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バイクでツーリング 〜中編〜
朝のまだ空が白みもしない頃に、私はバイクで夫の車の後を走っていました。
ガソリンのメーターは、あと一目盛り。降りるインターまではなんとか持ちそうです。
出口でお金を払い、一般道へ。
夫がコンビニに寄りました。
ようやく事情を話せます。
夫もガソリンを入れると聞き、安心して後をついて走ることにしました。
でも先に、釣りに行くようです。
ようやく、空が白んできました。
早く行かないと、朝まづめ(日の出の前後。釣りに良い時間)が終わっちゃう!!
どんどん進んでいくと、駐車場になりました。周りは、車が停まっています。
「あれ?駐車場は6時まで入れないんじゃ…?」
どう見ても駐車場の中、場所を決めて停車。夫が車から降りてきました。
「駐車場、開いてたね…」
開いていた…??
駐車場のために、朝、暗い中から出てきたのに?慣らし回転数を超え、霧の中、走ってきたのに???
とにかく、釣り場に急ぐからという2人を先に浜辺に行かせて、私は日の出を感じながら、犬の散歩を。
しばらくすると、娘が起きてきて合流。
一緒に朝ご飯を食べ、浜辺に行きました。
バケツには、40cmくらいの魚がささっています。
「何か釣れたんだ!」
息子と夫の気が済むまで、浜辺で釣りをしていましたが、その後は何も釣れませんでした。
気が済んだので、次の釣り場に移動。昔よく来ていた堤防です。
その前に、漁港に寄りたいと息子が言うので、寄ってみましたが、残念ながらやっていないようでした。
先に進み、堤防につきましたが、車でいっぱいです。もう少し先を見てみたいと言うので、移動して進むことになりました。
その後、何箇所か見ながら移動。その度に、Uターンして元の道に戻ることを繰り返しながら、Uターンが苦手な人は嫌な作業だろうなと思いながら、ついていっていました。
私は、ちょうど堤防先の道をタイヤの慣らしのために走ろうと思っていたので、後ろについて走ることは全然気にならず、むしろ、だんだん車が少なくなってくると、タイヤの慣らしに都合がよくて、楽しく走っていました。
最後に、「ここなら!」という場所が見つかり、駐車場に停車。お昼を食べながら休憩を取りました。
お昼も終わり、釣り場を見に行こうと、車の外に出ると、あれ?風がひどくなっています。
「これで釣りができるのかな?」と思いながら、見に行くと、釣具をまとめた2人が戻ってくるところでした。
「風が強くて、釣りにならない」
もう一度、風を遮れる側に向いた釣り場を探すことになりました。
スマホで方向を見て、風の影になる湾を探します。
ここなら!というところを見つけ、また移動することになりました。
最後に行ったところは、海沿いに長く駐車場が点在し、車の通りはない直線が広がっていました。
「いっぺん、乗ってみる?」と私。
「うん!」と娘。
夫のメットを借りて、恐る恐る乗車。
膝で私の体を挟むよう伝え、肩を持たせて、いよいよスタートです。
バイクは、グンと動き始め、娘の手にも力が入ります。
ゆっくり走らせると、後ろで風を感じている様子。一往復して戻りました。
「怖かった?」と夫が声をかけると、「楽しかった!!」と言う娘。
やっぱり、楽しかったんだね♪
また、どこか乗せて行こう。
夕方にむけて、昼寝をしていた息子も起き、夕方まで釣るというので、その間、近くの峠道を走りに行くことにしました。
私も昼寝?という選択肢もあったのですが(何しろ起きたのは、朝の3時)、昔走って記憶に残っている峠道の近くまで来ていたので、「やっぱり行きたい!!」と、元気をふり絞って行くことにしました。
だんだん、登りになっていきます。そのうち、先ほどいたはずの海岸線は遥か彼方下に見え、そのうち、山のてっぺんの稜線が目の前に広がり、後は空しか見えなくなってきました。一気に山を登っているようです。
スマホホルダーがあるといいな!
カーナビが見られない。
昔は地図だけで走ったなぁ。
GPS無くて、自分の現在地がわからないのに、迷った時によく何とかなったなぁ。
途中の曲がり角を間違えないように、交差点までの走行距離を把握。オドメーターで足し算をして、その数字に近づいたら交差点に注意する。
今回は、曲がった後、一旦止まってGPSで現在地を把握。次の交差点までの距離を把握。また、その距離をオドメーターに足して数字を把握。を繰り返して走りました。
何年前になるでしょうか?
まだ結婚前、20年以上前に走った峠道。コーナーが続いて、とても楽しかった道。いつか、もう一度走りたいと願っていた道。そんな思い出の道を走ることができて、またバイクで来ることができて、本当に幸せでした。
今日の行き先に、その峠道が近いなとわかっていました。でも、早朝からの走行や、ここに来るまでに既にかなり走っているので、時間的、体力的に無理かもしれないと諦めかけていました。
でも、諦めなくてよかった。
そのうち、大好きな風景が、突然目の前に広がりました。周りは高原のように視界が広がり、両側が谷のように落ちていて、私の走る道だけが見えているようなコーナー。その次の、ガードレール向こうは、はるか彼方下の下界しか見えない、転ぶと転落するしかないようなコーナー。
「この風景。ここだったんだ!」
20年以上も前なのに。この風景を覚えていたことが、嬉しくて、そして不思議で。だから、この峠道の名前だけを記憶していたのかもしれないと思いながら、懐かしさに浸っていました。
コーナーは連続して続きます。ただ、山の上も風はひどくて、懐かしさに浸ったコーナーも、バイクごと吹き飛ばされて谷に落ちるのでは?と思うほどの強風でした。
懐かしさに浸りつつも、風と闘い、何とか落ちないように必死に走っていました。
下りは、前にバイクが見えました。
嬉しくて、だんだん近づくと、後ろからバイクの集団が近づいてきました。
ツーリングの中にいるみたい!
1人で走っていたのに、なんだかみんなでツーリングしているような気分になり、お得な気分で気持ちよく、隊列に混ざって走りました。
前とも後ろとも別れて、また1人。引き続き、下っていきます。
来てよかった。
その気持ちだけが、心の中に満ち満ちていました。