息子へ
きっと私はこれからさき
君に多くのことを
私は気づかぬうちに期待してしまうだろう
君はそれに応えなくていい
私の顔色なんか見ないで
好きなように走ってほしい
私だけでなく
どんな人の期待にも応えなくていい
君の心が躍る生き方をして欲しい
人に優しくあるに越したことはないけど
優し過ぎないでいて欲しい
自分を削ってまで優しくならないでいい
勇気あるヒーローなんかにならなくていい
誰かのために
どうかその命を犠牲にしないでほしい
少しくらいずるくてもいい
自分だけの人生を味わい尽くして欲しい
人に傷つけられないで欲しいと願うけど
きっとそうはいかないだろう
一人涙しながら食事を食べることもあるだろう
寝れない夜を過ごすことや
人の幸せを願えないときも
こんなはずじゃなかったと
全てを投げ出したくなる朝もあるだろう
そんなしんどい経験をしてほしくないとも思うけれど
そんな経験がきっと君を強くするし
きっと避けることはできないだろう
だから、どうしようもなくなったら
何も言わずに私のところにきて
美味しいものが食べたいとだけ言って欲しい
君が言わない限り
何も聞かずに美味しいものを
作って待っているから
そして
いつかくる私無き世界でも
全ての感情を自分の肌で感じながら
生きて欲しい
いつかまたたくさんの土産話を持った君に
あちらの世界で会えたらいい
今はまだここで一緒に
永遠に終わらないようで
あっという間にすぎる
幸せで少し気だるい一日を過ごそう
今はまだ君が優しく息をしている
ただそれだけで
それ以上何も望みはしない
そんな日にこの気持ちを残しておこう