57.さぶちゃん病院へ行く
元野犬のさぶちゃん
ウチに来て4ヶ月。
金曜日の晩に初めてお散歩に行けてから、
土曜日の朝は娘と3人でお散歩、
夕方(晩)のお散歩も家族全員で。
もうすでに、
「お散歩に行こう!」
と言ってもらうのを楽しみに待っているさぶちゃん。
体のどこを触っても怒らないし、
抱っこだってできる。
今は「逃走」よりも「急いで帰宅」を選ぶ、さぶちゃん。笑
ウチに来てすぐの頃、O動物病院に連れて行ったものの、
「もう少し飼い主さんに慣れてから連れて来て下さい。でないとぼくも触れません」と言われ、何もしてもらえず、触ってももらえず、泣く泣く帰って来たという、、、、、(家族みんなトラウマ…)
今なら、病院に行っても、
さぶちゃんが多少パニックになったとしても、
家族5人(4人と1匹ね)の
団結パワーで乗り切れるはず!
ということで、日曜日、Mイヌネコ病院に行くことにしました。
(O動物病院は、さぶちゃんには良くないと判断しました)
あらかじめ電話で、
さぶちゃんの簡単な生い立ちを伝え、
健康チェックと狂犬病の注射と市への登録、各種予防接種、フィラリア、去勢手術、マイクロチップなどを希望している旨を話しました。
電話の向こうの受付のお姉さんは、明るくハキハキしていて、私の話を親切に聞いてくれ、
「全部いっぺんにはできないので、来て頂いて、先生と相談しながら進めましょうね」と言ってくれました。(すでにO動物病院より好印象!笑)
さぁ、さぶちゃん!
病院に行くよ!がんばろね!!
さぶちゃん、ビビり💩をしちゃうクセがあるので、車にはバリケンごと乗ってもらう事に。
リビングのさぶちゃんの安全地帯の
すぐ前にバリケンを置いて
「さぶちゃん、ここ、入れる?お出かけするから、ここに入ろうか」
と言うと、さぶちゃんは少し考えてから、スッと入りました。
さぶちゃんは人の話をよく聞いて理解していて、本当にかしこいコです。
バリケンさぶちゃんを息子とパパが車に運んで、いざ、家族みんなで
Mイヌネコ病院へ。
病院に着いたら私が受付をしに行きます。順番がきたら携帯に電話をしてくれるので、みんなで車で待ちます。
さぶちゃんは車のバリケンの中で、とても落ち着いています。
ハッチバックを開けて、みんなでさぶちゃんを覗き込んで、しゃべりながら待ちました。
しばらくすると電話が鳴って
「さぶちゃんの順番がきましたので、中へどうぞ〜」との事。
パパと息子がバリケンさぶちゃんを持って診察室へ。全員で診察台の前まで行くと、男の先生と看護婦さんが1人いて、にこにこ笑っていました。前回の病院でのトラウマで緊張していた私たちは、少しホッとして診察台の上にバリケンさぶちゃんを乗せます。
「このコ、保健所から来たんです。人慣れしてなくて、やっと私たちは触れるようになったので連れて来ました。ものすごく怖がりで、パニックになって逃げたら大変なので、バリケンのままで来ました」と説明すると、先生は、やさしい声で柔らかく言ってくれます。
「そうですか〜。では体重から計りましょうね〜。バリケンの上側をそっと外してみようかなぁ〜。どうかなぁ〜。こわいかなぁ〜?」
家族も先生も看護師さんも、そこにいる6人全員で
「さぶちゃん、大丈夫やで〜」
「さぶちゃん、おりこうだね〜」と言いながら、バリケンの12個のネジをあっと言う間に外します。
先生がそっ〜とバリケンの上側を外します。「大丈夫だよ〜。怖くないよ〜。かしこいですね〜。落ち着いてますね〜。バリケンの下側の重さを引いたら、さぶちゃん、15.5kgくらいですね〜。うん。落ち着いてますね〜」と先生。
おぉ〜!! 15.5kg!!
さぶちゃんの体重が判明しました。
感動です!!
