富士山側から南下した時
いつものワクワク感がなかったことを。

道って走る方向で見え方が変わるのかな?

新たな発見をしたような
そんな誇らしい気分になった。

静かな農村やつづら折れの峠道を走り
工事現場の信号がある民家まで来た。

楽しかった道が終わる

ここはまた北向きに走ろう。
そう思った。




県道346号を左折。R121を右折する。

初日はR289を下ってきた。
今日はR121を南下する。初めての道だ。

R289に行けば道の駅があるけど
そのまま東北道に出るのはもったいなくて
南会津を経由しようとしている。

問題は休むところ。
この先、道の駅がない。
お昼はとうに過ぎている。

このまま、峠越えをしたら
お腹が空き過ぎてしまうので
どこかのコンビニで何か買おうと決めた。

川沿いを走る。
大きな川なので、カーブも大きい。

主要道路なのかトラックが多い。
車もずっと連なっている。

右手は山が迫り、左手は川が広がる。

両側に山のある会津の風景とは違う道を
ゆっくり景色を眺めながら走った。

橋を渡り、川から離れて町中に入る。
ようやくコンビニを発見。

バイクを日陰に停める。
日陰なら何とか外でも食べられるかも。

今回の旅で気づいたこと。
お昼を少なめにすると午後眠くならない。

わたしは運転しながら
ウトウトしてしまうタイプ。

眠くなると危ないのだ。
でも、お昼をちゃんと食べないと
眠くならない。

偶然、初日にお昼を食べ損ねてから
そのことに気づき、今回もその作戦で。

というわけでおにぎりを一つ。
コンビニの駐車場で食べる。

縁石に座る。日陰だけど気温は高い。

冷たいものを飲む。
体が冷える。心地いい。

冷えたものを飲んでも平気で嬉しい。
夏でもツーリングでしか
冷たいものを飲めないから。

真夏のツーリングが
一番体に合ってるかも

寒さ対策をしなくていいことが
こんなにも楽チンで嬉しい。

と言っても、長袖のタートルシャツは
着てるけど。笑



気づくと、ひなたがない。

さっきまで見えていた青空が
雲に置き換わっていく。

みるみる雲におおわれていく

雷雨…がくるのか?

のんびりしていた旅先の時間が
途端に忙しく動き始める。

山の方が先に降り出すのか

この先の山越えを思う。

山越えしていいのか?

引き返す…気力が湧かない。

急いだ方がいいかもしれない

身支度を始めた。



R121に沿って左折。南へ。

少し走るとポツンと
シールドに何かが当たった。

路肩に停め、カッパを着て走り出すと
次の信号から雨が降り出した。

初日の経験を活かせたな

そう思いながら、さっき前方から聴こえた
雷鳴が気になる。

雷の中、走っていいんだろうか

大粒の雨の中、看板を探す。

R400の文字。

山越え…行くしかないか

トラックの後について山の中に入っていった。



山越えの様子は天気編に書いた。

ペースの早いトラックが前にいて
追いかけるのに必死になった。

直線で詰められない。

カーブの入り口で詰めても
立ち上がりで置いていかれる。

道路を滝のように泥水が流れる。
冠水してそうで怖かった。

木の枝が路上に落ちていそうで。
だから、前に車が必要だった。

そのうち雲に突っ込み
白く視界を阻んで前が見えなくなる。

トラックのブレーキランプだけが
頼りだった。

会津ツーリングを終えて 天気編より


金沢の帰りより酷い雨。
ペースの早い先導車。
(トラックは先導しようとしてないが。笑)

雨量が多く、路面の状況が刻一刻と変わる。

五感を研ぎ澄ます。
雨の耐久レースをまた思い出していた。



なんとか峠を越え、人里に戻ってきた。

気づくと、雨が止んでいた。

降っていたのは、山の中だけだったのか?

転ばないように
ハンドルを握りしめていた手を緩める。

スマホで見つけた牧場で休憩していたら
また雨が降ってきた。

東北道へ入る。ここで15:30。
大雨の山越えで、手が既に疲れている。

高速は長く走れないな

仕方なく、サービスエリアごとに
停まって休憩することにする。

雨がしとしとと降り、カッパがまた濡れる。

雷雨はもうないんだろうか。

そんなわけは全然なかった。


雨の中、ほとんど写真は撮れなかったけど
唯一写真を撮れたのは、佐野SA。

稲光を撮ろうと何度もシャッターを押した。

撮れなかったが…

目の前の山に何度も雷が落ちていた。

サービスエリアが停電するなんて。
トイレの非常灯を見るまで気が付かなかった。
洗面所の水が電動なので出なかった。

停電が復旧し、電気がついて…
次に向かった羽生PAは異世界のようだった。

駐輪場前の壁
店内
高速道内とは思えない

思えば佐野SAあたりが一番酷かった。

真っ赤な雨雲レーダー

よく無事に通り抜けてきたものだ。


この後、蓮田SAでも停まって。
首都高に入る。

雨上がりの夜景がとても綺麗だった。
無事に雷雨を抜けてきたんだなとホッとした。

眠くなってきてしまい
トンネル内でウトウトしてしまう。

最後に何かあると困るので
眠気を覚ますためにもう一度PAに停まる。

雨の落ちて来ない夜空を見上げて
残っているお菓子を食べた。

これで本当に旅が終わるんだな

もうすぐ24時になろうとするパーキングで
旅の終わりを噛みしめた。

そして帰宅。
いい旅だった。



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