洗濯機の掃除をしたらなんか深いこと考えた
おとといから3日間、洗濯機を掃除していました。
洗濯機の掃除に3日もかかるのかと言われそうですが、かかったのです。それはそれは必死でした。手っ取り早く技術的な結論だけ言ってしまうと、洗濯機の掃除にはこれが良かったです。初めからこれさえあれば時間も水も無駄にしなかったのに。。。
やっとキレイになった(と思いたい)のですが、その過程でちょっと深そうな、深くなさそうなことを考えたので、折角なので書いていきます。
実家にある洗濯機はもう12年もので、見た目はそれなりにキレイなのだけれど、考えてみたら結構長く使ってるなあという感じのシロモノ(家電)。私が実家にいない間も長いこと頑張ってくれていたであろうこの洗濯機。何で思い立ったか分らないけど、なぜか徹底的に掃除がしたくなった私は、洗濯槽クリーナーを買ってきた。
酸素系と塩素系。
長らく掃除をしていない洗濯機には酸素系と塩素系(クリーナー)のダブルパンチが効くよ ということだったので、とりあえず2つとも用意。因みにやったことがある人にはおなじみかも知れませんが、粉のやつ=酸素系、液体のやつ=塩素系 という認識で大丈夫。(たぶん)
こんなのと
こんなの
まずは酸素系で汚れを落として、仕上げに塩素系で除菌!って感じらしい。ネットの情報を頼りに、4〜50℃のお湯をためてまずは粉のほうをドボン。洗濯ができない3日間のスタート。
ちょっと回して粉を溶かしたら6時間のつけ置き。
そうしたら、
出てくる 出てくる 結構な量の
ワカメが。
ワカメというのは業界用語で、本当は「黒カビ」のことなんですねえ。ひええ。
浮いてきた黒カビ(以下ワカメ)を網ですくい取って、すくい取って、ちょっと回してはすくい取ってすくい取って、、、、
終わらねえ!
取っても取ってもワカメが次から次へと湧いてくる。。。!
網じゃ埒が明かないと思った私は、ワカメの浮いた水をバケツで汲み出して一人バケツリレー(もはやリレーじゃない)で出来る限りのワカメを除去した。
本来であればあとはすすいで終了 なのだが、
お湯を入れるとまたさっきと同じくらいの量のワカメが...
そのお湯も捨てて、また入れてもやっぱりウヨウヨしてて、、、
もうなんていうか、
「Ridiculous Amount of WAKAME!」(やべー量のワカメ!)って感じ。
お湯を入れては捨て、入れては捨てをもう5、6回は繰り返しただろうかというところで私は力尽きて、不安な夜を迎えることになった。
このままワカメが無くならなかったらどうしよう。これから洗濯をするたびに毎回ワカメがつくんだったらどうしよう。
私はパンドラの箱を開けてしまったのではないかと急に不安になった。
そしていつの間にか「洗濯機って本当に便利と言えるのだろうか」とか「洗濯機は物事の本質を隠してしまうのではないか」とかそんなことを考え始めた。
洗濯機は現代の社会に似ている。
一見綺麗ですごく便利だ。ボタン一つで注水から乾燥まで全部やってくれる、全自動で予定調和な世界。予約機能だって付いていて、私たちがすることといえば洗濯物を入れる、洗剤を入れる、スイッチを押す。それくらいだ。
手入れを怠っても見た目はそれほど変わらない。表面に見える世界(洗濯槽)は銀色に輝いていて、日々の疲労を感じさせない。
でもそれは表の顔だ。
その裏で、下の洗濯槽(層) は日々汚れをため込んでいく。陽の当たらない彼らの上には、カビや埃、とりあえずと放り込んだ諸々の汚いものが蓄積していく。
その怖さは見えないところにある。一見するとキレイなのだ。見えないから気付かない。見えないから対処(掃除)しない。でも確実に黒いものは溜まっていく。それが現代社会の怖さだ。
そうだ、そもそも汚いものを「無いもの」として扱うからいけないんじゃないか。いじめだって「無いもの」を前提にするから隠そうとする。(別に洗濯機は隠してるわけじゃないけど)ダメなものとして考えるから話せなくなる。確かにキレイなものじゃ無いけれど、どの人の心にもその片鱗はあって、ある種自然なことのようにも思える。
