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繋がる時。繋がらない時。

 今回話すのは、とある迷子になってしまった子の話。私がアニコミを習う前からのlineのオープンチャットのお仲間の方の飼い猫が迷子になってしまった時の事。SNSで拡散するぐらいしかお手伝いのしようがなかった状況。写真はチャットの中で何回か見ていましたし、その猫の名前は知っていました。多頭飼いさんなので、その子と一緒に暮らす猫の名の知ってました。でも飼い主さんの本名は知りません。

 迷子から三日過ぎたあたりだったと思います。試しに話してみようと思いました。本当はきちんと飼い主さんに話してからするべきです。飼い主に内緒でアニコミはしてはいけません。一方で下手な期待もさせられません。内緒でアニコミを何度か試みました。人懐っこい子なのか撫でつつ、撫でる手に顔を擦り付けられつつ、そんなイメージで何か君のいる所の事教えてくれないかな?と会話を繰り返していました。埃っぽさや薄暗さ、段ボールの匂いや水の気配。それを受けては「やっぱり身を隠せる場所の方が安心できるだろうし、段ボール置き場みたいな場所とか近くにないの?」と誘導してみたり、ケガしてないか痛みは伝わってこないか伺ってみたり、疲れや空腹を感じる時にはせめて暖かい気持ちだけでもたっぷりあげようと送らせて貰ったりしていました。
 時には自慢げに跳ねる奴捕まえて食べた事を教えてくれる日もあれば、繋がらないなと思ったら少し間があってから呼ばれている気がして繋いでみたら、ちょっと忙しかった!と話してくれたり、決して確認はできないままでしたが、無理に帰ろうとせず飼い主が見つけてくれるのを信じて生き抜く事を頑張ってくれていました。

 ある時飼い主さん自身がめげかけていた時、思い切ってアニコミの話をさせて貰いました。彼女がめげずに生きている事、何とかご飯を食べている事。ケガはしてないと感じている事等々。
 その後、親切な方に保護されて、保健所に届いている連絡を別の方が見つけて飼い主さんに連絡を取って下さった事や、色々な人が繋がって約半月で、無事自宅に帰る事が出来ました。

 会話の場がオープンチャットだったのもあり、あんまりたくさんアニコミの話を出せた訳でもありませんが、何度も重ねて話していた猫でもあったからか帰ってきた写真をみた時に頑張りを感じた事、風呂入れてあげたいだろうけど帰ってきて安心して、お腹いっぱいになったら眠いよね。そんな事をお祝いしながらチャットしていたのを覚えています。

 外の世界で生き抜く事。特にイエネコにとっては簡単な事ではありません。繋がったり繋がらなかったりは、こちら側の集中力だけの話ではないと実感させてくれたのは、あの子なりに繋がろうとこちら側を意識する事があったから。それを私が体感できたからだと思います。

 身近なうちの子でないからこそ、傍にいるのが当たり前でないからこそ、感じ取りやすさもあって、一方でやり取りをお互いに望んでいたからこその繋がりやすさもあったと思います。とても深く教えてくれた素敵なにゃんこさんです。

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