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山登り人生vol60初の剣岳岩登合宿その1
25歳。結婚前から剣岳に興味を示し
遂には長女の名前に剣岳の或る地名を付けてしまった。
結婚2年目での初めての剣岳でした。
剣全体を知りたいと別山尾根、平蔵谷、源次郎尾根、長次郎雪渓、八ツ峰、早月尾根に取り付いた山行でした。
長くなるので2回に分け投稿します。
当時の写真はありません。
No160剣岳岩登合宿
昭和49年9月6~14日
YとM、数年後Mと結婚したE女史と私
6日佐世保出発
佐世保10:50⇒21:40大阪23:10
7日剣沢BC入り
立山7:00⇒7:07美女平7:40⇒8:30室堂11:55(雨のため様子見)→雷鳥小
屋12:45→14:35剣御前小屋15:00→15:30剣沢ベース設営
夜中22:00・23:00、上下の支柱強風のため折れる。
2本支柱のためテント高さが低くなり最悪テント生活。
8日雨のため停滞(台風18号)
起床6:00 食事10:00 昼寝 夕食18:00 消灯21:00
9日雪上訓練・平蔵谷へ
起床6:30 食事8:30
出発10:00→平蔵谷出合10:30(トレーニング昼食)11:30→平蔵谷→平蔵避難
小屋13:30→カニの横這い付近で雨引返す13:45→平蔵避難小屋14:15→
剣山荘15:25→15:40BC
10日源次郎尾根へ
起床5:00
出発→剣沢小屋6:35→平蔵谷出合6:55→源次郎尾根取付き7:30→F38:50→
Ⅱ峰11:35→懸垂下降終了12:05→12:50剣岳13:15→熊の岩14:40(長次郎雪
渓)→剣沢合流15:20→雪渓終了16:15→16:50BC
(その2に続く。)
11日八ツ峰下半部から上半部へ
12日別山尾根から平蔵避難小屋へ
13日早月尾根から下山
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佐世保を出発・剣沢入り
6日(金)佐世保を出発
奥様、長女、Yさんフィアンセの見送りを受けて特急かもめで出発。
三度目の正直で剣岳山行となる。
大阪で急行立山に乗り換える。
指定席は取れなかったが、どうにか着席できた。
7日(土)雨の中剣沢入り
富山電鉄が併設してあり富山で下車することなく、立山駅まで向かった。
車両を乗り移り立山駅へ。
ケーブル、高原バスの乗継ぎ良く、室堂に8:30頃到着。
しかし、天気悪く強風に雨、時折強い雨となる。
バスターミナルで様子を見るため
ツェルトを出して寝ていたら職員に注意される。
雨はまだ強くガスも酷いが、昼食を済ませ12:00出発する。
ガスの中、地図を頼りに雷鳥沢に下る。ここから一本道の急登である。
雨は上がったので雨具は脱いだ。荷重は27~30kgであった。
1時間チョットで急登は終わり、剣御前小屋に着く。
峠近くは強風で、身体まで吹っ飛びそうである。
佐伯栄治さんは居なかったので、三田平に下る。
テント場は、剣沢小屋上のテント場管理事務所がある小高い丘にある。
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風、雨ともいくらか納まり、素早くテントを張る。
管理事務所に栄治さんを訪ねたが、ここにも居られなかった。
しかし2∼3日したら登って来られるとのことで、
M先生からのお土産長崎物語をことづけ登山届を提出した。
夕食も早く済ませシュラフに入るが、再び風雨が強くなる。
22時頃には最高潮となり、天気図をE女史が出そうとした途端、
北側のポールが真ん中からクの字に折れてしまった。
続いて10~20分ほど経った頃、
南側ポールも大した風でもなかったが折れてしまった。
屋根の低いテント暮らしの始まりとなった。
雨の中をいくらか補修し再びシュラフに入るが、
強風雨で全員、熟睡できなかった。
8日(日)停滞。
今日もまた雨風が強い。
南方を北上中の台風18号のため日本海の前線が活発化している。
この天気は当分続きそうである。
雨が降らない時を見て
テントの補修、側溝の整備、風除けの石垣を作り万全を期する。
これで昨晩のようにテント内に水が溜まったりはしないだろう。
気温も下がり6度前後である。
剣岳の全容はまだ拝めない。
時折、源次郎尾根、八ツ峰の岩稜が望まれるが、
明日の天気も回復は望めないし諦めの心境である。
天気図も好天を示さない。
台風の動きが遅く長引きそうである。
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9日(月)乱れ。午後から動いたが
今日もやはりダメである。
ガスが剣を覆っている。
Yは痺れを切らし、
近くに雪渓でアイゼンワークの練習を一人で行くと言う。
一人ではさせられないし皆で行くことにしたが、
再び雨が降りだしテントに戻る。
リーダーシップが足りないのであろうが、
このように単独で行動をとるような態度は困ったものである。
天気も大分と回復したようで、10時テントを出る。
風はまだ強い。剣沢雪渓は、どうした現象か知らないが真ん中に土が盛り上げって滑りでもしたら真っ黒になってしまう。
出合付近でトレーニングと思ったが、
天気も気になるし思うような場所がなく、真似事だけして平蔵谷に入る。
真っ直ぐに伸びた雪渓で、傾斜は急である。
雪渓を過ぎるとちょっとした岩場があり、
後はガレで岩雪崩でも起きそうな不安定な所が続く。
2Pで避難小屋に着く。
暫く休んだ後、本峰に向かったが、
風強くカニの横這いを過ぎた所で
吹き飛ばされそうになったので引返した。
別山尾根を下ることにした。
途中、雷鳴も鳴り響き、生きた心地はしなかった。
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10日(火)源次郎尾根へ
平蔵谷出合まで下って源次郎尾根取付きへ。
昨日の確認ですんなり取り付くことができた。
尾根末端を引き裂いているルンゼから取り付く。
10mほどの滝は右岸を登るが手こずる。
1時間ほどで大きなスラブに突き当たり、
左のガリーを登って尾根筋に出た。
ブッシュの中に踏み跡が付いている。
これを辿り主稜に達した。
ハイマツまじりの緩い岩場を登るとⅠ峰に達した。
ここからⅡ峰は手ごわそうである。
ここから25mの懸垂で下降する。
取付きから4時間半でコルに立った。
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E女史はカラビナ懸垂で下降する。
Ⅱ峰は見た目ほどではなく、
ハイマツの中の踏み跡を黙々と登り40分程で山頂に立った。
明日の八ツ峰もあり、長次郎雪渓側に下る。
北方稜線を下り長次郎コルへ
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コルから熊の岩へは急な下り。
熊の岩に達すると左手に八ツ峰が迫ってくる。
振り返ると北方稜線のギザギザが圧倒する。
熊の岩からはベルクシュルントがあったりと慎重に谷を下る。
剣沢に出て雪渓を1時間程登り返す。
雪渓が終わり夏道を40分程でBCに戻った。
この登りはきつい。
難しさはそう感じなかったが、10時間を超える行動で疲れがドットでた。
次回その2、八ツ峰登攀、平蔵避難小屋泊り、早月尾根に続きます。