ついに出産(後編)

これまでのあらすじ。

逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ!
ってか、逃げれるものなら逃げたいよー!
痛いよー休憩したいよー眠たいよー!
赤ちゃん、早くでてきてちょーだい!

赤ちゃん出さずにウンコを出した。
出産物語後篇です。

「いきめーーーー!」
と言われていきんでるうちになんとなくイキミ方のコツをつかんできました。

ふむ。
ウンコをいきむのとは違うのだな。

と理解。

いきむと同時に、当直の看護婦さんがお腹の上に全体重をのっけて、赤ちゃんを押し出してきます。
おいおい、んな乱暴な。

いきめーーーー!
いきむ私、ひっぱる婦長、押し出す看護婦。
すごい息のあったトリオ。

そして、ここでやっと医者登場です。
今までの検診は院長先生が診てくれてました。
伊東四朗似です。

でも、来た先生見たことねぇ。
あんた誰?

「次いきますね」と婦長と見ず知らずの医者が話してるのが聞こえました。

しょうがあるまい。
この見ず知らずの医者にまかせるしかあるまい。

いくのか?とうとう産まれるのか?

「いきめーーー!!!」

うううううううぅうううううううーーーー

もう無理。
もう無理。

― あぁ、お花畑が見える ―

意識が飛びそうになったとき、

んぎゃぁすんぎゃぁすんぎゃぁす

でたーーーー!!

産まれたーーーー!!

一気にお腹が軽くなりました。

股の間を見ると血まみれ。
赤ちゃんも血まみれ。

そのまま見てると、胎盤がずるずるとひきずりだされてきました。
おぉ、すっきり。
大きな大きなレバーです。

「今から縫いますね」
おぉ、噂の縫合ですか。
赤ちゃんが出やすいようにちょんぎられたところ縫うってやつですか。

でもね、ほんと産むのが痛すぎて
ちょんぎられたのも縫うのも全然痛くないの。
神経が麻痺してる感じでした。

と思ってた。

しばらくすると神経もどってきた。

まだ、医者縫ってる。
チクチク縫われてるのわかる。

痛い。

痛いよ。

いたいよーーーー。

思わず
「何か所縫うんですか?」って聞いちゃったよ。

「1か所だけです」
ってちょっとむっとした返事返ってきました。

縫い終わってなんやかんややって「尿だしときますね」って看護婦がなんか管を尿管へ。

これがまた痛い。

「痛いっすね」
って腰をうかして逃げようとすると

「痛みに弱いですね」
って言われちゃった。

むがーー!!

痛いものを痛いって言っただけじゃい。

で、なんか大きなオムツあてられて車いすにのせられて病室へ。
やっと寝れると思ったのだけれど、
ものすごい興奮してて、親や夫が来るまで全然眠れませんでした。

分娩台にのってから赤ちゃん産まれるまで
およそ2時間半。

3650グラムの大きな赤ちゃん産み落としました。

あんなに痛いことはもう2度と嫌だ、と思うのだけれど、出産の痛み忘れつつあります。

あぁ、人間って忘れる生き物なのですね。

でも、産まれた時の泣き声、真っ赤な顔は忘れません。

産まれてきてくれた赤ちゃん

ありがとう。

(2008年11月26日のブログより抜粋)

#コラム #思い出 #出産 #10年前

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