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屋久島のはなし

縄文杉が見たくて屋久島にいったことがある。
高速船トッピーに乗って、朝早く初秋の屋久島に上陸した。

世界遺産と呼ばれるにふさわしいむき出しの自然をたたえた島、屋久島。その深い緑に圧倒され空気の濃密さにめまいがしそうだった。

その日は「もののけの森」として有名な白谷雲水峡を目指した。

うっそうとしげる森の中を黙々と歩く。
月に35日は雨が降るといわれる屋久島の霧雨が、ネットで買った598円のレインコートを湿らせていく。

余談だが、このレインコートの胸部のジッパーにはひらがなで「おはよう」と書かれた小さな布がついており、ジッパーの開け閉めが非常に便利だったことをここに記しておく。

レインコートとしての性能を疑うほどパンツまでぐっしょりと濡れそぼり、体力の消耗も激しく息絶え絶えとなったころ、目的の「もののけの森」についた。

あまりの幻想的な世界に友人と言葉を交わすこともなく、ただただ立ち尽くす我々。

しんとした森に野鳥のさえずりがひびく。

もう少し奥にすすもうと、疲れた体にむちうって歩いていると、わたしの横をビーチサンダルに短パンの若者が通り過ぎた。

適当なカバンがなかったのか、手にしているのはコンビニのビニール袋だ。それをブラブラ振り回しながら軽々と山を登っていく。

それを見て、レインコートのようなものを着て
ずぶぬれになっている自分が阿呆のように思えた。

目当ての縄文杉だが、その日の夜、友人たちと大富豪に熱中しすぎたため、次の日寝坊をしてたどりつくことができなかった。

いつかリベンジしたい。

(2013年3月16日のブログより抜粋)

#屋久島 #たわごと #思い出 #コラム

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