バイクツーリング 〜静岡 富士山〜 その16
これ以上は進めない。
ふうっと息を吐きながら
後ろを振り返る。
向かい側に看板がある。
カバンからおやつを出した。
最後の丸干し。
これで、エネルギーチャージ!
鳥の声に包まれながら
モグモグ食べる。
美味しい!
バリケードの
看板の日にちを見て、思う。
また、来年来よう。
そう思いながら
バイクにもたれて
干しいもを美味しくいただいた。
4時をまわった。
ここから富士山は見えない。
帰ろう。夕飯作らなきゃ。
タイムリミット。
家に着くのが遅くなる。
ヘルメットを被る。
グローブをつける。
またがって
エンジンをかけて
Uターンして、走り出した。
帰りはあっという間だ。
ススキの間の道を
走り抜けると
突破したバリケードがあった。
作業中だった人はもういない。
わたしの車線は
バリケードがないので
堂々と通り抜ける。
直線を過ぎ
なだらかに下っていく。
もうゴルフ場だ。
帰りは早いなぁ。
ゴルフ場の前を過ぎると
元来た道に戻ってきた。
後ろの
今、走ってきた道を思う。
ずっと、目の前を通っていたけど
こんな道があるのは知らなかった。
直線の左右をよく見て
左に曲がり、走り始めた。
あっ!ここ!
すぐに、懐かしい場所を目にする。
帰るはずだったのに
懐かしさがこみ上げてくる。
お手洗いだけ寄ろう。
帰り、停まれないかもしれないから。
そう思い、右側にある
駐車場に入った。
懐かしいこの景色。
夕陽があたって
ススキが光っている。
ハイキングコースがあるんだと思う。
登っている人を見かける。
あっ。看板だ。
お手洗いを借りる。
さっき走った道の方を眺めた。
富士山は写真の右側。
ここも富士山は見えない。
この辺りの記憶を
間違って覚えているらしく
いつも勘違いしてしまう。
富士サファリパーク
↓
こどもの国
↓
今いるところ
↓
十里木の別荘
が、わたしの記憶。
実際は
『富士サファリパーク
↓
十里木の別荘
↓
ここ
↓
こどもの国
この記事を書いていた時も
順番を間違えていて
文章ごと入れ替えたりした。
これからは間違えない。
十里木高原
ここを過ぎたら
すぐ曲がり角が来るってこと。
日がかげってきた。
お日さまが林の向こうに沈む。
行こう。
また、ヘルメットを被った。
バイクにまたがり
出口に向かう。
車が一台いた。
後ろに並ぶ。
車が通り過ぎる。
車の列が切れるのを待った。
前が先に出て
ようやく空いた一瞬で
右に出ようと思ったら
左から来る車が
思ったより近づいてきていた。
あっ!
と思ったけど、仕方ない。
前を塞ぐような形で
合流してしまった。
スマートな入り方じゃない。
判断力が鈍っているのか。
恥ずかしいので
なるべくじゃまにならないように
加速して離れた。
前の白い車がけっこう飛ばす。
ちょうどいいので後に続く。
クレー射撃の前の直線を通過。
大きく下りながら
富士サファリパーク前の
信号を過ぎる。
忠ちゃん牧場も通過。
杉林に入る。
次の交差点で左へ。
好きな道に戻ってきた。
サーキットに行く時
行きと帰りで運転を交代していた。
わたしの担当は、帰り。
この道も帰りの方が
よく覚えている。
白い車が
それなりの速さで下っていく。
あおっているように見えないように
車間に気をつけながらついて行く。
それなりのスピードだけど
もう少し突っ込みたいなぁ。
4ストだから
エンブレがかかってしまい
体感的に好きな速度で
コーナーに進入できない。
車もいるから突っ込めない。
もう少し、ゾクゾクするスピードで
入りたいのにな。
2ストの
背中がスッと寒くなる
コーナーの進入を思い出す。
あの
少し心臓が痛いくらいの
スリルが好きなのに。
危険と背中合わせな感じ。
危険な中に身を置くからこそ
感覚が際立つんだと思う。
スリルとワクワクは紙一重。
非日常が体験できるから
バイクは楽しい。
だから
バイクに乗りたくなる。
傾いた日の光を
感じながら
白い車を追いかける。
ずっと下っていく
高速コーナーの続く道を
風のように
走り抜けていった。