社長さんが気合いで雇用調整助成金を申請するマニュアル
※なぜうどんかは購入すればわかります。
雇用調整助成金という言葉が何度も何度もニュースで流れていますが、
簡素化されたとは言え、なかなか社長さんが作るのは大変です。
WEBサイトを見てもよく分かりません。
しかーし!今回は危急時であり、既存の書類を提出しても受け付けてくれるよう運用が変更されました。
皆さまご自身で何とか作れるようマニュアルを作成しました。
まずは、この雇用調整助成金とは何か、そして新型コロナ特例とは何かからの説明です。
↓「いろいろ騒がれている雇用調整助成金について簡単なおさらい。」
前回の記事 こちらも必ず読んでください。
雇用調整助成金はもともと存在する助成金です。
事業活動の縮小を余儀なくされた事業所が、従業員に休業手当(給料の60%以上)を出して休業させた場合、その休業手当の一部を国が助成してくれる制度です(その他に、教育訓練をしたり、出向させることもできます)。
本来は、事前にこれだけ休ませすよ、と「計画届」を提出し、休業した実績をもとに「支給申請届」を提出することで助成金を受け取れます。
が、今回はそんな悠長なことはできません。後ほど説明できますが、まずは休ませて「計画届」は後で出しても良いことになりました。
令和2年4月30日から令和2年6月30日までを「緊急対応期間」と銘打ち、条件の緩和や手続きの簡素化が図られています。前回のエントリではそもそもルールの紹介から入っていますが、新型コロナ特例をポイントにします。
※制度や手続きが頻繁に変わっています。恐らく緊急対応期間も延長するような気がします…。
1.支給要件
①会社が雇用保険適用事業所であることです。なお、社員が全員パートなどで雇用保険に入っていない場合は(労災保険のみ入っている)、「緊急雇用安定助成金」という新設の助成金の対象にはなります。
②売上が昨年の同月と比較して5%以上低下した。この比較する月は「計画届」を提出する月の前月分です。ハローワークに計画届を初めて提出するのが5月ならば、平成31年4月と令和2年4月を比較します。
なお、創業から1年経過しなくても、昨年12月と比較することができます。
→更に緩和されました。
前年同月や前々同月と比較できない、または、比較することが適当ではないときは、直近1年間で適切と認められる月と比較が可能になりました。
③休業手当(平均賃金の60%)以上を支給した上で休業させる。
条文をそのまま貼り付けましたが、要は給料の6割が最低基準です。休業手当を100%与えるのは当然OKです。
また、休業に関する労使協定の締結が必要です。とりあえず休めはダメです。
④計画届をハローワークに提出する。が、特例として、令和2年1月24日から令和2年6月30日は、計画届を事後提出することができます。
⑤休業規模要件の緩和 →中小企業ならば1/40 なんのコッチャですが、事例を出します。
※従業員数20名、所定労働日数20日の企業の場合
20名×20日=400(休業延日数) 400×1/40=10日(延べ日数)
この10日間は1人が10日間休ませても、10人が1日だけ休ませても構いません。これは容易にクリアできるでしょう。
2.助成率
これも、緊急対応期間は助成率は上がりました。
解雇なしの中小企業は緊急対応期間は、休業手当の9/10と引き上げられました(その他の期間は2/3)。ただし、上限は1日8,330円。
そして、5月1日、再び助成率が上がりました(4月8日まで遡る)。
① 中小企業が解雇をせず、60%以上を超えて休業手当を支給する場合、60%を超える部分を10/10とする。
仮に 月額賃金400,000円、所定労働日数20日、助成率90%のとき
400,000円×60%×9/10=216,000円
400,000円×30%×10/10=120,000円
→助成額338,000円 ではなく、1日1人当たり「8,330円」が上限なので、助成額は8,330円×20日で166,600円になります(ので、最低賃金くらいの人を100%で休ませた方が会社的にダメージは少ないです)。
② ①の中で新型コロナ特措法に基づいた要請により休業をした場合で、次の条件を満たす場合100%助成する。
・100%の休業手当を出す
・8,330円以上の休業手当を出す
ということで、8,330円以上出した場合、100%助成すると言いながら、上限は8,330円なので、結局100%になりません!
※結局は、8,330円が壁なのです。
また、落とし穴があります。実際労働者が支払った休業手当の9割が支給されるわけではありません。
毎年、企業は労災・雇用保険を支払いをしており、毎年申請をしているのですが、その時申告した賃金総額から、雇用保険被保険者数を割り、さらに年間所定日数で割った額に助成率をかけた額です。且つ最低補償額は8,330円です。
実は支払いをした休業手当より、受け取った助成金の方が高くなる可能性もありえます。
例を挙げます。
昨年の労働保険確定申告書です。年間所定労働日数を242日、休業手当は60%と仮定します。
34,095,000万÷10人÷242日×0.6=8,453円ですが、上限が8,330円のため、8,453>8,330円 は1日1日当たり、8,330円となります。
3.新コロ特例
今回は繰り返すように緊急事態です。緊急対応期間については大幅に緩和されています。既に述べているものもありますが説明します。
①計画届の事後提出可 今回は計画→実施→支給申請などする余裕はありません。1月24日すでに開始をしているのならば、6月30日までに計画届を後出しすることができます。
②生産指標要件の緩和 前年同月比と比べて、1か月5%低下で構いません。どの月を見るかは後述。
③雇用量要件の撤廃 本当は職員が減少していなければいけなかったのですが、撤廃されました。
④事業所設置1年未満要件の撤廃 この場合②の生産指標要件の緩和は令和元年12月と比較します(変更の可能性あり)。
⑤非正規職員も対象 原資が雇用保険のため、被保険者のみだったのですが、パートさんを休ませても対象です。
⑥支給限度額の延長 1年で100日までというルールもありますが、緊急対応期間(91日)も別枠で取得が可能です。
⑦教育訓練加算 仕事がないなら、教育訓練を受けてもらおうということも可能であり、1,200円加算されていたのですが、2,400円(中小企業)加算となりました。インターネット受講も可能です。
⑧新規学卒者も対象となりました。
⑨例えば、午後のみ休業とする短時間休業は一斉に取らねばならないとなっていましたが、部門ごとの短時間休業も認められました。
⑩残業相殺の停止 休ませているのに残業させるのは趣旨に合わないために、残業代を控除していましたが停止しました。
早速、実際の書類を作ってみましょう。
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