ヒマラヤ7000m峰への挑戦と挫折⑥BCへキャラバン
「1997年長崎県山岳連盟サトパント峰学術登山隊」の記録を登頂断念記より抜粋して投稿します。
ヒンドゥー教の聖地ガンゴトリからベースキャンプBCへの5日間のキャラバンです。
1日目(8月3日)曇りのち晴れ
ガンゴトリからボジュバスへ14km行程。
私物の殆どは、ポーターが担いでいます。サブザックにカメラ、タオル、水筒、若干の食べ物と貴重品を担ぐぐらいで、たいした重量にはなりません。
ガンガの流れを見ながら歩く。崖っぷちを歩いたり河原を歩いたりのキャラバンでした。至る所に高山植物が咲き乱れています。
カーブを曲がったところでバギラティが見えました。
途中、渡渉個所が出現。雪解け水で冷たいことこの上ありません。
流れに足を取られないように注意して渡ります。
16時過ぎ、標高3792mのポジュバスに到着。
ツーリストバンガローに泊まる。ここまでがベットで寝られる場所で、後はテント生活になります。バンガロー上部の何軒かある茶店も、一般人の宿泊所にもなっていました。
2日目(8月4日)快晴
ボジュバス滞在。
各自、高所順応のトレーニングを行います。
右岸の丘には青いケシの花が咲いています。
川原にはガーネット(ざくろ石)を含んだ石が転がっています。
ここは高山病でBCから下山し13日夕から本隊が戻る21日までお世話になった場所です。
3日目(8月5日)快晴
ボジュバスからナンダンバン4,400mへ。12km行程。
シブリン6543mの素晴らしい山容に圧倒されながら、またバギラティパルバットⅠ峰6856m・Ⅱ峰6512m・Ⅲ峰6454mの雪の山群を眺めながらキャラバンは続きます。
出発から1時間程でガンガの源流、ガンゴトリ氷河の末端ゴームク3892mを通過します。ここまで沐浴に来る熱心なヒンドゥー教信者もいるそうです。
岩にはシバ神が描かれており、色とりどりの旗が風にはためいています。
ここからは氷河とモーレン帯(氷河によって運ばれた岩や土砂によってできた荒地)を、ひたすら歩き続けます。
急斜面を登ったところが本日の宿泊地ナンダンバンです。
13時前に到着しました。
高原のお花畑といった場所です。右手にシブリンが銀色に輝く。綺麗な衣装の女性を含めたヒンドゥー教徒の家族らしい人々がキャンプしている。ゴームクやナンダンバンまで修行に来られるのは裕福な人に限られている。
この頃から体調に変化が出ていました。高山病の前兆が出ていたのです。
4日目(8月6日)曇りのち雨
ナンダンバン滞在。
高所順応トレーニングを兼ねてBC近くまで往復します。
チャトランギ氷河左岸のサイドモーレン上のルートを辿ります。
途中細い川の流れがある所では、色とりどりに高山植物が花を咲かせています。
私は順応していません。
ナンダンバンは河岸段丘面で、起伏が殆どない広い場所です。ボーットしている時間が長くなりました。このナンダンバンから眺めるシブリンやケダルナート6831mの眺めも素晴らしい別天地ですが、記憶はとんでいます。
5日目(8月7日)快晴
ナンダンバンからBCとなるバスキタールへ4800m。8km行程。
サイドモーレンをビスタリズムで歩く。本日の行程でバスキパルバット6792mから流れ出ている小さな氷河を渡らなければならない。そのため急斜面を降下し、最後は対岸の急斜面を登り終えた場所がバスキタールだ。
10時過ぎ遂にBCに到着。各自、自分達のテントを張る。隊員は2人用のテントだ。ここまででポーター達は下山してしまう。高所ポーターは2名だけであり、キャンプ2(C2)までの荷揚げと平行しての登山活動では、人員不足ということで急遽富山山想会(1990年計画)で高所ポーターを経験しているポーターを雇う。
ただし高所ポーターといってもサトパント峰ではC2までしか登らないと言う。その先は険悪なナイフリッジになっているからだと言う。
午後、食堂テントとキッチンテント間にロープを張り、日の丸とインド国旗を掲揚する。もちろん長崎西高同窓会のサトパント峰遠征隊用の旗なども一緒に張る。
このバスキタールはやや窪地になっており、テントを張り巡らせた前面には浅いながらも広い天然の池がある。この池の露岩に、コックは何やら白い粉(食塩)をのせている。暫くすると山羊が小さな群れをなして舐めにやって来るのだ。群れは次から次に現れ、多い時では100頭近くまで増えている。群れの中に黒い角が一際長い山羊がいる。この山羊のボスだろうか。威風堂々としている。この後も何回かこのような情景を目撃することになった。
夕方BC開きを行う。レミーマルタンが開封されたが、飲む元気はなかった。完全に高山病の症状がでていました。
次回は、登山活動になりますが高山病で記録も記憶も飛んでおり、どんな投稿になるか今から検討です。
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