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2021年 京大入試 英語大問2 第19文

24日目です。今日は下線部訳になった部分です。張り切っていきましょう!目標5000字です。

1.今日の英文

And this explains, what would otherwise be inexplicable, the surprising ease and passion with which men wholly incompetent to appreciate the evidence for or against natural selection have adopted or “refuted” it.

下線部の前半部分です。実はこの文本番では手も足も出ませんでした。

2.単語の解説

inexplicable:説明できない ease:簡単さ passion:激情
incompetent:無能な appreciate:正しく理解する evidence:証拠
for:賛成 against:反対 natural selection:自然選択

inexplicableはexpliがexplain(説明する)とわかれば覚えるのは簡単です。

passionは情熱ですが、passionと聞くとプラスのイメージを持ちますが(某アイドルのせい)、passionはプラス、マイナス両方の意味があります。「グイグイ行く」が核のイメージだと思います。

incompetentですが、僕は「コンペ(競争)」から「競争相手にならない」→「無能」と覚えてます。大人はこれで覚えられるかな?高校生には、語源は違いますが、compare「比較する」から連想すると覚えやすいかもしれません。inは否定です。

appreciateは受験英語の王様とも言えるくらいの重要単語です。多義語として有名です。僕の友達にこれの意味が覚えられず苦労してた人がいましたが、核の意味を教えたら一発で覚えてくれました。その意味とは「正しく理解する」です。下にまとめてみましょう。

appreciateの意味 核イメージ 「正しく理解する」≒understand
①感謝する   →相手の好意を正しく理解する②鑑賞する   →作品の価値を正しく理解する③高く評価する →正しく理解してるからいい評価になる

natural selectionは直訳で訳せますが、ダーウィンの自然選択はよくテーマになる用語です。大体が間違って捉えられるという文脈で使われます。ダーウィンの自然選択は、「生き残るために生物が自ら進化先を選ぶ」というものです。進化の一形態ということです。

3.文法の解説

今回で大事な文法は、otherwiseと前置詞+関係代名詞です・

まずotherwiseを見たら仮定法モードになります。助動詞の過去形を使った「仮に」というイメージの文です。実際otherwiseの前にwillの過去形wouldがあります。仮定法は書き手の想像なので、what would otherwise be inexplicableが筆者の想像になります。

前置詞+関係代名詞のポイントは後ろが文法的に完全な文になるということです。
文法的に完全とは、主語、述語、目的語、補語といった文の要素が過不足なくある状態です。この知識は構文を捉える上で非常に役に立ちます。また関係詞は和訳を考える上でも非常に役に立つので、次の項で確認しましょう。

4.構造と訳出のテクニック

And〈 this explains〉,〈 what would otherwise be inexplicable, 〉
〈the surprising ease
             and passion〉
[with which men [wholly incompetent to appreciate the evidence
 (for or against natural selection)] have adopted or “refuted” it. ] 

この文の骨格は、this explains the surprising ease and passion「これは驚くような簡単さと情熱を説明する」ですね。with whichからがease or passion の説明になります。前置詞+関係代名詞です。men have adopted or refuted it「人がそれを受け入れるか、受け入れないか」refuteが論駁なんて知らないんで、ここは文脈から考えるしかありません。というのは嘘で、この文の前にacceptance or the rejection of Darwinism「ダーウィニズムを受け入れるか拒絶するか」があるのでこれを参考にします。そしてmenの説明がwhollyからselectionまでです。「自然選択説に賛成、または反対する証拠を全く理解できない無能な」です。incompetentに否定のイメージがあるので否定っぽく訳すといいと思います。ここまでをまとめると、

そしてこれは、自然選択に賛成または反対する根拠を全く理解できない無能がそれを受け入れたり、拒絶したりするような驚くような簡単さと情熱を説明する。

なんとなく言いたいことはわかりますが、ちょっと訳が硬いです。実際僕は本番ここで手が止まりました。

こんなときに使えるテクニックが、「関係詞でつながった1文を2文に復元する」です。関係詞に注目して文章を復元すると以下のようになります。わかりやすいように一部省略します。

the surprising ease and passionwith which men (wholly incompetent to appreciate the evidence for or against natural selection) have adopted or “refuted” it.

men have adopted or “refuted” it with the surprising ease and passion

復元した文を訳すと

人はそれを驚くほどの簡単さと情熱でそれを受け入れたり拒絶したりする

です。つまりこの部分のメインはhave adopted or “refuted” itになります。復元した文では、the surprising ease and passionが副詞の働きをしています。それを意識すると、

人はそれにいとも簡単に納得するか、ムキになって拒絶する

とできそうです。the surprising ease and passionを副詞っぽく訳すととてもきれいな訳になりました。前置詞+関係代名詞は構文把握でもとても便利ですが、関係詞はこのように「もとの文に戻す」ときれいな和訳になることが多いので、関係詞の訳に困ったらこの方法を使ってみてください。文法でも構文でも和訳でも大事なのが関係詞です。時制の次くらいに大事にしたい文法事項です。

飛ばしていたwhatカタマリは挿入なので補足説明の働きをします。訳は「他では決して説明がつかなそうなもの」です。仮定のイメージ伝わりますよね。どんな説明かといえば、「無能が自然選択説を受け入れたり拒絶する」理由への説明です。

5.全文訳

そしてこれは、他では説明がつかなそうな、自然選択に賛成または反対する根拠を全く理解できない無能が自然選択にいとも簡単に納得するか、むきになって反論してしまう理由を説明している。

自然選択説に対する無能のチョロさ(ease)と顔真っ赤(passion)の理由を説明している訳にできれば合格ラインだったと思います。surprising ease and passionの訳は難しいねって多くの予備校が口を揃えてますね。実際難しいです。ただ今回は割とスッキリと説明できたと思います。会心の解説です。では次回は下線部役の続きです。今回の内容をしっかり復習して次回に望みます。

幼女戦記を見たあとにこの記事を書いたので、どうしてもincompetentを無能と訳したくてしょうがありませんでした。少しキツい訳になってしまいましたが、ヨシ!

6.復習用英文

And this explains   /, what would otherwise be inexplicable,/
そしてこれは説明する/ 
the surprising ease /and passion  /with which men /
驚くほど簡単に /そして情熱的に /人間が/
wholly incompetent   /to appreciate/ the evidence/ for or against /
どうしようもない無能の/ 理解する/ 証拠を/ 賛成か反対か/   
natural selection /have adopted/ or “refuted” it. /
自然選択説に/ 受け入れる /あるいは反論する/

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