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#4 【限界労働者の妄想】100連休が当選した人の話 第1話

こんばんは。さかちょです。
noteを初めてから24時間で記事を3本投稿するという、noteへのハマりっぷりに我ながら笑えます。
書くことってこんなに楽しいんですね。上手くはないけど、自由に書くことは面白いです。

さて、今回は突如として物語のアイディアが浮かんだので、ショートショート的なものを投稿してみます。

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今日も、労働が終わった。

「もう限界だ。」

いつも本気でそう思っている。
それなのに、昔から我慢だけは得意で、どれだけ辛くても結局は耐えしてしまうのである。

「退職したい。」

それっぽい理由があったら良いのにと、何度思ったことか。旦那さんの転勤に付いて行くなんて超それっぽいけど、結婚や出産さえもほど遠いし。キャリアアップのために転職します?うーん、他にやりたいことがあるといえばあるんだけど、あったんだけど、これまでの労働による疲労がどうしようもなく蓄積していて、もはや、やりたいことですら頑張れる自信がない。

「せめて家にいるときくらいは安らぎたい。」

そう思って、いつからだろう、やたらと住環境にこだわるようになった私は、自分にはやや贅沢なデザイナーズマンションを借りている。

「貯金はそれなりにしてるから大丈夫。」

と思ったけども、地味に家計を圧迫してくる毎月の家賃。
無駄にシャンデリアが装飾されている洒落たエントランスを通り、いつも通りポストの中を確認する。

「???」

そこには、クリーニング屋の割引券付き広告とともに、見慣れない茶封筒が入っていた。
大切なお知らせって書いてあるな…。
なんだろう。開けてみるか。

100連休付与センター???

???

100連休…
100連休…

え???
100連休付与って…

100日連続で休んで良いってこと?

最近、政権交代があり、第111代内閣総理大臣に日本党の山田大和が就任した。
公約のなかで、国民の幸福度を上げることを目的に、長期連休制度の拡充を掲げていた。
経済活性化を謳って“とにかく働くのじゃ!”と言わんばかりの時代遅れの老害候補者ばかりのなかで、山田大和の考えは新鮮に映った。
のは覚えてるけど…

これが、大和の言ってた長期連休制度?

「それにしても長すぎん?せいぜい10連休くらいかと思ってた。」

突然の知らせに驚きを隠せない。

いまの時代、お金が全てではなく、仕事で自己実現しつつプライベートの時間も大切にするのが若者のスタンダードだ。
人生の全てを仕事にかけてきた世代の大人たちにはとうてい受け入れ難い考えではあるのだが、誰も時代の変化に抗うことはできない。

また、タイパを重視する生き方をしてきた若者たちが新社会人になり、週5で8時間(プラスあたりまえに残業あり)労働することに耐えきれず退職してしまう「タイパ退職」が社会問題となっていた。

大和はそんな若者たちの気持ちに少しでも寄り添おうとしたのかもしれないけど…
100連休って、どういうことなんだろう…
いまいちわからない…

ところで私は若者と言って良い年齢なのかどうかわからないが、とにかく週5でフルタイムで働くということには入社前から恐々としていたような、ある意味時代先取り人間なのである。

それでもなんとかかんとかギリギリの状態で、今で言う“限界OL”的な感じでなんとかかんとか労働者として生き延びてきた。

そんな私に、100連休付与…
とりあえずなんか全然よくわかんないけど、

「最高じゃないか!!!」

私は表情を変えずに、拳をまっすぐ天井に向け突き上げた。

(つづく)

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お読みいただきありがとうございました★

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