(前回、O動物病院では、必死で家族4人で診察台にバリケンを乗せ、ネジを外して上側を開けたのに「ひとりで診察台に座ってじっとしてもらわないと測れない」と言われ、体重すら測ってもらえず、再び家族4人で黙々とバリケンを閉じ12本のネジを閉めました。さぶちゃんはもちろん、バリケンすらも、病院の誰にも触ってもらえず、全く何もしてもらえずで、帰ってきたのです…何度も言いますが、元野犬を病院に連れて来たらダメだったのか?…と、完全にトラウマになってます…)
Mイヌネコ病院の先生は始終やさしくおだやかな話し方なので、さぶちゃんも全く怯えたりせず、とても落ち着いています。
「さぶちゃん、落ち着いていますね〜。お母さん、そのままさぶちゃんのリードと首のところを持っててあげて下さいね〜。お兄ちゃん、お顔のところに来てあげて。僕たちでそっとバリケンの下側を抜いてみましょうか〜。うん。おりこう、おりこう〜。大丈夫だよ〜」
先生が上手にリードしてくれて、
あら、気がつけば、さぶちゃん、診察台の上に立ってます。パニックにもならず、ビビり💩もせず、とても落ち着いたままです。
ここの先生、すごいなぁ〜〜!!
めちゃくちゃやさしいなぁ〜!
めちゃくちゃうれしいなぁ〜…涙涙涙
先生は流れるように
「うん。さぶちゃん、落ち着いてますね〜。大丈夫だよ〜。お母さん、お兄さん、そのまま持っててあげて下さいね〜。採血しましょうね〜。(看護師さんが下半身を持つ)さぶちゃんの足、借りますね〜。はい。終わったよ〜。お口も見せてね〜。(先生、さぶちゃんの唇をめくる)うん。奥歯の感じから見るとさぶちゃん、4〜5歳ですね〜。さぶちゃん、お利口だから、このまま狂犬病の注射もしましょうね〜。はい。終わったよ〜。さぶちゃん、えらかったね〜。怖いだろうから、また、バリケンに入ろうね〜」
さぶちゃんを入れ、また6人でバリケンを組み立て12本のネジを閉めました。
ほんとにあっという間に、
さぶちゃんがびっくりすることも、怖がることもなく、診察は終わり、
「血液検査の結果が15分くらいかかります。怖いだろからさぶちゃんはもう、車に戻っててもいいですよ〜。えらかったね〜。さぶちゃん」
だって!
この先生、ほんまにすごい〜!!
手品か、魔法か、イリュージョンか⁉︎
しかもさぶちゃん、
4〜5歳やって〜!!
保健所からやって来たとき1歳くらいって書いてあったなぁ〜〜笑笑
4〜5歳やって〜〜!!
いい若者やんか〜〜!
娘がボソッと
「私と同年代やな」って言うから、
めっちゃ笑っちゃったわぁ〜!笑
私たちは5人とも感動して、顔もほころびながら「ありがとうございます!ほんとに、ありがとうございます!」
ペコリ、ペコリ、ペコリ
これなら、さぶちゃん、次も怖がることなく、病院に来れそうです。
(私たちも!!)
ほんとにありがたい……涙
さて、15分後。
私が代表で診察室に行くと先生が
「お母さん、他のご家族も呼ばなくていいですか?」と言うのです。
その雰囲気に、
「え?何か重大な話が??ちょっと待って下さい。呼びます!呼びます!すぐ呼びます!」私は携帯電話ですぐに娘と息子を呼びました。パパは車のさぶちゃんに付いています。
「血液検査の結果、大きな病気は無く、健康です。狂犬病の注射も先ほど終わったし、今日は混合ワクチンの予定を考えるのとフィラリアの薬を出そうと思っていたのですが……この画面を見て下さい。これはさぶちゃんの血液です。小虫が見えるでしょう。そして、こちらは検査薬での結果なんですが、この両方からさぶちゃん、フィラリア…陽性でした…」
ショックを受けている私たちに先生は
「フィラリアの治療をしてから、次の色んな事をしましょう。まず、飲み薬で血液中の小虫をやっつけます。これが一番キツイ薬なので、副作用が強く出るコも稀にいて、ごく稀に命を落とすコもいます。ぼくが今まで診てきた中では大丈夫でしたが、必ず、病院の開いてる時間に飲ませて下さいね。様子をよく見て頂いて何かあればすぐに病院に連れて来て下さいね。これをクリアしたら、今度は心臓にいる親虫をやっつける治療(投薬)を始めますので、来週また、来て下さいね。その時に、あとの色々な事を計画立てましょうね」
そうか〜……
そりゃぁ、山の中で4〜5年もいたら、フィラリアにかかってても不思議ではないか……
やっぱり、外の暮らしは大変やねんなぁ〜……
さぶちゃん、がんばってたんやなぁ…
でも!さぶちゃん!
みんなで悪い虫をやっつけような!
がんばろな!!
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