バイクツーリング 〜神奈川 箱根〜 後編 その4
お餅でお腹がいっぱいになった。
元気も回復。
帰りもがんばれそう。
いよいよ好きな峠道だ。
甘酒茶屋に別れを告げた。
バイクを発進させる。
この道は、昔の箱根へ行く道。
初めはここしかなかったんだと思う道。
だからか、意外に民家があったり、両側に温泉宿が立ち並ぶところを通り抜けたりする。
箱根新道と隣り合わせのように絡まっているように進む道。上の高架道路は新道か?
見晴らしのよい街道脇にある、昔やっていた峠茶屋が、今はもうやっていないことで時代を感じる。
いよいよだ!
そう思っていたら、前方にバスがいた。
わたしの好きな峠道は七曲がりと言われるところ。
ずっとくねくねしてる道が好き。
だから、こういうところはワクワクしかない!
だってカーブ2〜3個じゃ物足りないよ?
(わかる人だけうなずいてください。)
こういうカーブと直線の連続した道も、カーブだけが続いてヒラヒラ走る道も、高速コーナーでGを感じながら走るのも、どれでも好き。なんなら直線もスピード出せるから好き。
だから、あんまり公道には向いた性格じゃないんだと思う。
だから、サーキットに行ったんだと思う。
でも、今はツーリングだから。
無事に帰ってこそのツーリングだから。
無理はしない。
しないよ!でも…
せっかくの七曲がりでバスの後ろはちょっと…
どうしようかな。
道幅は狭くて抜けない。
抜けるほどの直線もない。
そして、道幅ギリギリのバスは、もんのすごく遅い。
一速で走るしかないかなってくらい遅い。
でも。
芦ノ湖スカイラインで満足したから、バスの後ろでもイライラはしなかった。
そんなこともあるよねって。
そしたら、峠道の途中にバス停があって、バスが停まった。
その間に横をすり抜けられた。
やったぁ。
前に誰もいない。
自分のペースで走れるよ!
あまりに急坂で、加速するとすぐに次のカーブに来る。
ギアを落とし、フロントタイヤに余計な力がかからないように気をつけてカーブに入る。
路面はそんなに悪くない。
エンジンブレーキは最強だ。
やっぱり物足りないくらいの安定感でカーブを走り抜ける。
走りにリスクは必要なのか?
リスクが必要なわけじゃないけど、カーブを走るたびに、トラクションが足りなかったり、アウトにはらんでいったり、ギアが適切じゃなくて加速できなかったり、ブレーキしてもオーバースピードだったり…
そんな色んな出来事があった。
昔は。
2ストロークエンジンの時は。
それがないことが寂しい。
バイクのご機嫌をみて、気持ちよく走ってもらうために、適切なギアに変えて、パワーバンドに入れて、ほとんどないエンブレを最大限使って、ブレーキを上手く引きずって、アクセルを少し開けてトラクションをかけて…
っていうバイクとのやり取りがなくても走れてしまう。
このバイクの性能が良いからなのか。
4ストロークエンジンだからなのか。
安心感に包まれながら、楽しさの中にちょっぴり寂しさが交じった、そんな気分になりながら峠道を下っていった。
よく知っている交差点に来た。
橋の終わりがT字で国道とつながっている。
右折し、ここから国道1号線を走り、また西湘バイパスに入る。
箱根とは、さよならだ。
夕陽にはもう少し間がある。
明るいうちに海沿いを走れて嬉しい。
間違えずにうまくバイパスに乗れた。
ここからは一直線だ。
海が向こうに見える。
道は意外にカーブしていて心地よい。
行きより風がないみたいだ。
少し、飛ばせる?
行きのリベンジでアクセルを開けてみた。
100km/h
風はまだぶつかってこない。
もう少しいけそう。
アクセルをさらにひねる。
120km/h
前はまだ空いている。
チャンス… かも。
アクセルをぐっと開けた。
風は思ったほど押し返して来ない。
130km/h
右車線をぐんぐん走る。
せっかくだから、あと少し…
140km/h!よし!
ここで前の車に追いついた。
優秀だ。
アクセルを開けただけついてくる。
接地感もいい。
250ccにしては上出来だと思う。
やっとワクワクしてきた。
よしよし。楽しくなってきたぞ。
このバイクの良さをもっと知っていこう。
料金所が見えてきた。
パーキングもある。
休憩、休憩。
左に寄ってパーキングにバイクを停めた。
ヘルメットを脱ぐ。
グローブもとる。
喉が渇いた。水を飲む。
水筒がほとんど空だ。
さっき抜いたバイクが料金所に入っていった。
結局、あれだけ飛ばして抜いても、停まればすぐに抜かれるんだなと思う。
でも、休まなければ。
手を休める。
その時間が必要だから…
お手洗いに行き、水も買った。
次の休憩先に自販機があるとは限らないからね。
念を入れて準備しておく。
あと何回休憩しないと、手がもたなくなるのかわからないから。
パーキングには数台のバイクがあった。
休憩してる人たちもいた。
いたけど、なぜだろう。
大観山の時ほど気にならなかった。
バイクに慣れてきたからかな。
それが、何となく嬉しい。
ヘルメットをかぶった。
グローブをつける。
バイクをパーキングから出す。
後ろ向きにバイク押すの、得意。
みんなの前でスマートにバイクを出せたと思う。
またがってエンジンをかけた。
もう一人出て行く人の後ろについて。
パーキングを出る時、元気よくアクセルを開けた。
一緒に出た人は左をゆっくり走るらしい。
右車線に移り、先を急ぐ。
海は行きよりも白みを帯びている。
日が傾いたってこと。
風はやはりあまりない。
どんどん車が増えてきた。
車の後ろについて、バイパスを走る。
周りを見ながら、ゆっくり流す。
ちょっとした疲労感はあるけど、バイクが体に馴染んだ感覚が心地よい。
だいぶ慣れたなぁ。
バイパスが終わりを告げる。
ここからは一般道だ。
混んでいる。
行きもそうだったから、まぁそうだ。
あんまりすり抜けしたくない。
でも、並んで走るのはちょっとごめんだ。
右手が疲れてしまう。
どうしようかな。
隣の車線にバイクが2台で走っている。
友だち同士みたい。
2人だとすり抜けするのも大変そうだ。
2人で相談している。
わたしが行けば、来るかな?
試しに、車線の間をすり抜けてみた。
そしたらやっぱりついてきた。
1人はこういう時、意思決定が楽だ。
そう思う。
行きたければ行く。
嫌なら行かない。
そう思いながら、ようやく渋滞を抜けた。
せっかく空いたのに…
この海沿いの道はよく混む。
進むにつれて、また混んできた。
渋滞はもういいかな。
なんとかここから逃げ出したいなと思う。
すると、ちょうどよいタイミングで高速道路の看板が!
大人はお金に物を言わせるんだぁ!
迷うことなく、高速道路に乗る。
さて、この道路はどこにつながっているのか…
そう言えば、よく知らなかった。
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