水場の底からこんにちは
すこし前から男女150人規模の集団生活をしている。
会社の研修のようなもので、語学を主眼に置いた約2カ月間のプログラムだ。
世間は新元号を迎えだようだが、ここにはテレビもないし、携帯の電波もあまり入らない。
私は窓から見えるタンポポが黄色から白に変わったな、とか、建物内に侵入してくるカメムシの種類が変わったななどと思いながら過ごしている。
有難いことに個室が与えられているのだが、風呂とトイレは共用である。
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これまでの生活において、同性の裸体を目にする機会はさほどなかった。
せいぜい健康ランドくらいのものだ。
ただ健康ランドと違うのは、その人の食事や運動などの生活習慣、ふだんの服装など複合的な情報を持っていことである。
決して決してまじまじと観察しているわけではないが、日々暮らしていると、年代別の特徴や、若い女性という括りのなかで最も多くを占めるボリューム層の体形がわかってきた。その体形に合わせてメーカーは服を作るのだ。
森で木を見て気付くことは多い。
「ジャケットがかっこよく決まる人はこういう体形なんだ」
「私がジャケットが似合わないのはこういう特徴があるからか、そりゃそうだよなあ」
「スリムだなあ、少食だもんね」
「しなやかな筋肉はランニングの成果よね」
もしもここに多感な思春期の女の子がいたらいい教材になるんだろうな、と思う。
みな大人で自分に似合うものを経験則で分かっている。本当に勉強になる。
♢
さて、この施設に関して思うことは以下の2つ。
つづく
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