畑の片隅で『職人技』をみた ~ネギの播種 (12/23)
「この時期に行うのは、もうずいぶん遅いのですが…」
と言われ、上の家の師匠(息子さん)に前々から誘われていたネギの種付けに同行しました。
直接畑に種をまく方法もあるようですが、うちの師匠はチェーンポットで育苗する方法をとるのだそうです。
種から発芽する率をできるだけ増やすのが農家にとっては無駄がない方法であることは明かです。直接畑に種を撒くよりは、まずは風や温度が一定している環境下で効率的に苗を育てた方がいいに決まっています。
それがチェーンポットでの育苗法なのだというわけです。
チェーンポットとは紙製の、いわば植木鉢です。複雑に編まれた紙が数珠状(チェーン状)に連結した構造になっていて、引っ張って広げると、直径3~4センチほど、深さが3センチほどの六角形がいくつも出来上がります。このなかに土をいれ、種を撒いていくわけです。
手順は以下の通り。
① まず土と肥料を混ぜる
② チェーンポットを広げて、専用の容器に据え付ける。
③ チェーンポットに土を充填する。
④ ここに種をいれ、
⑤ 最後に蓋をするように上から土を被せていく。
この手順のいずれにも職人並みの技が詰め込まれています。
ポットに土を詰める際、堅すぎても柔らかすぎてはダメ。チェーンポットの広げ方にも工夫があります。
特殊なコーティングがされて球状になった種を正確にポットに各2粒ずつ入れていくのですが、それまでの手順にミスがあればうまくいきません。
途中で容器をひっくり返す必要があったり、ポットに詰めた後に残った土を払うのにも微妙な工夫が必要です。
こちらは初めてで、師匠とは10年以上のキャリアの差があるとはいえ、自分が手伝いにいったのか、邪魔しに行ったのか分からなくなる始末。かろうじて種をぶちまけるような致命的なミスはしないで済みましたが、とにかく神経を使う作業でした。
農作業とは職人技の積み重ねなんだと、これまで理解していた以上に、しっかりと認識させられました。
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