43. さぶちゃん、ベランダの穴に　ふんづまる

元野犬のさぶちゃん、
ウチに来て約３ヶ月。

さぶちゃん、最近は顔を上げている
時間が長くなりました。

そして毎日、私に なでなで すりすり されていますが、嫌がる素振りはありません。
（私はうれしくて、やたらめったら
すりすりしています。笑）


さて、数日前の朝のこと。
私が洗濯物を干すために何度もベランダ窓を開けていたら、さぶちゃんが珍しく興味のある素振りでソワソワし始めました。
あの、ベランダたてこもり事件以降、ベランダにはなるべく近づかず
「オレ、ベランダには興味無いよ風」を貫いていたさぶちゃんですが…。

私は、洗濯の合間にベランダにもたれかかって、緑道の木にやって来た鳥を見ていました。
ふと振り向くと、さぶちゃんが私のすぐ後ろまで来ていました。

このところずっと、ベランダには寄り付いていなかったこともあり、うっかり窓を開けたままでした。
さぶちゃんはササッとベランダに出てきました。
私はさぶちゃんを刺激しないように、そのまま鳥を見ているふりをしました。
さぶちゃんはベランダの小さい穴（14.5cm角）から外を眺めたり、穴に前足をかけて上を向いて匂いを嗅いだりしていました。
そして、一通りの穴をチェックすると、また、ササッと部屋の中へ戻っていきました。
内心ドッキドキで見守っていた私は
「自分で戻ってくれて、良かった〜〜。驚かさなかったら、ちゃぁんと自分で戻るんだな〜。やっぱりさぶちゃん、かしこいなぁ〜」と胸を撫で下ろしました。

残りの洗濯ものを干すために何度かベランダを開けましたが、さぶちゃん、その度にちょこっと出て、穴から外を見て、すぐ戻る、というのを繰り返していました。
かしこいさぶちゃんは何回も確認して
「ベランダは狭いので助走が取れないため手すりは超えられない。おまけに、ここは２階で地面は遠い…」と理解したようです。

車が走る音や子どもたちの声をじっと聞いたりしているので、お散歩に行く時の練習にもなるかと思い、何度も出たり入ったりするさぶちゃんを微笑ましく見守っていました。

何より、すみっこ引きこもり（ゲージのあったとこね）のさぶちゃんが自分から出てきてウロウロしている、ということだけでも、うれしくてかわいくて、
「さぶちゃん、どんどん探険して
　いいねんで〜」と心の中で
カモン！カモ〜ン！って言ってました。

「今のさぶちゃんは、ベランダに出てもすぐに自分で戻って来る」
と安心した私は、洗濯が終わった後もベランダ窓を開けておいて様子を見る事にしました。
さぶちゃんは何度も、ちょこっと出ては、外の空気を楽しんで戻ってくる、というのを繰り返していました。

30分ほど経った時、

ベランダに出たさぶちゃんは私の死角（側面）の方へと移動しました。
私は探索中のさぶちゃんを動画に収めようと、携帯を構えながらベランダへ向かいました。

その時、

ガチャガチャッ、
バタバタ、ドタドタドタバタと、
初めて聞く音が聞こえてきました。

え？
さぶちゃん、何してる？？？

慌ててベランダに出てみると、

なんと、

さぶちゃんの頭が見えません。

おしりしかありません。

どうなってるの？？？

初めは訳が分からずパニックになりましたが、やっと理解できました。

さぶちゃん、
ベランダ側面の小さな穴（横14.5×縦29cm ）に頭を突っ込んで、抜け出ようとしていました。

（以前ベランダに立てこもった時は、室外機のある逆サイドでした）

側面の穴から覗いてみて、お隣の庇に渡れる、と思ったようです。（実際にはちょっと無理です…）
ところが穴が小さすぎたので、頭と前足と肩あたりまで通ったところで、
ふんづまってしまって、
（前にも書きましたが、さぶちゃん、結構ガタイがいいです。うちの娘よりガッチリしてます。そりゃ、ふんづまるわ）こちら側では後ろ足だけが空中をバタバタとかいているのでした。

血の気がサッと引いた私は、動画を撮っていた携帯電話を放り出し（落ちた時、パーンと変な音がした　涙）
下半身しかない、さぶちゃんの、後ろ足を引っ張って、こちらに戻そうとしました。
ベランダの穴のあちら側ではさぶちゃんが踏ん張っています。

またもやベランダの悪夢がよみがえってきました。

さぶちゃんはベランダ柵の向こう側で、抜け出ようと前足で踏ん張っています。（いや、多分無理だよ）
私はこちら側でさぶちゃんの後ろ足を持って引っ張ります。
私はめちゃくちゃ必死ですが、さぶちゃんもかなり必死です。

私は半分パニックで、さぶちゃんの両足を引っ張りながら、

穴にふんづまったプーさんみたいやなぁ、とか

あ、トムとジェリーでもこんなシーンあったなぁ〜

とか冷静に思い出したりして、、、
片足でベランダを蹴り、踏ん張って、なんとかかんとか綱引きに勝利し、
やっとの事で、
スポーーーンッと、
さぶちゃんをこちら側に引っ張り込みました。

（大きなかぶか？

　牛の出産か？？……）


さぶちゃんは、いそいそと部屋に戻り、いつもの自分のスペースに伏せました。

私はびっしょりかいた汗を拭いながら、ヨロヨロと投げ捨てた携帯電話を拾い、部屋の中に入りました。
携帯電話は案の定、カバーガラスが割れてヒビがたくさん入っていました。涙



そうか、、、
さぶちゃん、何度もベランダに出て、穴の下見してたんやねぇ……
「（側面の）この穴なら、外に出れそう」って計画立ててたんやねぇ………（ベランダ正面には14.５cm角の穴が５つ、側面には横14.5×縦29cmの穴が左右に１つずつあります）

ほんまに、
さぶちゃん、、、
頭良いよなぁ……
そして、いつも、こちらの予想の
斜め上を超えてくるよなぁ……



とにかく本当に、、、　

ベランダの穴が小さくて良かった。

さぶちゃんが穴よりデカくて良かった。

さぶちゃんがふんづまってくれて
良かった。。。涙（←安堵の涙）