だからいっそ、黒いものも汚いものも「あります」って認めて、その上でどうしようかって考える方が大事なんじゃないかな。物事に良いも悪いも無くて、ただ「ある」ことを認める。タブーとしてひた隠しにするんじゃなくて、まずは正面から見つめる。それが大事なんじゃないかな。
そう考えると、洗濯板 と たらい はある意味すごく良いものに思える。
一つひとつの汚れに向き合って、それをシンプルな道具で落とす。全てが自分の目の届く範囲で完結して、裏で何か起こるという事がない。キレイなものも汚いものも全てオープンに見えている。これはシンプルがなせる技だ。
そっか、洗濯板 と たらい か。
なんて思いかけたけど前時代に戻るのはごめんだ。せっかくここまで進歩してきたんだし私は現代を生きたい。というかそもそも小まめにクリーニングしてたらそんなに汚くはならないのだ。社会が複雑になって問題が見えにくくなった分、裏で何が起こってるのかちゃんと見極めて適切にケアしていく必要があるね。そんなことを学んだ(気がする)。明日こそ適切にケア(掃除)してやる と思いながら今日はとりあえず寝ることにした。
2日目。
今日は満を持して塩素系のクリーナーを試してみる。塩素系は強力で、カビを溶かして分解してくれるらしい。次々と湧きあがるワカメもこれなら一発、と期待して一本丸々投入する。
脱水が終わって洗濯機をのぞき込む。
なんだか下の方に茶色いものが見える気がする。
嫌な予感がした私はすぐに水を入れてワカメチェックをする。するとやっぱり、塩素によって少し色が抜けてかつお節みたいになったワカメがまだスティルナウしていた。
こうなるともう絶望しかなかった。
あれだけ信頼を寄せていた塩素系クリーナーにも裏切られた。もうワカメ改めかつお節と共に暮らしていくしかないのか。日々の洗濯ごとに湧き出る節を見て見ぬふりしていくしかないのか。
そう思うともの凄い嫌悪感で叫びたくなった。
「駆逐してやる!!」そう思った私が真っ先にすることはネットにかじり付くこと。私たち世代にとって何かをする前にネットで調べないなんてことはあり得ない。
するとどうやら、
「日立とか、パナソニックとか、東芝から出てる感じのクリーナーって良いらしいよー」そう言う情報が飛び込んできた。
もうこれはやるしかない。メーカー推奨品だけあって結構値段は高くて2000円くらいする。強気の価格設定。でも背に腹は変えられないので買ってきてもらった。
選ばれたのはHITACHIでした。(因みにどのメーカーも成分は変わりなくて全メーカー使用可能らしい)
1.5ℓも入っているちょっといかつ目のボディ。全然可愛げがなくてこれならいかにも駆逐してくれそう。後は頼んだ。
一本丸々入れて、一晩おく。
どうか明日の朝こそは爽やかであることを願って、今日もまた眠る。
3日目。運命の朝。
祈るようにフタを開けると、
そこにワカメの姿は無かった。
あれだけしつこかったウヨウヨが嘘のように、透明に浄化されて水に還っていた。素晴らしい。これをこの3日間何度願ったことか。今となってはもうあの戦いが遠く昔のことに思える。
排水してすすぎをしても、もうあのウヨウヨは現れなかった。よかった。本当によかった。これでまた洗濯ができる。
ご覧の通り、あのクリーナーの効果は絶大だった。今思うと初めからこれを使っていたら一発で済んだのだろう思う。今回のこの戦いのために、膨大な量の水とクリーナ、そして3日間もの貴重な時間を無駄にしてしまった。特に水については本当に大量に使ったので、ああ本当にもったいなかったなと思う。もし見てくれている人で長らく洗濯機を掃除していないという方がいたら、私はこのクリーナーを推奨したい。
でも、これがあったからこそ無駄に深そうなことも考えられた。そしてこの無駄に長い文章も書くことができた。(正直こんなに長くなるとは思っていなかったのだけど、もう3000字すら超えていて笑える。)だから良しとしよう。そしてこれからは定期的にケアして、キレイな世界を守っていこうと思った。