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映画レビュー ゆきてかへらぬ
ちょっと、いま題名もおぼつかなかった。
そのくらい、通りすがっちゃいそうな映画ではある。だけど、まっすぐにそこに佇んでいる、詩みたいな、作品でした。
耽美主義、て感じ。すこしグロテクスでも、それも綺麗に描いてました。
今日は実は「モアナ2」に元気を貰いたくて、ひとりで映画館に来たのだけれど、
モアナ売り切れ… ちーーん…。。😇
ということで、少し気になっていたこの映画を観ました。
観てよかった。夭逝した伝説の詩人、中原中也と、小林秀雄と、女優の長谷川泰子さんの奇妙な三角関係を映画化したもの。奇妙な、ってこともないよな、今こうして見てみたら、いっとうマトモだよ。自由恋愛の実践。
天使みたいに、パタパタ飛んでる中也を、見事に演じられてました。木戸大聖さん。お顔を拝したことはあったかもだけど、お名前を認識したのは今回が初めてでした。すばらしい演技。あと、死の直前のお芝居では、メイクさんの力もあるだろうけど、そこにいるだけで心身ともに病気なのがわかって、凄いなと思った。
広瀬すずさん(もうすずちゃんとか言えないような)の濡れ場も素敵でした。もはや笑顔印のCM女優じゃないんだなーと。
最近ネトフリで公開になってる「阿修羅のごとく」でも女優!て感じに仕上げてきてますよね。
いやー、俳優さんは人生賭けて俳優だな。
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映画館でチケットを渡すところで、女の子が倒れていた。距離を持ってみんな取り巻いていた。大丈夫なの?ひそひそと声が聞こえた。チケットを切るスタッフさんは、努めてふつうに振る舞っていた。女の子のお父さんもきっと、そうだ。周りの人のために。なのに私は、「救急車、気軽に呼んでもいいんですよ」とかKYな声かけをして、顔を顰められました。。
ーーみんなが竹刀を持ってやり合っているところに、おまえだけ真剣を振り回してくるんだから
中也と、私の似たところかも、と思いました。
真剣は、普段はしまっとかないとねえ。
人の心にメスを入れるのは、もっと慎重になった方がいい。私にとっては、そんな戒めをくれた映画でした。
--2025.2.24 上映中!
P.S
私にとっては、難解で、しかも女々しくってやんなっちゃうような、中也の詩も、
今までとくだん縁のなかった小林秀雄の作品も、
これを観た上で、読んでみたいなとおもいました。
PSのPS
私の人との距離感、大阪のおばちゃん並みになってもうたわ。自我の境界、うっっす(薄)!